6月13日、自民党新令和会の代表質問に立ちました。
2024年06月24日 更新
6月13日、自民党新令和会の代表質問に立ちました。
ここ30年余り、経済の停滞、災害、不登校、自殺、不正事件などが続いていますが、原因は何か。
キャッチアップ時代が終わり、目標が定まらない経済対策、救える命も救えない災害対応体制、増え続ける不登校と激減する教員志望者がでる教育体制、薬や自動車産業などの不正事件対応など、どれをとっても、情報通信技術などの発達によって社会状況が大きく変化しているのに、制度の目的と実状がずれ、うまく機能しなくなった状況、つまり「制度疲労」が大きな原因だと思う。
このため、我が会派では、これまで、データ分析による課題解決を図り、前例踏襲から決別し、思い切って「変える」ことを前提に多くのことを提言してきましたことを踏まえ、、今年度も会派一丸となって取り組んで行く思いで、代表質問に立ちました。
質問要旨
問1 災害からの復旧・復興と県民を取り巻く危機への対応について
(1)復旧・復興ロードマップについて、着手状況や進度を随時数値で公表し、状況を点検して、ロードマップを随時改定していくほか、県内被災自治体のロードマップと整合を図ったうえで、液状化対策含め、連携・協力して取り組むべきだが、所見を問う。
(知 事)
(2)災害対応検証会議において、避難所の開設・運営に加えて、避難所の在り方や質の改善も検証し、今後の大規模災害に備えていく必要があると考えるが、所見を問う。
珠洲市や氷見市の避難所を視察したが、間仕切りが段ボールで作られた避難所も見られた。プライバシーの確保や衛生対策、快適性の確保など災害関連死を防ぐ観点からも、避難所の質を上げていく必要性を強く感じた。避難所はひと昔前からその環境が変わっていない。
(危機管理局長)
(3)災害時における危機管理の体制について、これまで以上に県内市町村や国の機関などとの連携を今から一層密にすべきと考えるが、所見を問う。
今回のような大きな地震を経験したことのなかった県や市町村などにおいてはどう対応したらよいか判断できない事例もあったと考える。今年も台風や線状降水帯の発生などの大きな自然災害に対し、その予測や予報を事前に把握しておくはもちろんのこと、迅速な対応のために県内市町村や国の機関などの間で情報を共有し連携した行動をとることが重要。
(危機管理局長)
問2 自立した社会経済システムの確立について
(1)食料・農業・農村基本法改正について
ア 本県農業に対する課題をどのように認識しているのか。また、特に若い農業者の支援を積極的に行うことにより世代交代を促す取組みや、全庁的そして市町村と一体となった取組みが必要と考えるが、今後どのように取り組んでいくのか。
今回の改正基本法を踏まえ、みどりの食料システム戦略を進めるため、まずは本県農業の現状をデータで深く分析したうえで、10年後、20年後の本県農業の姿を示すとともに、農業サイドのみならず、学校給食を含めた取組みも必要。
(佐藤副知事)
イ 県産農林水産物等の輸出拡大について、計画の目標達成に向けて、昨年度までの輸出実績をどう分析し、今後どのように取り組んでいくのか。
海外の日本食レストラン数の調査結果によれば、県が輸出先として注力している欧州・アジア地域などで日本食レストラン数が増加しており、輸出拡大に向けて追い風が吹いている状況にある。海外の日本食レストランに向け販路を開拓するなど一層の努力が必要。
(佐藤副知事)
(2)物価高騰及び価格転嫁について
ア 県内中小企業・小規模事業者の適正な価格転嫁と生産性の向上に向け、どのような支援に取り組んでいくのか、これまでの支援による価格転嫁の現状と併せて問う。
中小企業・小規模事業者にあっては物価上昇に賃金が追いついていない状況にあり、労働生産性の向上ができていないことが原因。県ではDX等による生産性向上のための支援をしているが、実効性を高めるには、業種ごとの実態を調査し、データ分析のうえ、実態に応じた効果的な支援が必要。
(商工労働部長)
イ 本県産の農産物価格決定について、現状をどう認識し、機運醸成に具体的にどのように取り組んでいくのか。
先の2月定例会では、農業分野における価格転嫁が十分に進んでいない状況を指摘したところ、県民全体で農林水産業を応援する機運の醸成に努めるとの答弁があった。大半の農産物の価格は小売価格ありきで決まっているところに問題がある。この問題は、国においても議論されてきたが、「合理的な価格の形成に向けた関係者の合意の醸成」には難航も予想される。
(農林水産部長)
