平成29年11月県議会定例会の決算特別委員会において初めての 総括質疑が行われました。そのトップバッターとして、当局を質しました。その内容を掲載します。(11月27日)
●中川委員 今回の決算特別委員会での総括質疑は、これまでになかった新たな取り組みとして実施されるということで、大変歓迎したいと思います。
きょうは着座をしてするということでありますが、冒頭ぐらいは立ってやったほうがいいのかなと思って立っておりますので心配なく。
初めての総括質疑のトップバッターということで御指名いただきまして、大変ありがたいことだなと思います。そのようなことで、平成28年度の歳入歳出決算について質問したいと思います。これから座って質問をさせていただきます。
平成28年度の富山県の歳入歳出決算審査については、4人の監査委員による審査意見が9月1日に知事に提出されています。また議会では、この委員会の各分科会において審査が終了していますが、今回はこれらを受けての質疑だと思っております。
まず、財政運営等についていろいろと質問させていただきます。
本県財政については、400億円の大幅な財源不足が見込まれた平成17年度を財政再建元年と位置づけられまして以来、職員数の削減あるいは給与の臨時的減額、事務事業の見直しなどの行政改革に取り組み、財源不足の大幅な縮減に努められて、平成28年度に構造的財源不足が解消された。言うなれば、平成28年度はそういう意味では特別な年であったのではないのかと思います。
石井知事のこれまでの取り組みについては、大いに評価したいと思っています。そこで、これまで財政健全化に向けてどのように取り組んでこられて、平成28年度についてどのような点に留意をされてきたのか、石井知事にまずもってお伺いしたいと思います。
★石井知事 きょうは着座だそうですが、まずは御挨拶、御苦労さまでございます。それではお答えいたします。
本県財政につきましては、お話に出たように、平成17年度の予算編成前の段階で約400億円の財源不足がございました。もう1つ、北陸新幹線の負担金も、それから10年ぐらいで2,300億円ほど払わなくてはいけないということでありましたので、非常に危機的な状況にあったと思います。
そこで、委員の御指摘のとおり、平成17年度を財政再建元年ということで、行財政改革にスピード感をもって取り組んでまいりました。やはり行革を進めるには、どうしても県議会を初めとして県民の皆さんの理解と協力が必要でありますから、まず県庁みずからが自分の身を削る必要があると考えまして、職員数の削減や職員給与の臨時的減額などに取り組みまして、特に一般行政部門の職員数については、平成26年4月までの10年間で20%の削減目標を上回る21%の削減を達成しますなど、全国でもトップクラスの取り組みを進めることができた。
結果として、人件費も単年度で178億円ぐらい減らすことができた。平成27年度と平成16年度の差がそのぐらいあるわけでございます。
また、公の施設や外郭団体の改革、廃止とか、事業や補助金の見直し、縮減など、県民の皆さんへのサービスに直接影響がある分野につきましては、これは民間有識者からなる行政改革推進会議、あるいは行革委員会といったものを3回にわたって9年間つくらせていただいて、そこでの御提言など外部の方の御意見を踏まえて、県民の皆さんに一定の負担やサービスの見直しについて理解をいただく。また指定管理者制度の導入で、民間の知恵や工夫も生かした効果的、効率的な行政に取り組んでまいりました。
もう1つは、やはり地方の自立のためには、一般財源総額の確保が不可欠でございますから、地方税財源の充実確保について、全国知事会等とも連携しまして、地方税財政常任委員長も仰せつかったりしまして、政府に積極的に働きかけもしてまいりました。
結果として、新幹線整備については、地方交付税措置の拡充とか、JRさんが国に払っている貸付料を地方にも活用させてもらうといったことをあわせて、新幹線の負担金は、もともとある程度予定されていた分も含めますと、3分の2から7割近く負担を軽減していただいたことになると思います。
そのほか、地方法人特別税とか譲与税をつくってもらったり、法人住民税の法人税割の交付税原資化などの地域間の税源の偏在是正──これは当時の石原都知事さんとか今の小池都知事さんとか、立場の違う方もおられますからいろいろ議論もございましたが、何とか御理解いただいてやってきたわけでございます。その結果、お話のように平成28年度当初予算編成の際に構造的財源不足ゼロということになりました。
