中川ただあき|富山県議会議員|自民党

6月13日、自民党新令和会の代表質問に立ちました。

2024年06月24日 更新

6月13日、自民党新令和会の代表質問に立ちました。

 

ここ30年余り、経済の停滞、災害、不登校、自殺、不正事件などが続いていますが、原因は何か。

キャッチアップ時代が終わり、目標が定まらない経済対策、救える命も救えない災害対応体制、増え続ける不登校と激減する教員志望者がでる教育体制、薬や自動車産業などの不正事件対応など、どれをとっても、情報通信技術などの発達によって社会状況が大きく変化しているのに、制度の目的と実状がずれ、うまく機能しなくなった状況、つまり「制度疲労」が大きな原因だと思う。

このため、我が会派では、これまで、データ分析による課題解決を図り、前例踏襲から決別し、思い切って「変える」ことを前提に多くのことを提言してきましたことを踏まえ、、今年度も会派一丸となって取り組んで行く思いで、代表質問に立ちました。

 

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質問要旨

問1 災害からの復旧・復興と県民を取り巻く危機への対応について

(1)復旧・復興ロードマップについて、着手状況や進度を随時数値で公表し、状況を点検して、ロードマップを随時改定していくほか、県内被災自治体のロードマップと整合を図ったうえで、液状化対策含め、連携・協力して取り組むべきだが、所見を問う。

(知 事)

(2)災害対応検証会議において、避難所の開設・運営に加えて、避難所の在り方や質の改善も検証し、今後の大規模災害に備えていく必要があると考えるが、所見を問う。

珠洲市や氷見市の避難所を視察したが、間仕切りが段ボールで作られた避難所も見られた。プライバシーの確保や衛生対策、快適性の確保など災害関連死を防ぐ観点からも、避難所の質を上げていく必要性を強く感じた。避難所はひと昔前からその環境が変わっていない。

(危機管理局長)

(3)災害時における危機管理の体制について、これまで以上に県内市町村や国の機関などとの連携を今から一層密にすべきと考えるが、所見を問う。

今回のような大きな地震を経験したことのなかった県や市町村などにおいてはどう対応したらよいか判断できない事例もあったと考える。今年も台風や線状降水帯の発生などの大きな自然災害に対し、その予測や予報を事前に把握しておくはもちろんのこと、迅速な対応のために県内市町村や国の機関などの間で情報を共有し連携した行動をとることが重要。

(危機管理局長)

問2 自立した社会経済システムの確立について

(1)食料・農業・農村基本法改正について

ア 本県農業に対する課題をどのように認識しているのか。また、特に若い農業者の支援を積極的に行うことにより世代交代を促す取組みや、全庁的そして市町村と一体となった取組みが必要と考えるが、今後どのように取り組んでいくのか。

今回の改正基本法を踏まえ、みどりの食料システム戦略を進めるため、まずは本県農業の現状をデータで深く分析したうえで、10年後、20年後の本県農業の姿を示すとともに、農業サイドのみならず、学校給食を含めた取組みも必要。

(佐藤副知事)

イ 県産農林水産物等の輸出拡大について、計画の目標達成に向けて、昨年度までの輸出実績をどう分析し、今後どのように取り組んでいくのか。

海外の日本食レストラン数の調査結果によれば、県が輸出先として注力している欧州・アジア地域などで日本食レストラン数が増加しており、輸出拡大に向けて追い風が吹いている状況にある。海外の日本食レストランに向け販路を開拓するなど一層の努力が必要。

(佐藤副知事)

(2)物価高騰及び価格転嫁について

ア 県内中小企業・小規模事業者の適正な価格転嫁と生産性の向上に向け、どのような支援に取り組んでいくのか、これまでの支援による価格転嫁の現状と併せて問う。

中小企業・小規模事業者にあっては物価上昇に賃金が追いついていない状況にあり、労働生産性の向上ができていないことが原因。県ではDX等による生産性向上のための支援をしているが、実効性を高めるには、業種ごとの実態を調査し、データ分析のうえ、実態に応じた効果的な支援が必要。

(商工労働部長)

イ 本県産の農産物価格決定について、現状をどう認識し、機運醸成に具体的にどのように取り組んでいくのか。

先の2月定例会では、農業分野における価格転嫁が十分に進んでいない状況を指摘したところ、県民全体で農林水産業を応援する機運の醸成に努めるとの答弁があった。大半の農産物の価格は小売価格ありきで決まっているところに問題がある。この問題は、国においても議論されてきたが、「合理的な価格の形成に向けた関係者の合意の醸成」には難航も予想される。

(農林水産部長)