(3)公共工事の施工について
ア 公共工事に携わる者のワーク・ライフ・バランスや健康を守ることを前提としながらも、働く意欲を尊重のうえ、賃金水準を確保しつつ、県民生活を支える公共工事の進ちょくが遅れることのないようにすべきと考えるが、どのように対応していくのか。
時間外労働の上限規制が建設業にも適用された。本県の公共工事は、出水期のみならず降雪期も避ける必要があるなど、他の地域に比べて比較的短い工期で対応しなければならない特徴があり、公共工事の施工に影響がでるのではないかとの懸念がある。
(知 事)
イ 農業農村整備事業等について、債務負担行為を設定することで、速やかに工事着手の体制を整え、受注者が十分な工期を確保できるようにすべきと考えるが、所見を問う。
単年度の工期での発注では、受注者にとって十分な工期が確保できず工事の品質低下が懸念され、そのしわ寄せが農業者に及ぶことが考えられる。例えば、国への計画申請または国の採択と併せて、事業地区全体を対象に債務負担行為を設定することはできないか。
(農林水産部長)
問3 持続可能な社会の実現と地域の活性化について
(1)人口減少問題について
ア 人口減少問題について、新しく前向きな取組みを起こすためには、これまでとは異なる視点により創造的で新しい施策を打ち出していく必要があると考えるが、所見を問う。
「過度に悲観的になることなく、新しく前向きな取組みを起こすきっかけとしていくことが重要」との見解を示しているが、我が会派も大いに賛同する。例えば、県有施設を単純に合併や統合するのではなく、官民が連携し県民にとって利便性の高い施設を作ることで、若い世代に受け入れられ、将来担っていきたくなる環境を作っていくなど創造的に考えなければ、この人口減少時代をチャンスに変えることができない。
(知 事)
イ 県の人口未来構想本部において、客観的かつ詳細なデータをもとに議論が行われるべきと考えるがどうか、また、今後どのように人口減少問題について議論していくのか、所見を問う。
将来にわたって人口が減少していくという現実をしっかりと受け止め、希望的観測を排し、客観的なデータをもって議論すべきと考える。さらに、県としての明確なビジョンを示し、わかりやすいゴールを設定するだけでなく、県民と共有するところまで行わなければならない。
(地方創生局長)
(2)北陸新幹線について
ア 北陸新幹線の敦賀開業を踏まえ、観光振興の観点から、本県に対する敦賀開業の効果や、旅行者の変化を分析し、各種施策を展開することが本県の発展につながると考えるが、所見を問う。
福井県内各地で観光客が増加しているが、ゴールデンウィーク期間中には京都・敦賀間の「サンダーバード」や米原・敦賀間の「しらさぎ」の利用者が減少するなど変化もみられる。関西・中京方面から北陸新幹線の利用者は必ず乗り換えが発生することになることが影響しているのではないか。
(知 事)
イ 北陸新幹線の敦賀以西のルートについて、米原ルートへの見直しの声をどう受け止め、今後、どのような姿勢で大阪までの早期の全線整備に向けて取り組んでいくのか、所見を問う。
小浜京都ルートについては、着工の見通しが立たないことや、建設費が物価高騰等により2兆1,000億円を上回る見通しであることから、米原ルートの再考を求める声が上がっている。特に、京都においては、トンネル工事による残土処理の問題や地下水への影響が危惧されることなどから、反対の声もあがっており、問題が本当に解決できるか懸念されている。
(知 事)
(3)富山県武道館の整備について、県総合運動公園の魅力向上や周辺地域の活性化だけでなく、県内スポーツのさらなる振興につなげることで関係人口の拡大を目指すことも考慮して進めていくべきと考えるが、基本設計の進捗状況と併せて所見を問う。
富山県武道館の整備にあたっては、必要な機能を十分精査し、利用する県民や関係団体等の意見を十分聞いたうえで、真に県民に必要とされる施設とするだけではなく、県外・国外からも誘客できるような周辺の環境づくりにも考慮することで、県民が誇ることができる武道館にすべき。
(知 事)
(4)医療提供体制の整備について
ア 公立・公的医療機関の再編について、これまでの施策からもっと踏み込み、将来必要な医療ニーズを正確に把握したうえで、再編を県が先導していく必要があると考えるが、所見を問う。
人口減少において、公立・公的医療機関の果たす役割は重要であるが、医師の働き方が変化せざるを得ないことや、医師の確保が難しくなってきていることから、県民の命を守る観点でみると医療機関の統合・再編は避けて通れない大きな課題であると認識している。