また、県債残高も平成27年度決算で約半世紀ぶりに減少に転じたのですが、平成28年度決算でも2年連続で減少、本年度もこのまま何とかいきますと、さらに県債残高がある程度減ることになりますので、本県の財政健全化は着実に進んでいるのではないかと思います。今後も努力してまいります。
●中川委員 これまで、知事を先頭にして財政健全化の取り組みをやってこられたということでありますが、やはり心配しますのは、最近経済全体が縮小ぎみになっていくのかなということ、果たしてこれからいいのかなと思うわけであります。
そうして考えたときに、平成28年度決算では、歳入が5,357億600万円、歳出が5,195億5,500万円となり、歳入歳出とも7年連続で前年度決算を下回る結果となっております。平成21年度の歳入5,991億5,300万円、歳出5,900億4,800万円などと比較しますと、歳出でも歳入でも減少しているわけであります。
そうした中で、歳出で最も減少したのは、土木費で374億円、商工費で315億円。逆に増加したのは諸支出金の204億円で、これは市町村に支払う地方消費税などがふえたため上がったということだと思います。あとは教育費61億円。
歳入で減ったのは県債の525億円、国庫支出金の462億円で、逆にふえたのは県税収入で216億円、地方消費税清算金で170億円、地方交付税155億円などとなっております。そういう中身を見てみますと、確かに自主財源比率も、平成21年度の42.6%から平成28年度は49.8%と、かなり税収なども含めて元気が出る民間企業もあるということなのですが、これからこの減少傾向が続くのか。またどのような財政構造になると予測をなさっているのか、滝経営管理部長にお伺いしたいと思います。
★滝経営管理部長 歳入歳出決算額ともに、委員御指摘のように、7年連続で前年度決算を下回る状況になってございます。
その主な要因といたしましては、特に7年前、平成21年のリーマンショック後、中小企業等への制度融資の額をかなり大きく設定した時代がございましたけれども、その後、県内経済の持ち直しによりまして、この中小企業等への制度融資額が平成22年度から一貫して減少しているということ。それから御指摘ありましたとおり、北陸新幹線の建設費負担が平成22年度をピークとしまして、平成28年度までにほぼ解消されたことなどによる影響が大きいと考えてございます。
実際に、平成28年度歳出決算は前年度から69億円の減少でございましたが、制度融資と新幹線の影響だけで80億円の減少となっていまして、裏返して申し上げますと、この2つの要素を除きますと増になっているということでございます。
今後の見込みでございますが、経済情勢等によりまして、先ほど申し上げました中小企業等への制度融資の額が大きく上下をすることがございます。また高齢化の進展等に伴いまして、社会保障経費の増加が見込まれるとともに、新幹線建設等に係ります公債費につきましても、当面高い水準で推移することが見込まれます。
こういった複数の変動要素がある中で、決算規模がどちらの方に振れるのか見通しをつけるのは、正直なかなか難しいところがございますけれども、いずれにいたしましても毎年度の予算編成に当たりましては、なかなか地方全体の一般財源総額も大幅にふえることがない厳しい状況の中ではございますけれども、経済情勢や地方財政計画等の国の動向等に留意しつつ、決算の内容も十分踏まえて、めり張りのある内容にしていきたいと思っております。
●中川委員 そのような中で、やはりこれから人口が減少する中でどのように財源を確保していくかということからすると、特に一般財源を確保していくことが非常に大切だと思います。
先ほど知事も触れられましたが、今後、地方創生・人口減少対策を初めとして、第四次産業革命のイノベーションへの対応とか経済産業の振興、そしてまた中小、小規模企業対策、人材の育成確保、農業対策、あるいは国土強靱化対策、特に社会保障関係費の自然増分への対応など、大変厳しい状況で推移することが見込まれるわけであります。
そうした中で、最近議論になっておりますのが──知事には、今ほどもお話がございましたように、全国知事会の地方税財政常任委員長として活躍されておりますが、私はやはり消費税の清算基準を見直すことが非常に大事ではないかと思います。