(3)公共工事の施工について

ア 公共工事に携わる者のワーク・ライフ・バランスや健康を守ることを前提としながらも、働く意欲を尊重のうえ、賃金水準を確保しつつ、県民生活を支える公共工事の進ちょくが遅れることのないようにすべきと考えるが、どのように対応していくのか。

時間外労働の上限規制が建設業にも適用された。本県の公共工事は、出水期のみならず降雪期も避ける必要があるなど、他の地域に比べて比較的短い工期で対応しなければならない特徴があり、公共工事の施工に影響がでるのではないかとの懸念がある。

(知 事)

イ 農業農村整備事業等について、債務負担行為を設定することで、速やかに工事着手の体制を整え、受注者が十分な工期を確保できるようにすべきと考えるが、所見を問う。

単年度の工期での発注では、受注者にとって十分な工期が確保できず工事の品質低下が懸念され、そのしわ寄せが農業者に及ぶことが考えられる。例えば、国への計画申請または国の採択と併せて、事業地区全体を対象に債務負担行為を設定することはできないか。

(農林水産部長)

問3 持続可能な社会の実現と地域の活性化について

(1)人口減少問題について

ア 人口減少問題について、新しく前向きな取組みを起こすためには、これまでとは異なる視点により創造的で新しい施策を打ち出していく必要があると考えるが、所見を問う。

「過度に悲観的になることなく、新しく前向きな取組みを起こすきっかけとしていくことが重要」との見解を示しているが、我が会派も大いに賛同する。例えば、県有施設を単純に合併や統合するのではなく、官民が連携し県民にとって利便性の高い施設を作ることで、若い世代に受け入れられ、将来担っていきたくなる環境を作っていくなど創造的に考えなければ、この人口減少時代をチャンスに変えることができない。

(知 事)

イ 県の人口未来構想本部において、客観的かつ詳細なデータをもとに議論が行われるべきと考えるがどうか、また、今後どのように人口減少問題について議論していくのか、所見を問う。

将来にわたって人口が減少していくという現実をしっかりと受け止め、希望的観測を排し、客観的なデータをもって議論すべきと考える。さらに、県としての明確なビジョンを示し、わかりやすいゴールを設定するだけでなく、県民と共有するところまで行わなければならない。

(地方創生局長)

(2)北陸新幹線について

ア 北陸新幹線の敦賀開業を踏まえ、観光振興の観点から、本県に対する敦賀開業の効果や、旅行者の変化を分析し、各種施策を展開することが本県の発展につながると考えるが、所見を問う。

福井県内各地で観光客が増加しているが、ゴールデンウィーク期間中には京都・敦賀間の「サンダーバード」や米原・敦賀間の「しらさぎ」の利用者が減少するなど変化もみられる。関西・中京方面から北陸新幹線の利用者は必ず乗り換えが発生することになることが影響しているのではないか。

(知 事)

イ 北陸新幹線の敦賀以西のルートについて、米原ルートへの見直しの声をどう受け止め、今後、どのような姿勢で大阪までの早期の全線整備に向けて取り組んでいくのか、所見を問う。

小浜京都ルートについては、着工の見通しが立たないことや、建設費が物価高騰等により2兆1,000億円を上回る見通しであることから、米原ルートの再考を求める声が上がっている。特に、京都においては、トンネル工事による残土処理の問題や地下水への影響が危惧されることなどから、反対の声もあがっており、問題が本当に解決できるか懸念されている。

(知 事)

(3)富山県武道館の整備について、県総合運動公園の魅力向上や周辺地域の活性化だけでなく、県内スポーツのさらなる振興につなげることで関係人口の拡大を目指すことも考慮して進めていくべきと考えるが、基本設計の進捗状況と併せて所見を問う。

富山県武道館の整備にあたっては、必要な機能を十分精査し、利用する県民や関係団体等の意見を十分聞いたうえで、真に県民に必要とされる施設とするだけではなく、県外・国外からも誘客できるような周辺の環境づくりにも考慮することで、県民が誇ることができる武道館にすべき。

(知 事)

(4)医療提供体制の整備について

ア 公立・公的医療機関の再編について、これまでの施策からもっと踏み込み、将来必要な医療ニーズを正確に把握したうえで、再編を県が先導していく必要があると考えるが、所見を問う。

人口減少において、公立・公的医療機関の果たす役割は重要であるが、医師の働き方が変化せざるを得ないことや、医師の確保が難しくなってきていることから、県民の命を守る観点でみると医療機関の統合・再編は避けて通れない大きな課題であると認識している。

(知 事)