(知 事)
イ 外国人患者の受診について、受診にあたっての課題をどう認識しており、今後どのように対応していくのか、県内の救命救急センター等における実態と体制の現状と併せて問う。
本県を訪れる外国人の増加に伴い、急な体調不良や事故などが原因で県内の医療機関を受診する外国人の数も増加するものと思われる。特に、救命救急センター等を受診する外国人については、必ずしも平日や昼間の受診とは限らないため、医療技術者の確保だけでなく通訳など特別な準備が必要となることから、対応が困難な場合も多いと考える。
(厚生部長)
(5)富山空港における混合型コンセッションの導入に関して、空港の活性化につなげるための施策の方向性と、新規の国内・国際路線の開拓などの取組みをはじめとした各種の具体的施策を今後どのように展開していくのか、所見を問う。
富山空港の役割を持続的に発揮させるため、空港そのものの整備だけでなく、近隣施設との連携強化のほか、チャーター便の活用による国内・国際路線の開拓など、空港の「稼ぐ力」を伸ばす取組みをこれまで以上に強化することが必要。
(交通政策局長)
問4 未来を担うひとづくりについて
(1)教育改革に向け、今後、単なる意見集約ではなく、客観的なデータの収集や詳細な分析を行ったうえで総合教育会議の場などにおいて議論を進めていく必要があると考えるが、所見を問う。
これまでの県立高校教育振興検討会議などでの議論を見ると、前例踏襲ではないかと感じられる。例えば、地元の高校あるいは県外の高校への進学状況やその理由などの分析や、高校に進学した生徒に対する調査でどのような学校が生徒に必要とされているかなどの分析ができるが、これまで客観的なデータに基づく分析が十分に行われていない。
(知 事)
(2)若い世代や県外で活躍している本県出身者の意見を総合教育会議での議論に反映することが、今後の生徒のニーズに応えた教育改革につながると考えるが、所見を問う。
若者が本県を選ぶことにつながるよう、教育を受ける側の若い世代の直接参加や、県外で活躍している本県出身者からの意見は欠かせないと考える。今後、例えば、若い世代や県外で活躍している本県出身者の意見を聴取するワーキングチームなどの場を設定してはどうか。
(教育長)
(3)県立高校について、単に地域バランスを考慮した配置ではなく、市町村や地元と連携しながら、それぞれの特色を活かした多様な学校づくりを進めていくべきと考えるが、所見を問う。
各学区に同じパターンの学校を一律に配置することは疑問である。例えば、生徒の少ない地域では地域の問題として捉え、地域の特色を活かした抜本的な取組みが必要である。また、生徒の多い地域には国際バカロレア校や中高一貫教育校など特色あるタイプの学校の設置や、ICTを活用した遠隔教育の実施など通学事情に配慮した上で、職業科については拠点校を1校設置し、地域にはキャンパス校を設けるなどの取組みが必要と考える。
(知 事)
(4)多くの子どもが海外へ行く機会を拡充するため、研修や留学への経済的な支援や単位の認定、姉妹校提携による交流などを拡大していく必要があると考えるが、所見を問う。
若いうちに異文化を体験し、異なる価値観を持つ人たちと交流をすることは、海外に向けてチャレンジできる人材を育成するためにも重要であり、高校生が海外での経験を積むことのできる施策の意義は極めて大きい。県内の県立高校の同窓会や私立高校における独自の取組みを横展開することも効果的ではないか。
(教育長)
問5 新田県政のこれまでの成果と決意について
今任期の成果と、県政の様々な課題を踏まえ今後どのように取り組んでいくのか、また、秋の知事選挙に向けて、引き続き県政を担う決意と抱負を問う。
豪雪や鳥インフルエンザ、豪雨、能登半島地震などの各種災害対応をこなすなか、新しい富山のさらなる発展のため成長戦略ビジョンを策定したことや、市町村長とワンチームとなって課題解決していく姿は大いに評価している。
(知 事)
代表質問 全文
私は、自民党新令和会を代表いたしまして、今定例会に提出されました諸案件並びに当面する諸問題について質問をいたします。
質問に先立ちまして、一言申し上げます。
ここ30年間は、経済の停滞、災害、不登校、自殺、不正事件などが続いていますが、原因は何か。