特に、消費税をめぐっては、引き上げる増分については子育てや子ども支援の部分、あるいは医療、介護の充実に充てることになっているわけであります。今、再延期されていますが、そうした中で財源が乏しくなると、ますますそういうことができなくなる。そういう立場から、知事も頑張っておられると思います。
消費税が8%になっているのは、国が6.3%で、地方消費税分が1.7%。そのうち国の分でも交付税で1.4%ありますので、全体で3.1%であります。今後さらに10%になりますと、3.7%ぐらいの確保ということになってくるわけでございます。
特にこの前などには、小池東京都知事がその部分については反対であると。人口が定着している中で、消費活動も通販とかいろいろなものがある中で、非常に偏在性が高くなってきているのではないのかと思います。
そう考えますと、やはり東京は、従業員数とかによって確保されるので、東京は黙っていても消費税の配分がふえる構造になっているわけであります。そんなことがないように、ぜひ頑張ってもらいたいと思っています。
これからは、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保への最大限の努力が必要と思います。特に、地方税財源の確保充実に向け、地方消費税の清算基準の見直しを含めて、知事はどのように対応されていくのかお伺いしたいと思います。
★石井知事 中川委員の御指摘のとおりで、やはり一般財源総額の確保が大変重要だと思います。まず税収等の歳入面については、先般安倍総理から、消費税の使い道を見直して、子育て世代への投資と社会保障の安定化にバランスよく充当することで、財政健全化も確実に実施していくことが表明されましたけれども、同時に平成28年度の国の一般会計税収が7年ぶりに前年度比で減収となるといったこともありまして、地方交付税の確保については、その削減も含めて大変厳しい議論が展開されて、これから年末まで大変だと思います。
特に、近年の地方の基金残高の増加に着目して、これは地方に余裕があるのではないかということから、地方財政計画を見直して、地方交付税を削減したらどうかといった問題提起を国の経済財政諮問会議でなされたりしているわけですけれども、これは大変な誤解でありまして、このことについては、この間、総理官邸で全国知事会がございましたから、その場で総理に直接──総理がそういうお考えだとは私は思っていませんが、そういう議論がありますので……。
平成13年度と平成29年度を比較しますと、社会保障費が約11兆円ふえている一方で、地方財政計画の歳出の規模は逆に2.7兆円減っているわけで、これでどうしてつじつまが合っているかというと、結局、地方が行革を一生懸命やって給与を3.4兆円減らす。投資的経費も約16兆円減らすということで何とかやりくりしてきたので、もうこれで限界ですよと。
地方は、国と違って赤字地方債を自分の判断で出すことができませんから、結局、基金がある程度ふえて見えるのは、やはり災害対策などの不測の事態に備える。それから地方創生で、ある程度国からお金をもらっているといっても、自分本来の地方負担分を持っていなければなりませんから、若干の基金がどうしても要る。
そういうことで、誤解に基づく地方交付税縮減論にぜひくみしないように、しっかり対応していただきたいということもお話してまいりました。総理は地方の一般財源総額については、平成15年度の地方財政計画水準を実質的に下回らないように適切に対応しますと、はっきり言っていただいたので、これはよかったかなと思います。
また、今委員から地方消費税の清算基準についての御指摘がありましたけれども、この点については、国の地方財政審議会の検討会に出席させていただいて、ことし7月の全国知事会での議論も踏まえて、1つには地方消費税に係る税収の最終的な帰属地と最終消費地を一致させることがもちろん基本ですけれども、そのための統計データが十分でない場合は、やはり人口の比率を高める方向でまとめてほしいと。こういうことで、知事会も全体としてまとまりましたし、そういう意見を国の検討会でも表明させていただきました。