イ 外国人患者の受診について、受診にあたっての課題をどう認識しており、今後どのように対応していくのか、県内の救命救急センター等における実態と体制の現状と併せて問う。

本県を訪れる外国人の増加に伴い、急な体調不良や事故などが原因で県内の医療機関を受診する外国人の数も増加するものと思われる。特に、救命救急センター等を受診する外国人については、必ずしも平日や昼間の受診とは限らないため、医療技術者の確保だけでなく通訳など特別な準備が必要となることから、対応が困難な場合も多いと考える。

(厚生部長)

(5)富山空港における混合型コンセッションの導入に関して、空港の活性化につなげるための施策の方向性と、新規の国内・国際路線の開拓などの取組みをはじめとした各種の具体的施策を今後どのように展開していくのか、所見を問う。

富山空港の役割を持続的に発揮させるため、空港そのものの整備だけでなく、近隣施設との連携強化のほか、チャーター便の活用による国内・国際路線の開拓など、空港の「稼ぐ力」を伸ばす取組みをこれまで以上に強化することが必要。

(交通政策局長)

問4 未来を担うひとづくりについて

(1)教育改革に向け、今後、単なる意見集約ではなく、客観的なデータの収集や詳細な分析を行ったうえで総合教育会議の場などにおいて議論を進めていく必要があると考えるが、所見を問う。

これまでの県立高校教育振興検討会議などでの議論を見ると、前例踏襲ではないかと感じられる。例えば、地元の高校あるいは県外の高校への進学状況やその理由などの分析や、高校に進学した生徒に対する調査でどのような学校が生徒に必要とされているかなどの分析ができるが、これまで客観的なデータに基づく分析が十分に行われていない。

(知 事)

(2)若い世代や県外で活躍している本県出身者の意見を総合教育会議での議論に反映することが、今後の生徒のニーズに応えた教育改革につながると考えるが、所見を問う。

若者が本県を選ぶことにつながるよう、教育を受ける側の若い世代の直接参加や、県外で活躍している本県出身者からの意見は欠かせないと考える。今後、例えば、若い世代や県外で活躍している本県出身者の意見を聴取するワーキングチームなどの場を設定してはどうか。

(教育長)

(3)県立高校について、単に地域バランスを考慮した配置ではなく、市町村や地元と連携しながら、それぞれの特色を活かした多様な学校づくりを進めていくべきと考えるが、所見を問う。

各学区に同じパターンの学校を一律に配置することは疑問である。例えば、生徒の少ない地域では地域の問題として捉え、地域の特色を活かした抜本的な取組みが必要である。また、生徒の多い地域には国際バカロレア校や中高一貫教育校など特色あるタイプの学校の設置や、ICTを活用した遠隔教育の実施など通学事情に配慮した上で、職業科については拠点校を1校設置し、地域にはキャンパス校を設けるなどの取組みが必要と考える。

(知 事)

(4)多くの子どもが海外へ行く機会を拡充するため、研修や留学への経済的な支援や単位の認定、姉妹校提携による交流などを拡大していく必要があると考えるが、所見を問う。

若いうちに異文化を体験し、異なる価値観を持つ人たちと交流をすることは、海外に向けてチャレンジできる人材を育成するためにも重要であり、高校生が海外での経験を積むことのできる施策の意義は極めて大きい。県内の県立高校の同窓会や私立高校における独自の取組みを横展開することも効果的ではないか。

(教育長)

問5 新田県政のこれまでの成果と決意について

今任期の成果と、県政の様々な課題を踏まえ今後どのように取り組んでいくのか、また、秋の知事選挙に向けて、引き続き県政を担う決意と抱負を問う。

豪雪や鳥インフルエンザ、豪雨、能登半島地震などの各種災害対応をこなすなか、新しい富山のさらなる発展のため成長戦略ビジョンを策定したことや、市町村長とワンチームとなって課題解決していく姿は大いに評価している。

(知 事)

代表質問 全文

私は、自民党新令和会を代表いたしまして、今定例会に提出されました諸案件並びに当面する諸問題について質問をいたします。

質問に先立ちまして、一言申し上げます。

ここ30年間は、経済の停滞、災害、不登校、自殺、不正事件などが続いていますが、原因は何か。

キャッチアップ時代が終わり、目標が定まらない経済対策、救える命も救えない災害対応体制、増え続ける不登校と激減する教員志望者がでる教育体制、薬や自動車産業などの不正事件対応など、どれをとっても、情報通信技術などの発達によって社会状況が大きく変化しているのに、制度の目的と実状がずれ、うまく機能しなくなった状況、つまり「制度疲労」が大きな原因だと思うのであります。