キャッチアップ時代が終わり、目標が定まらない経済対策、救える命も救えない災害対応体制、増え続ける不登校と激減する教員志望者がでる教育体制、薬や自動車産業などの不正事件対応など、どれをとっても、情報通信技術などの発達によって社会状況が大きく変化しているのに、制度の目的と実状がずれ、うまく機能しなくなった状況、つまり「制度疲労」が大きな原因だと思うのであります。
このため、我が会派では、これまで、データ分析による課題解決を図り、前例踏襲から決別し、思い切って「変える」ことを前提に多くのことを提言してきました。実現させるためには発信力に加え、突破力を期待し、以下質問に入ります。
最初に災害からの復旧・復興と県民を取り巻く危機への対応について3点伺います。
まず、能登半島地震による被害のロードマップに基づく復旧・復興の進捗について伺います。
このたびの地震では、人的な被害、家屋の倒壊などほか、道路や水道などの公共インフラ、農地・農業用施設まで幅広い範囲で被害が発生しています。
これらの被害からの一刻も早い復旧・復興に向けて、県では「富山県復旧・復興ロードマップ」を3月にとりまとめ、
取組みの全体像や時間軸を「見える化」することなどに取組んでいます。
そこで、このロードマップに基づく現時点での復旧・復興はどれだけ進んでいるのか、
着手状況に加えてその進度を随時数値で公表するほか、今後、復旧・復興の状況を随時点検し、このロードマップを随時改定していくことが必要だと考えますが、新田知事の所見をお伺いいたします。
さらに県内の被災自治体においても同様のロードマップを作成していますが、それらのロードマップとの整合を図ったうえで、
液状化被害に対する支援を含め、被災自治体と連携・協力して復旧・復興に取組むべきと考えますが、この点も併せて伺います。
次に、能登半島地震に係る
災害対応検証会議について伺います。
県は能登半島地震における対応を検証するため、先月第1回目の災害対応検証会議を開催されました。
今後、14項目にわたる課題を検証し、その結果を各種計画・マニュアルに 反映されると聞いております。
被災した方々が最初に必要とするのは、避難所でありますが、その避難所については、ひと昔前からその環境は変わっていないように見受けられます。
我が会派は珠洲市や氷見市の避難所を視察しましたが、未だに、間仕切りが段ボールでありました。プライバシーの確保や
衛生対策、快適性の確保など、災害関連死を防ぐ観点からも、避難所の質を上げていく必要性を強く感じたところです。
そこで、検証会議における避難所の開設・運営の検証にあわせて、避難所の在り方や質の改善も検証し、今後の大規模災害に備えていく必要があると考えますが、武隈危機管理局長に伺います。
次に、能登半島地震を契機とした危機管理体制の見直しについて伺います。
今回の地震がきっかけで県民の防災意識は格段に高まったことは確実でありますが、その反面、県を含め今回のような大きな地震を経験したことのなかった県内市町村や国の機関などにおいても、どう対応したらよいか判断ができない事例もあったと思われます。
これらの事例については、先ほど取り上げました検証会議においても当然議論されるものではありますが、一方で、今年も警戒を発せられている大型で強い台風と猛暑、線状降水帯の発生など、大きな被害が予想される自然災害に対して、本県におけるその予測や予報を事前に把握しておくことが必要であり、さらに迅速な対応のためには、それらの情報を県内市町村や国の機関などの間で共有したうえで、連携した行動をとることは特に重要であると考えます。
そこで、災害時における危機管理の体制について、これまで以上に県内市町村や国の機関などとの連携を、今から一層密にすべきと考えますが、危機管理局長に伺います。
次に、自立した社会経済システムの確立について、6点伺います。
まず、食料・農業・農村基本法をめぐる諸課題についてであります。
今国会においては、四半世紀ぶりに食料・農業・農村基本法が改正され、食料安全保障の確保をはじめとした3本柱に基づいた基本的施策が定められました。
これまでも「農は国の基(もとい)」と言われてきましたが、対照的に農林水産省予算は四半世紀で25%減少していることは非常に残念なことでありますが、
農業所得を向上させ、安定した食料供給を続けていくには、限られた予算が意欲ある農業者に届くよう
「集中投資」していく必要があります。
改正基本法に明記された目標を本県で達成していくには、まずは本県農業の現状をデータで深く分析したうえで、10年後、20年後の本県農業の姿を示し、意欲ある若い農業者への支援を積極的に行い、世代交代を促していくべきと考えますが、本県農業に対する認識と今後の取組みについて佐藤副知事に伺います。