3日前の全国知事会では、総理官邸に行く前に、まず知事同士の議論があったのですが、改めて東京都知事初め大阪、愛知の3人の知事さんから、これについては違う御意見があったのですけれども、改めてこの地方消費税の配分がどうあるべきかという議論もしまして、先ほど申し上げたように、例えば隣接県から東京みたいなところに行って、デパートや大型スーパーとか立派なものがたくさんありますから、そこで買い物をする。しかし、買った人は自分の住居、周辺の県あるいは地方の県に戻って消費するわけだから、やはりそういったところを統計で正確に把握できない部分は、例えば百貨店の売り上げは統計から除外して人口にかえるとかということが合理的ではないかという話もして、完全に御理解はされなかったかもしれませんが、何とかそういうことで知事会としての意見をまとめさせていただきました。
総理もそういうお考えだと思いますので、12月中旬に予定されている税制改正大綱のまとめでは、与党の税調プロセスの中でぜひしっかりそういう方向でまとめていただくように、これまでもいろいろとお願いしておりますけれども、今後とも全国知事会等と連携して働きかけをして、しっかり確保してまいります。
●中川委員 ぜひ、そういうふうにやっていただきたいと思います。
今ほど財政調整基金の話を知事は語られましたが、今、経済財政諮問会議とか財務省が、地方は最近基金を積み増ししているから、地方交付税を減らすほうがいいのではないかみたいなことが出ているわけであります。こういうことに関しては、これだけ地方が努力しているのに、そういうふうに削られるということは、私自身も大変怒りを感じるわけであります。
小泉政権のときに、国と地方の三位一体改革で交付税が大幅に減額されて、地方は緊縮財政を余儀なくされたことがあります。そのときには基金を取り崩したということもあって、地方は基金を持っていないといけないと思って、不要な支出を減らして、将来不安の解消のために積み上げてきているものだと私は理解しているわけであります。
そうした中で、本県では全ての基金を合わせて約971億円あります。しかし、ほとんどが使途の決まっているものでありまして、使途に自由度がある財政調整基金については、平成28年度末で23億8,000万円、県債管理基金は438億円で、県債残高は、先ほどもお話ございましたが、2年連続で減少して1兆2,403億円であります。そういうことを考えると、非常に少ないのではないのかなと思うわけであります。
そこで、財政調整基金と県債管理基金を含め、基金に対する考えと、基金残高が増加していることを理由に地方交付税を減らす動きについて、これから国に対してどのように働きかけていくのか、滝経営管理部長にお伺いしたいと思います。
★滝経営管理部長 財政調整基金と満期一括償還ものを除いた県債管理基金を合わせた残高で申し上げますと、平成28年度末で149億6,000万円となってございます。
この積立額につきましては、先ほど知事からも御答弁申し上げましたとおり、大規模災害でありますとか、あるいは経済不況等の不測の事態にも対応できますように、ある程度の残高を確保しておく必要があると考えてございまして、他の標準的な道府県の積み立て水準や本県の財政規模等に鑑みまして、本県の標準財政規模の約5%に相当いたします150億円程度を確保するという、従来からの県の方針に基づくものでございます。
この標準財政規模に対する割合ということで申し上げますと、全国平均は約8%程度でございまして、本県の積立額は若干低いこともございますけれども、今後の財政状況等を踏まえつつ、おおむね現在の水準を将来にわたって維持できるように努めていきたいと考えております。
一方で、委員からも御指摘がありました基金の増加の関係でございますけれども、これは先ほど知事からも申し上げましたとおり、国、地方を通じた財政資金の効率的配分の観点から問題だと。財政状況がより厳しい国の財政を重視する立場からは、この基金の残高の増が、地方財政に余裕があって、地方交付税等を削減する余地があるのではないかという議論が呈されているわけでございますけれども、地方は国と異なりまして、金融経済政策、税制等の広範な権限はまず有しておりませんし、赤字地方債の発行権限は限定されているということ。それから大規模な災害や経済不況による税収減等の不測の事態については、基金の取り崩しや歳出の削減等により収支均衡を図るほかないことなど、国と地方では財政制度の根本が大きく異なってございます。
加えまして、先ほど委員から御指摘がありましたとおり、地方は相当の行革をしてきて、その積み重ねの結果、現在の積立金があるわけでございまして、地方の基金残高が増加していることをもって地方財政に余裕があるという議論は、全く容認できるものではないと考えてございます。
