中国内蒙古・アラシャン植林ボランティアに団長として参加し、
平成23年7月31日~8月6日、中国の内蒙古自治区阿拉善(アラシャン)地域(ゴビ砂漠)で黄砂の原因である砂漠化の現状と植林の状況把握及び植林活動してきました。
行程は富山、羽田、北京、銀川、アラシャン、額済納、呼和浩特、北京、羽田、富山で、約8600kmの距離を飛行機、バス(800km)、寝台列車(1100km)で移動しました。
毎年6万haも砂漠化が進んでいるにもかかわらず、中国政府が手をかけていない現状がよくわかった。以下かいつまんで報告しておきます。
<砂漠化の原因>
阿拉善(アラシャン)地域は、かつては巴音浩特(バインホト:豊かな町)と言う通り豊かな地域であった。(名前のとおり梭梭(そうそう)という灌木の続く疎林草原が広がる豊かな町であった。)
しかし、石炭ともいわれる熱エネルギーの高い木のため、この灌木を伐採して鉄を作る際の燃料や煮炊きに使った。この灌木などが伐採されてから風により砂が流され、砂漠化が急激に進んだ。
<対策と課題>
現在は禁牧政策という羊を飼うことを禁止する政策をとった。
このため、生活手段である放牧ができなくなり、失業して生活基盤を失い、離村するか貧困にあえぐ農牧民が急激に増加した。政府は補助金をだしたが一時的な解決方法でしかなかった。
このため、植林と現在住んでいる住民の生活維持が課題となった。
<取組み>
オイスカでは、2001年から植林活動を始め、2006年には阿拉善砂漠生態研究研修センターを設置した。
植栽樹種には試行錯誤の結果、1年間に3度雨降れば根付くと言われる「梭梭(そうそう)」に決定。さらに、この木に漢方薬であるホンオニクを寄生させることにした。ホンオニクは高額で売れるため住民の生活が成り立つ。
こうして、農牧民を集めて植林と漢方薬栽培の両立を図るモデルを作った。
現在は、有志で組合を作るなどして着実に砂漠化防止植林プロジェクトを進めている。
今後は、エミュー飼育、野菜栽培など農牧民の所得が増える対策を講じていくべき研究・試行を重ねていくこととしている。
<今回の植林活動>
① 阿拉善巴彦浩特(阿拉善沙漠生態研究研修中心)にて
梭梭(そうそう)の木を400本植樹
メンバー30人と地元中学生10人と活動
② 阿拉善巴音諾日公伊和布拉各にて
梭梭(そうそう)の木を300本植樹
メンバー30人と地元有志10人と活動
<植林活動の課題>
地表面が堅いので中々穴が掘れない。
中国製スコップはあまり役に立たないので日本製のスコップと機械で穴が掘れる動力式オーガーが欲しいとのことでした。
実際してみて本当に堅いので能力を高めるためにも必要性を強く感じた。
<額済納(エチナ)の状況>
オアシスの町と知られる額済納であるが、1年中と思っていたが水のあるのは3カ月だけであった。
額済納川流域は水需要が増えており下流域にあたる額済納まで水が来ない現状であり、上流部にダムが建設され水をコントロールしている。そのため、額済納川に放流されるのは4,7,10月の3カ月だけで、それ以外の月はまったく水が流されていない。
従って全く水の流れていない川を視察した。
生きて千年、枯れて千年、朽ちて千年併せて三千年生きると言う「胡楊」がこの地域の唯一の樹木が佇んでいるのが印象的であった。
農業と人の命が、どっちが優先されるかといつも議論のなるところだと聞いた。