さらに、みどりの食料システム戦略を進めるには、農業サイドだけでなく学校給食を含め全庁的な取り組みと市町村と一体となった取り組みが必要でありますが、どのように取り組むのか伺います。
次に、県内農林水産物の輸出拡大について伺います。
人口減少に伴う国内市場の縮小があらゆる産業で懸念されているところであり、農林水産業もその例外ではありません。
県では、国内市場の縮小も見据えて「とやま輸出ジャンプアップ計画」を策定し、海外販路の拡大に取り組んでいるところですが、持続可能な食料供給基盤の確立を図るためには、県産農林水産物の輸出拡大に一層努力しなければなりません。
一方、海外における日本食レストラン数の調査結果によれば、県が輸出先として注力している欧州・アジア地域などで日本食レストラン数が増加しており、
輸出拡大に向けて追い風が吹いている状況もあります。
そこで、令和5年度までの県産農林水産の輸出実績をどのように分析しているのか、また、目標年次まで残り3年となった「とやま輸出ジャンプアップ計画」達成に向けては、海外進出している日本食レストランと連携して販路を開拓するなど一層の努力が必要でありますが、どのように取り組んでいくのか、佐藤副知事に伺います。
次に、昨今の物価高騰及び事業者の価格転嫁について伺います。
大企業の決算発表を見ますと、業界などにより濃淡はあるものの、業績は概ね好調であり、過去最高益というものもかなりみられます。
このような中にあって、中小企業・小規模事業者では、物価上昇に賃金が追い付いてない状況が続いており、その原因は労働時間の減少や労働配分率の低下と言われていますが、その背景には労働生産性の向上ができていないところに、大きな原因があると考えます。
それゆえに、円安による原材料費などの経費の増高にもかかわらず、依然として価格転嫁ができていないのが現状であります。
県では、DX等による生産性向上のための支援を展開していますが、実効性を高めるには、業種ごとの実態を調査し、
データ分析のうえ、実態に応じた効果的な支援が必要と考えます。
そこで、これまでの県の支援により県内の中小企業・小規模事業者は適正な価格転嫁ができているのか、また、引き続きどのような支援に取り組んでいくのか、山室商工労働部長に伺います。
次に、農産物の適正な価格の形成について伺います。
先の2月定例会では、農業分野における価格転嫁が十分に進んでいない状況を指摘したところです。
県内では生産者が農林水産物の価格を決め販売している売り場もありますが、大半の農産物の価格は小売価格ありきで決められてしまっているところに問題があると考えます。
この問題は、国においても食料・農業・農村基本法改正の中で議論されてきましたが、「合理的な価格の形成に向けた関係者の合意の醸成」には難航も予想されます。
令和6年度において、県は県民全体で農林水産業を応援する機運の醸成に努めるとしていますが、その前提として本県産の農産物価格決定の現状についてどのように認識しているのか、そのうえで機運醸成に具体的にはどのように取り組むのか、津田農林水産部長に伺います。
次に、公共工事の施工について伺います。
この4月から、働き方改革関連法が全ての業種に対して適用されました。
今般の改革は、「働き過ぎ」を防ぎながら、「ワーク・ライフ・バランス」と「多様で柔軟な働き方」を実現するものとされています。
一方で、時間外労働の上限規制が建設事業にも適用されたことで、公共工事の施工に影響が出るのでは
ないかとの懸念があります。
特に本県の公共工事は、出水期と降雪期を避ける必要があるなど、他地域よりも比較的短い工期で集中施工しなければならないという特徴があります。
そこで、公共工事に携わる方々のワーク・ライフ・バランスや健康を守ることは大前提でありながらも、
公共工事に携わる方々の「働きたい」という意欲を尊重し、賃金水準を確保しつつ、県民生活を支える公共工事の進捗が遅れることのないようにしていくべきと考えますが、
県はどのように対応していくのか、知事にお伺いいたします。
次に、債務負担行為の設定による工期確保の取組みについてお伺いします。
農地や農業施設等を整備する農業農村整備事業等は、当然のことながら 農作物の作付期間は施工できないうえに、冬期に積雪があることから施工可能な期間はさらに短くなります。
県の会計年度独立の原則の意義は 十分承知しているところでありますが、
単年度の工期での発注では、受注者にとって十分な工期が確保できず、工事の品質低下が懸念され、
そのしわ寄せが農業者に及ぶことは、避けなければなりません。