先ほど知事から申し上げましたとおり、先般も全国知事会議において知事から安倍総理に対して直接、一般財源総額の確保を訴えたところでございます。引き続き全国知事会等とも連携して、国に対して地方の立場をしっかりと主張してまいりたいと思っております。
●中川委員 通告したものと順番が違いますが、予算の総額ということから考えると、先ほど知事もお話しされましたが、投資的経費をかなり削っていかなければいけない。そういう中で、社会資本整備への投資額は、国全体がどんどん縮小傾向になってきている。特に平成10年度には、国費で14.9兆円ぐらいあったものが、現在では6兆円ということで、これが全て建設国債に頼られているわけであり、ここのところ、大変厳しくなってきているわけであります。
特に、道路特定財源がなくなったことなどを含めると、道路予算は国費で多いときは2.6兆円もあったのですが、現在は1兆円から1.3兆円ぐらいということで、私たちが生産活動をするための社会基盤の整備としたら、道路も非常にでこぼこになっていたり、あるいは白線なども見えなくなってきているといったところに、かなりのしわ寄せが来ているのではないかと思うのです。
そうした中で、7年連続で歳出歳入が減ってきているということを考えたり、あるいはこれから社会資本の整備といっても、災害に対する建設労働者の数がどんどん確保できない。あるいは予算が少ない中で平準化を余儀なくされている。それでは建設業の担い手もふえるわけがないという状況になっているわけであります。
そこで、私は全体の話として、建設業の担い手の確保や育成について考えると、公共事業の予算の減少が非常に支障になっていると思うわけであります。今後、どのように予算確保に努めていくのか、知事の考えをここで聞いておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
★石井知事 本県の社会資本整備ですけれども、東海北陸自動車道の全線4車線化とか、富山高山連絡道路などの骨格となる道路整備、あるいは利賀ダムの建設、大規模土砂災害対策や伏木富山港のさらなる機能拡充など、まだまだやらなければならないことがたくさんありまして、積極的に進めたいと思っております。
そこで、県としましては、今年度の当初予算で昨年度を上回る545億円を計上しまして、かつ9月補正予算では、7月に発生した集中豪雨により被災した公共土木施設等の復旧ですとか、地方創生、災害未然防止など、必要な社会資本整備を進めますために、昨年を上回る76億9,500万円を計上しております。加えて、今回の11月補正でも、台風21号による豪雨や高波により被災した公共土木施設等の復旧のために、12億9,500万円を計上しているところであります。
今後の予算編成についても、十分な予算を確保して事業の進捗を図りたいということで、つい先だっても石井国土交通大臣に、本県に対する必要な予算のさらなる配分をかなり具体的にお願いしましたし、また国交省の道路局長あるいは技官といった実務家のトップの方にも個別にお会いして、そうしたことをある意味ではひざ詰めでしっかり要請しているつもりでございます。
また、建設現場の生産性の向上を図るために、年間を通じてできるだけ建設企業の持つ人材、機材を有効に活用していただくことが大事ですから、これまでもゼロ県債の活用あるいは明許繰越の活用などもやってきましたが、年度間の切れ目のない発注や工事の平準化に努めるということで、今回、昨年を上回る21億円のゼロ県債を計上させていただいております。
また、県内建設業については、従業員数の減少とか高齢化が進んでおりまして、若手入職者の確保と育成などが課題となっております。このことについては、商工労働部で建設業における人材の確保育成のため、地域創生人材育成事業というもの──これは厚生労働省から事業の採択をいただいて、この3年間で建設業の担い手を、今の段階で大体60人、もう少しふえると思いますが、そういった訓練などもさせていただいております。
今後とも、やはり建設業は地域の安全・安心のためにもどうしても大事でありますから、将来にわたりしっかりと存続するように努力してまいりますし、そのためにも公共事業が安定的、持続的に確保されていること。国の厳しい財政事情もわかるのですけれども、それが大事でありますから、発注の平準化の問題も含めて、できるだけ建設現場で企業としても健全に発展する。また建設業を担う若い人たちも希望を持てるというふうになるよう努力してまいります。