このため、我が会派では、これまで、データ分析による課題解決を図り、前例踏襲から決別し、思い切って「変える」ことを前提に多くのことを提言してきました。実現させるためには発信力に加え、突破力を期待し、以下質問に入ります。

最初に災害からの復旧・復興と県民を取り巻く危機への対応について3点伺います。

まず、能登半島地震による被害のロードマップに基づく復旧・復興の進捗について伺います。

このたびの地震では、人的な被害、家屋の倒壊などほか、道路や水道などの公共インフラ、農地・農業用施設まで幅広い範囲で被害が発生しています。

これらの被害からの一刻も早い復旧・復興に向けて、県では「富山県復旧・復興ロードマップ」を3月にとりまとめ、

取組みの全体像や時間軸を「見える化」することなどに取組んでいます。

そこで、このロードマップに基づく現時点での復旧・復興はどれだけ進んでいるのか、

着手状況に加えてその進度を随時数値で公表するほか、今後、復旧・復興の状況を随時点検し、このロードマップを随時改定していくことが必要だと考えますが、新田知事の所見をお伺いいたします。

さらに県内の被災自治体においても同様のロードマップを作成していますが、それらのロードマップとの整合を図ったうえで、

液状化被害に対する支援を含め、被災自治体と連携・協力して復旧・復興に取組むべきと考えますが、この点も併せて伺います。

次に、能登半島地震に係る

災害対応検証会議について伺います。

県は能登半島地震における対応を検証するため、先月第1回目の災害対応検証会議を開催されました。

今後、14項目にわたる課題を検証し、その結果を各種計画・マニュアルに 反映されると聞いております。

被災した方々が最初に必要とするのは、避難所でありますが、その避難所については、ひと昔前からその環境は変わっていないように見受けられます。

我が会派は珠洲市や氷見市の避難所を視察しましたが、未だに、間仕切りが段ボールでありました。プライバシーの確保や

衛生対策、快適性の確保など、災害関連死を防ぐ観点からも、避難所の質を上げていく必要性を強く感じたところです。

そこで、検証会議における避難所の開設・運営の検証にあわせて、避難所の在り方や質の改善も検証し、今後の大規模災害に備えていく必要があると考えますが、武隈危機管理局長に伺います。

次に、能登半島地震を契機とした危機管理体制の見直しについて伺います。

今回の地震がきっかけで県民の防災意識は格段に高まったことは確実でありますが、その反面、県を含め今回のような大きな地震を経験したことのなかった県内市町村や国の機関などにおいても、どう対応したらよいか判断ができない事例もあったと思われます。

これらの事例については、先ほど取り上げました検証会議においても当然議論されるものではありますが、一方で、今年も警戒を発せられている大型で強い台風と猛暑、線状降水帯の発生など、大きな被害が予想される自然災害に対して、本県におけるその予測や予報を事前に把握しておくことが必要であり、さらに迅速な対応のためには、それらの情報を県内市町村や国の機関などの間で共有したうえで、連携した行動をとることは特に重要であると考えます。

そこで、災害時における危機管理の体制について、これまで以上に県内市町村や国の機関などとの連携を、今から一層密にすべきと考えますが、危機管理局長に伺います。

次に、自立した社会経済システムの確立について、6点伺います。

まず、食料・農業・農村基本法をめぐる諸課題についてであります。

今国会においては、四半世紀ぶりに食料・農業・農村基本法が改正され、食料安全保障の確保をはじめとした3本柱に基づいた基本的施策が定められました。

これまでも「農は国の基(もとい)」と言われてきましたが、対照的に農林水産省予算は四半世紀で25%減少していることは非常に残念なことでありますが、

農業所得を向上させ、安定した食料供給を続けていくには、限られた予算が意欲ある農業者に届くよう

「集中投資」していく必要があります。

改正基本法に明記された目標を本県で達成していくには、まずは本県農業の現状をデータで深く分析したうえで、10年後、20年後の本県農業の姿を示し、意欲ある若い農業者への支援を積極的に行い、世代交代を促していくべきと考えますが、本県農業に対する認識と今後の取組みについて佐藤副知事に伺います。

さらに、みどりの食料システム戦略を進めるには、農業サイドだけでなく学校給食を含め全庁的な取り組みと市町村と一体となった取り組みが必要でありますが、どのように取り組むのか伺います。

次に、県内農林水産物の輸出拡大について伺います。

人口減少に伴う国内市場の縮小があらゆる産業で懸念されているところであり、農林水産業もその例外ではありません。

県では、国内市場の縮小も見据えて「とやま輸出ジャンプアップ計画」を策定し、海外販路の拡大に取り組んでいるところですが、持続可能な食料供給基盤の確立を図るためには、県産農林水産物の輸出拡大に一層努力しなければなりません。