そこで、農業農村整備事業等について、例えば国への計画認定申請、または国の採択と併せて、事業地区全体を対象に債務負担行為を設定することにより、速やかな工事着手の体制を整え、受注者が十分な工期を確保できるようにすべきと考えますが、農林水産部長に伺います。
次に、持続可能な社会の実現と地域の活性化について8点伺います。
まず、人口減少問題についてこれまでとは異なる視点に基づく施策の推進について伺います。
本年5月に発表された人口推計によると本県の人口は100万人を割り込み、知事は「過度に悲観的になることなく、
新しく前向きな取組みを起こすきっかけとしていくことが重要」との見解を示されましたが、この考えについては我が会派も大いに賛同するところであります。
そのためには、これまでとは異なる視点で新しいものを生み出す考えと、施策が必要であります。
たとえば県有施設をただ単に合併や統合するのではなく、官民が連携し県民にとって利便性の高い施設を作ることにより、
若い世代に受け入れられ、将来、担っていきたくなる環境を作るなど、創造的に考えなければ、この人口減少時代をチャンスに変えることができません。
そこで、知事のおっしゃる新しく前向きな取組みを起こすためには、このように、これまでとは異なる視点により、創造的で新しい施策を打ち出していく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に客観的なデータに基づく施策の推進について伺います。
本県では平成の時代より少子高齢化の問題が叫ばれ、人口減少問題に関する 会議などが立ち上げられ、計画が策定され、各種の施策が展開されてきましたが、目に見えた成果があがってきませんでした。
先ほど、これまでとは異なる視点を持つことの重要性について申し上げましたが、そのためには、将来にわたって人口が減少していくという現実をしっかりと受け止め、希望的観測を排し、客観的なデータをもって議論すべきだと考えます。
さらに、県として明確なビジョンを示し、わかりやすいゴールを設定するだけでなく、それらを県民と共有することまで行わなければならないと考えます。
そこで、過日、県に設置された「人口未来構想本部」において、今後どのように人口減少問題について議論していくのか、田中地方創生局長に伺います。
さらに、その議論は客観的かつ詳細なデータをもとに行われるべきと考えますが、この点ついても併せて伺います。
次に、北陸新幹線の敦賀開業が本県に及ぼした効果等について伺います。
本年3月の敦賀開業後、福井県内においては福井駅や敦賀駅周辺だけでなく、新幹線駅から離れた場所に存在する
東尋坊やレインボーライン、県立恐竜博物館など福井県内各地で観光客が増加したとのことです。
その一方で、本年のゴールデンウィーク期間中における利用状況についてJR西日本が公表したところでは、例えば京都・敦賀間の「サンダーバード」は前年度の90パーセント、そして米原・敦賀間の「しらさぎ」については、前年度の51パーセントにとどまっているなどの変化もみられます。
そして、関西方面または中京方面から北陸新幹線を利用される方については、必ず乗換えが発生することが影響しているのではないかと考えられます。
そこで、本県に対する敦賀開業の効果を分析するとともに、旅行者の変化を分析し、各種施策を展開することが、
よりいっそうの本県の発展につながると考えますが、これらの点について知事の所見をお伺いいたします。
次に、北陸新幹線の敦賀以西のルートについて伺います。
今ほど、在来線特急の利用状況について述べたところですが、特急と新幹線との乗換駅である敦賀より先のルートについては、平成28年に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、敦賀・大阪間のルートが小浜京都ルートに決定されたところです。
しかし、最近、小浜京都ルートの着工の見通しが立たないことや、建設費が物価高騰などによりルート決定時の国の試算額である およそ2兆1,000億円を上回る見通しであることから、一部の国会議員のほか、石川県内の県議会議員や市長を中心に、米原ルートの再考を求める声も上がってきております。
特に、京都においては、以前からトンネル工事により生じた残土処理の問題や地下水への影響が危惧されることなどから、
反対の声が上がっており、それらの問題が本当に解決できるのかが懸念されます。