●中川委員 東京都知事などは、もう公共事業は削減すべきなどとおっしゃっておられますが、今、関東のほうに集中的に投資されている分が、地方などで非常に減少しているわけです。そんなことを言う資格があるのかと思うのでありまして、そんなことを言うのならば、東京の社会資本整備をやめて地方に回せと言うぐらいの勢いでやっていただきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、ちょっと個別的な案件になります。この決算特別委員会の要望指摘事項にもありますが、農林水産分科会から出ています富山県森林水産会館についてでございます。森林水産会館は築45年が経過していることから、耐震改修工事を契機として、利便性の向上や機能の充実を図る施設として有効活用を図ってほしいという要望指摘事項が出ております。
今、この近隣には教育文化会館、企業局、富山総合庁舎、富山農林振興センター諏訪川原庁舎などが立地しているわけであります。いずれも年数が経過していたり、民間施設に入居、分散しているなど、その機能が必ずしも発揮されていないのではないか。また維持管理費を合計すると結構な金額になる。そういったことから、森林水産会館と近隣の施設を新たな1つの建物に集約を図ることも、私は必要ではないのかなと思います。
県有地を民間に貸す。そしてまたPFIとかPPP方式などで建設をして、民間企業も借りられる近代的な建築物を建設するなどして、県有地の有効利用を図っていく、編み出していくということも大事ではないかと思うのでありますが、滝経営管理部長にお伺いいたします。
★滝経営管理部長 御指摘のありました森林水産会館につきましては、これまでも計画的に大規模修繕を行うなど適切な機能維持に努めてまいりまして、現在入居率は100%で、県内の農林水産業関連団体などに有効に活用されている状況であると承知しております。
また、この森林水産会館の耐震改修工事につきましては、区分所有をいたします農林水産関係団体と県との間で十分に協議を図った上で、今年度実施設計を行って、来年度には工事を実施できるよう準備を進めている状況でございます。
一方で、御指摘ありましたとおり、森林水産会館は築45年でございますし、近隣の施設を見ましても、富山総合庁舎が築50年、富山農林振興センターの入ります諏訪川原庁舎が築49年、教育文化会館が築43年と、老朽化が進みつつある状況にあります。
県といたしましては、これら県都の中心地にある施設を含めまして、平成27年度に策定した富山県公共施設等総合管理方針に基づきまして、今後老朽化が進む県有施設等について、施設の集約化、長寿命化を進めることで検討を進めております。
御指摘をいただきましたPFI、PPPといった民間活力、公民連携の手法などにつきましても、県内のオフィス需要など民間ニーズもよく踏まえた上で、効率的で効果的な施設の建てかえや集約化などに有効活用できるかどうかも含めて、よく研究してまいりたいと思っております。
●中川委員 研究もいいのだけれども、やはり実のあるまちづくり、それから県有施設を効率的にやっていくということが、私は非常に大事だと思うのです。だから、あるものをただ耐震改修していくことだけでは、これからの未来を考えたときに、非常にふぐあいなことが随分あると思うのです。ここはやはり思い切って、知事には判断をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
それから、県立中央病院の駐車場のことについてであります。御存じのとおり、中央病院については、今、県立大学の看護学部などを新しく建設工事中でありますが、お聞きしますと、やはり外来駐車場がかなり減ってきている状況であります。
特に、今現在の状況の中で、780台ぐらいあったところが90台ぐらい確保できなくなっていると。これは工事が終わった後ということではなくて、これからの中央病院の機能などを考えますと、駐車場をしっかり整備しておくことが大事ではないかと思います。
県道富山大沢野線を挟んで向かい側という話もありますが、企業局でもそういう駐車場をやっていたりもするわけなので、中央病院事業会計だけではなくて、そういうことも含めた状況の中で、駐車場をどういうふうに進めていくのか、厚生部長にお伺いしたいと思います。
