◆私の「国史」学習 しかし、それ以来、歴史の本を系統立てて読むわけでもなく、なんとなく時がたってしまったというのが実感であり、政治家になって再び日本の歴史教育に関 心をもった次第であります。 そこで先ず、自分は果たして何を今まで学んできたのか。記憶をたどって振り返ってみると、小学校では地図帳で県名や県庁所在地、河川名や半島名など、世 界の国名や大陸名、4大文明など固有名詞と位置関係を覚え、中学校ではさらに詳しくそれに類したことを覚え、縄文時代から昭和時代の新憲法ができるまでの 歴史について学びました。高校では地理、世界史、日本史を学び、大学では学ばなかったようであります。 授業の内容は、事件とその舞台となった背景を聞くのが楽しみであったような気がします。また、中学、高校では、江戸時代まで充分時間をかけて授業がなさ れ、明治、大正、昭和に行くにしたがってどんどんスピードが上がり、歴史の授業が終わった印象を持っています。 この点に関して言えば、歴史教育は日本の過去を学び、現在はどんな立場に置かれているのかを知り、日本国の将来をどうして行けばいいのか考える力を身に つけることにあるとすれば、明治、大正、昭和、平成時代に重点をおいた授業にすべきと考えます。特に、中国、韓国、北朝鮮などとの外交問題は、依然として 過去のことが取りざたされるようなことが多く、内政干渉までされるような事態になっていることから非常に重要な点であると考えています。 ◆歴史教科書について 中学校の歴史教科書については、中学を卒業後読んだことはなかったのですが、一度読んでと言われ、平成12年に読みました(平成8年文部省検定済の平成 11年2月10日発行の東京書籍「新しい社会歴史」)。その印象は、これは日本の歴史教科書ではなく、中国か韓国の教科書ではないかと思いました。大変な ショックを受けました。国家体制の非難、批判、民衆をいじめていることが強調されており、近代に入るとやたらに朝鮮や中国が正で、日本は悪であると誘導す るような表現が多かったのです。 これでは、日本の国は昔から弱いものをいじめて、戦争ばかりしている国だと思われても仕方がない。まさに自虐思想で、いろんな角度から事実を知ろうなど とは勇気がでてこないし、日本の国のことを外国人に話したくなくなるに違いないと思いました。次に、いくつか例をあげてみましょう。 「日本の古代国家のおこり」については、「戦争と王の出現」で始まります。写真には「豪族の墓と矢を打ち込まれた人骨」と注釈してあり、「矢じりの使い 道がわかったかな?」と問いかけています。日本の夜明けが、戦争によって人殺しから始まったような印象を与えています。中学生になってはじめて歴史を学ぶ 子にとっては、かなり衝撃的ではないでしょうか。コラムには「重税に苦しむ農民」「蝦夷の抵抗」、トライ(これは生徒に学習の成果として課題を投げかける コーナー)には「奈良時代の農民になったつもりで、生活のようすを絵日記に書いてみよう」と、鎌倉時代には「武士と農民の生活」の見出し、コラムには「地 頭をうったえた農民たち」、トライには「農民は、領主と地頭から、それぞれ何を要求されていたのだろうか」、室町時代には「借金ぼうびき宣言」なる碑文を 写真で掲載し、「どうして借金がぼう引きになったのだろうか」と問うています。 秀吉の時代に入っては、「朝鮮侵略」の見出しで「李舜臣と亀甲船」の写真を掲載し、「李舜臣」を朝鮮を救った英雄と紹介。さらに「李舜臣が英雄といわれ ているのはなぜだろうか」まで問いかけ、トライでは「検地と刀狩によって農民や武士の生活はどのように変わったのか」問うています。江戸時代でもやはり、 農民の生活について、年貢納めや農民の生活心得として「慶安の御触書」などを例にあげ、幕府の規制を加えたことを記述しています。また「地域の水争いなど について調べてみよう」と薦め、幕末の「歴史にチャレンジコーナー」では、「世直しを求める人々」という特集を設けて、幕末の民衆はどのような要求をし て、それを実現するためにどのような運動を進めたのか調べることを促しています。具体的には、渋染一揆や南部三閉伊一揆を取り上げ、一揆の指導者の像を写 真で掲載し、「これらの運動が近代にどのように受けつがれたのか考えてみよう、自分たちの近くの地域であった一揆について調べてみよう」と促しています。 明治維新では、先ず「人々は、新政府のどのような政策に反対したのだろうか」と問いかけ、農民一揆と士族の反乱を、全国で徴兵反対、地租改正反対、貢租 減免要求、新政反対が起きたところを例示しています。「立憲政治への道のり」では、「専制政治への不満」という見出しで、「新政府の改革に対する反対運動 はどのように展開していったのだろうか」「自由民権運動の高まりと農民の暮らしとはどのようなかかわりがあったのだろうか」と問うています。 日清戦争以降については、掲載されている写真で説明しましょう。「朝鮮の東学の指導者が捕らえられた」写真、「都市に攻め入る日本軍」の写真、「日本へ の割譲に反対する武装した台湾の民衆」の写真、「増税に泣く国民」の写真、「義兵戦争での朝鮮人」の写真(「日本の侵略に対し、朝鮮の人々は武器を取って 戦いました」とコメント)、「日本語で授業を受ける朝鮮のこどもたち」の写真、「兵器を作る女性」の写真。そして「朝鮮のジャンヌ・ダルクの銅像」という 写真を載せ、「韓国にある柳寛順という16歳の少女の銅像です。彼女は朝鮮独立を求め、三・一独立運動への参加を人々に呼びかけたため、日本軍に捕らえら れました。きびしい拷問を受けても『独立万歳』を叫び続け、ついに命をうばわれましたが、その毅然とした態度は、今も人々に語り継がれています」とコメン トしています。 大正デモクラシーでは、「国会議事堂をとりまく民衆」の写真、「演説会で差別と戦いを訴える少年」の写真、「自警団」の写真、「朝鮮神宮に参拝させられ る朝鮮の学生たち」の写真、「住民の徴発(泰緬鉄道の工事とコメント)」の写真、「日本軍による犠牲者の記念碑(シンガポールで日本軍に殺された住民を追 悼するための塔)」の写真とコメント、「朝鮮人強制連行特集で集められた朝鮮の人々」の写真、「解放を喜ぶ朝鮮の人々(8月15日は朝鮮が解放された記念 日ともなった)」の写真とコメント、そして教科書の最後は「強制連行に対する日本政府の補償と謝罪を求める裁判をおこした韓] ]>