そこで、米原ルートへの見直しの声を県としてどのように受け止め、今後、どのような姿勢で大阪までの早期の全線整備に向けて取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。
次に、富山県武道館について伺います。
県武道館については、令和9年度の開館を目指し、県総合運動公園内に整備することとなっており、昨年度の9月補正予算においては、整備にかかる基本設計に要する経費が盛り込まれたところです。
県武道館の整備にあたっては、必要な機能を十分精査し、利用する関係団体等の意見を十分聞いたうえで、真に県民に必要とされる施設となるよう、併せて、県外・国外からも誘客できるような周辺の環境づくりにも考慮することにより、県民が誇ることができる武道館にすべきであると考えます。
さらには、この県武道館の整備を契機として、県運動総合公園の魅力向上や周辺地域の活性化だけでなく、県内スポーツのさらなる振興につなげることにより、いわゆる関係人口の拡大を目指すことも極めて重要です。
そこで、今回の富山県武道館の整備にあたっては、これらの点を考慮して進めていくべきと考えますが、基本設計の進捗と併せて知事の所見をお伺いいたします。
次に、公立・公的医療機関の再編について伺います。
人口減少において、公立・公的医療機関の果たす役割は極めて重要でありますが、
医師の働き方が変化せざるを得ないことや、医師の確保が難しくなってきていることから、県民の命を守る観点でみると医療機関の統合再編は避けて通れない
大きな課題であると認識しています。
本県ではこれまで、医療提供体制の確保にあたっては、医学部の特別枠設定など
医師の確保・育成等のほか、各医療圏での医療機関の機能や役割分担について継続的に協議されています。
そこで、これまでの施策からもっと踏み込み、将来必要な医療ニーズを正確に把握したうえで、公立・公的医療機関の再編を県が先導していく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、外国人の救急受入れ体制について伺います。
本年3月の県の発表によれば、本県で生活する外国人はおよそ2万2千人であり過去最高となりました。
また、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことにより本県を訪れる外国人の数も増加傾向にあることから、急な体調不良や事故などが原因で県内の医療機関を受診する外国人の数も増加するものと思われます。
特に救命救急センター等を受診する外国人については、必ずしも平日や昼間の受診とは限らないため、医療技術者の確保だけでなく、通訳など特別な準備が必要となることから、対応が困難な場合も多いと思われます。
そこで、外国人患者の受診について、県内の救命救急センター等における実態と体制は現状どのようになっているのか、
また、外国人患者の受診にあたっての課題と今後の対応について有賀厚生部長に伺います。
次に、富山空港の混合型コンセッションついて伺います。
富山空港については、かねてより混合型コンセッションを導入する方向で準備が進められており、今後の運営事業者選定の実施を見据えて、その事業内容等について意見を伺うことを目的とした民間ヒアリングが行われたと聞いております。
富山空港の役割を持続的に発揮させるため、空港そのものの整備だけでなく、近隣施設との連携強化のほか、チャーター便の活用による国内・国際路線の開拓など、空港の「稼ぐ力」を伸ばす取組みをこれまで以上に強化することが必要と考えます。
そこで、富山空港における混合型コンセッションの導入に関して、空港の活性化につなげるための施策の方向性と、新規の国内・国際路線の開拓などの取り組みをはじめとした各種の具体的施策を今後どのように展開していくのか、田中交通政策局長の所見を伺います。
次に、教育改革など、未来を担う人づくりについて、4点伺います。
はじめに、客観的なデータの分析に基づいた教育改革の取組みについて伺います。
去る4月に「県立高校教育振興の基本的な方針について」の提言がとりまとめられましたが、これまでの県立高校教育振興検討会議などでの議論を見ると、これは前例踏襲ではないかと感じられます。
例えば、地元の高校、あるいは県外の高校へどれだけ進学していて、その理由などの分析や、高校に進学した生徒に対する調査により、どのような学校が真に生徒に必要とされているかなどの分析が可能ですが、これまでそうした客観的なデータに基づく分析が十分になされていません。