★前田厚生部長 県立中央病院では、外来用として駐車場を構内に781台分確保しておりましたが、今春起工いたしました県立大学看護学部の整備に伴いまして、総合衛生学院の周囲に配置しておりました病院敷地北側の外来第4、第5、第6駐車場を4月に閉鎖したことから、281台分が減少することとなったということでございます。このため、病院敷地外で借り上げております職員駐車場を外来用に転換するなどして、現在では691台分の駐車場を確保しております。
しかし、県立中央病院には毎日多くの患者さんが来院されているため、特に午前中のピーク時には駐車するまでに数十分かかることがあるほか、周辺道路が渋滞するなど、周囲の交通にも支障を来す場合がございます。
こうした状況に対応するため、構内駐車場のレイアウトを見直して駐車枠を増設するとともに、今年度は駐車場内の誘導員を5名から増員をしまして、来院者が円滑に駐車できるように努めているところでございます。
そのほか、病院ホームページやリーフレット等で、来院の際には極力公共交通機関の御利用を呼びかけさせていただいて、なるべく駐車場の御利用が効率的に進むように働きかけているところでございます。
今後とも、来院患者さんを初め利用者の皆様の利便性を確保できるよう、また周辺住民の皆様の御理解を得られるよう、御指摘の整備も含めまして、さまざまな方法を幅広く研究をしてまいりたいと考えてございます。
●中川委員 抜本的な対策をぜひやっていただきたいと思います。
最後になるかもわかりませんが、地籍調査についてお伺いしたいと思います。
市町村が行っている地籍調査は、これまでも土地取引や公共事業の円滑化、効率化、災害復旧事業等の円滑化に資するなど、国土調査法に基づき実施される重要な事業であることは、これまでも十分認識されてきているところでございます。
しかし、前の監査でも指摘されていますが、それ以降、進捗率がほとんど進んでいない状況ではないかと私は理解しています。
今までの体制ではなかなかできないのであれば、やはり県の推進対策本部などをつくるとか、あるいは公共事業を所管している部のほうへ所管がえをして、掘り起こしできるような体制をとっていく必要があるのではないかと思います。
特に、今全国平均が52%にもかかわらず、平成28年度末でまだ28.7%ということでございますので、今含めたことを考えると、何でできないのかと。県における実施推進を図るために、早急な対策も含めて、磯部生活環境文化部長にお伺いいたします。
★磯部生活環境文化部長 本県の地籍調査の進捗率ですが、今ほど委員からも御紹介ございましたが、平成28年度末現在で28.7%になっておりまして、北陸3県では最も高いものの、全国平均を下回っている状況でございます。また県内の市町村別の進捗状況につきましては、これは100%から10%までのばらつきがございまして、固定資産台帳整備のために本調査を積極的に進めたり、あるいは圃場整備が進展している市町村では、進捗率が8割を超えているところもあるといったことでございます。
一方で、進んでいない原因でございますが、市町村からは、その原因としまして調査に要する職員の確保等が難しいこと。あるいは土地の境界調査のための関係住民の合意を得ることが難しいことなどが、主な原因だと聞いてございます。
また、東日本大震災以降、全国で地籍調査の重要性が認識されておりまして、予算への要望も高まっておりますが、地籍調査に係る国の当初予算枠はほぼ対前年度同額程度でございまして、要望額を大きく下回っております。このため、本県の配分も要望額のおおむね8割程度にとどまっているということで、要望どおりの調査が行えないことも、進まない原因の1つかと思ってございます。
このため、県としましては地籍調査の推進を図るため、まず県内市町からの要望額を確保できるよう、県の重要要望あるいはブロックの協議会などを通じまして国に働きかけるとともに、事業を休止しております4つの市町への再開に向けた要請を行いましたり、また国の山村境界基本調査などの活用の働きかけを行うほか、現在国において検討されております、新しい技術を活用した効率的な測量あるいは境界確認の合理化の動向なども注視しながら、事業主体である市町村への助言、啓発に粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。