そこで今後、単なる意見集約ではなく、客観的なデータの収集やそれらに基づく詳細な分析を行った上で、総合教育会議の場などにおいて議論を進めていく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、若い世代や県外で活躍している者からの意見聴取について伺います。
これまで高校教育に関する議論については、教育を受ける側の若い世代、いわゆる「Z世代」が直接参加していません。
Z世代の考え方は、議論を行っている世代のものとは全く違うため、彼らの考えを置き去りにした議論を進めても、果たして知事の言う「こどもまんなか」の視点に立った、生徒のニーズに応えた議論ができるのか、疑問に感じます。
さらに県内でも活躍できる環境を整えることにより、若者が本県を選ぶことにつながるという認識を示していますが、県外で活躍している県内出身の方からの意見を聴取することは、欠かせないと思います。
そこで、今後、たとえばワーキングチームなどの場を設定し、このような若者世代の意見を総合教育会議での議論に反映することが、今後の生徒のニーズに応えた教育改革につながると考えますが、廣島教育長の所見を伺います。
次に、地域バランスではなく地域の特色を活かした取組みについて伺います。
県立高校教育振興検討会議の提言によれば、県立高校配置の考え方として「生徒が一定の通学時間内にある高校から多様な選択ができるよう、様々な学科構成や規模の学校をバランスよく配置することが望ましい」とされていますが、これでは各学区に同じパターンの学校を一律に配置することになり、はなはだ疑問であります。
例えば、生徒の少ない地域では地域の問題として捉え、地域の特色を活かした抜本的な取組みが必要であると考えます。
また、生徒の多い地域には国際バカロレア校や中高一貫教育校など特色あるタイプの学校を設けたり、さらに、ICTを活用した遠隔教育の実施など通学事情に配慮した上で、職業科については拠点校を1校設置し、地域にはキャンパス校を設けるなどの取組みが必要ではないかと考えます。
そこで、県立高校について単に地域バランスを考慮した配置ではなく、市町村や地元と連携しながら、それぞれの特色を活かした多様な学校づくりを進めていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、子どもの海外経験につながる施策の推進について伺います。
若いうちに異文化を体験し、異なる価値観を持つ人たちと交流をすることは、海外に向けてチャレンジできる人材を育成するためにも重要であり、高校生が海外での経験を積むことのできる施策の意義は極めて大きいものと考えます。
県では富山県高等学校生徒海外派遣事業や、とやま型スーパーグローバルハイスクール事業、とやまの高校生留学促進事業を推進していますが、一方、県内の私立高校においては、独自に海外に複数の姉妹校を持ち、相互に訪問・交流を行う取組みや、留学を推奨し、その留学期間中の単位認定を行う取組み、さらには、県立高校においてふるさと納税を活用した海外研修事業の実施や同窓会での基金を活用した海外研修の支援などの取組みがあり、こうした独自の取組みを横展開することが効果的ではないかと考えます。
そこで、今後、多くの子どもが海外へ行く機会を拡充するため、研修や留学への経済的な支援や単位の認定、姉妹校提携による交流などを拡大していく必要があると考えますが、教育長の所見を伺います。
最後に、知事の今任期4年間の成果と今後の課題と決意についてであります。
新田知事におかれては、去る3月に秋の知事選に出馬することを表明され、自民党県連に対し推薦依頼があったことから、常任総務会で推薦を決定し、5月26日の県連大会で承認されました。
その際、新田知事からはその決意を伺ったところであり、我が会派は引き続きしっかりと支援していく所存であります。
「変えていこう、新しい富山へ」のスローガンを掲げ当選された新田知事には民間出身でコロナ禍や1期目であったことから、期待と不安もありましたが、豪雪、鳥インフルエンザ、豪雨、地震などの各種災害対応をしっかりとこなす中、新しい富山のさらなる発展のため、突き抜けた議論を経て成長戦略ビジョンを策定するなど、また市町村長とワンチームとなって課題解決していく姿は大いに評価しているところであります。
そこで、今任期の成果と県政の様々な課題に向け、今後どのように取り組んでいくのか、また秋の知事選挙に臨み、引き続き県政を担う決意と抱負を知事にお伺いいたしまして、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。