一方、海外における日本食レストラン数の調査結果によれば、県が輸出先として注力している欧州・アジア地域などで日本食レストラン数が増加しており、

輸出拡大に向けて追い風が吹いている状況もあります。

そこで、令和5年度までの県産農林水産の輸出実績をどのように分析しているのか、また、目標年次まで残り3年となった「とやま輸出ジャンプアップ計画」達成に向けては、海外進出している日本食レストランと連携して販路を開拓するなど一層の努力が必要でありますが、どのように取り組んでいくのか、佐藤副知事に伺います。

次に、昨今の物価高騰及び事業者の価格転嫁について伺います。

大企業の決算発表を見ますと、業界などにより濃淡はあるものの、業績は概ね好調であり、過去最高益というものもかなりみられます。

このような中にあって、中小企業・小規模事業者では、物価上昇に賃金が追い付いてない状況が続いており、その原因は労働時間の減少や労働配分率の低下と言われていますが、その背景には労働生産性の向上ができていないところに、大きな原因があると考えます。

それゆえに、円安による原材料費などの経費の増高にもかかわらず、依然として価格転嫁ができていないのが現状であります。

県では、DX等による生産性向上のための支援を展開していますが、実効性を高めるには、業種ごとの実態を調査し、

データ分析のうえ、実態に応じた効果的な支援が必要と考えます。

そこで、これまでの県の支援により県内の中小企業・小規模事業者は適正な価格転嫁ができているのか、また、引き続きどのような支援に取り組んでいくのか、山室商工労働部長に伺います。

次に、農産物の適正な価格の形成について伺います。

先の2月定例会では、農業分野における価格転嫁が十分に進んでいない状況を指摘したところです。

県内では生産者が農林水産物の価格を決め販売している売り場もありますが、大半の農産物の価格は小売価格ありきで決められてしまっているところに問題があると考えます。

この問題は、国においても食料・農業・農村基本法改正の中で議論されてきましたが、「合理的な価格の形成に向けた関係者の合意の醸成」には難航も予想されます。

令和6年度において、県は県民全体で農林水産業を応援する機運の醸成に努めるとしていますが、その前提として本県産の農産物価格決定の現状についてどのように認識しているのか、そのうえで機運醸成に具体的にはどのように取り組むのか、津田農林水産部長に伺います。

次に、公共工事の施工について伺います。

この4月から、働き方改革関連法が全ての業種に対して適用されました。

今般の改革は、「働き過ぎ」を防ぎながら、「ワーク・ライフ・バランス」と「多様で柔軟な働き方」を実現するものとされています。

一方で、時間外労働の上限規制が建設事業にも適用されたことで、公共工事の施工に影響が出るのでは

ないかとの懸念があります。

特に本県の公共工事は、出水期と降雪期を避ける必要があるなど、他地域よりも比較的短い工期で集中施工しなければならないという特徴があります。

そこで、公共工事に携わる方々のワーク・ライフ・バランスや健康を守ることは大前提でありながらも、

公共工事に携わる方々の「働きたい」という意欲を尊重し、賃金水準を確保しつつ、県民生活を支える公共工事の進捗が遅れることのないようにしていくべきと考えますが、

県はどのように対応していくのか、知事にお伺いいたします。

次に、債務負担行為の設定による工期確保の取組みについてお伺いします。

農地や農業施設等を整備する農業農村整備事業等は、当然のことながら 農作物の作付期間は施工できないうえに、冬期に積雪があることから施工可能な期間はさらに短くなります。

県の会計年度独立の原則の意義は 十分承知しているところでありますが、

単年度の工期での発注では、受注者にとって十分な工期が確保できず、工事の品質低下が懸念され、

そのしわ寄せが農業者に及ぶことは、避けなければなりません。

そこで、農業農村整備事業等について、例えば国への計画認定申請、または国の採択と併せて、事業地区全体を対象に債務負担行為を設定することにより、速やかな工事着手の体制を整え、受注者が十分な工期を確保できるようにすべきと考えますが、農林水産部長に伺います。

次に、持続可能な社会の実現と地域の活性化について8点伺います。

まず、人口減少問題についてこれまでとは異なる視点に基づく施策の推進について伺います。

本年5月に発表された人口推計によると本県の人口は100万人を割り込み、知事は「過度に悲観的になることなく、

新しく前向きな取組みを起こすきっかけとしていくことが重要」との見解を示されましたが、この考えについては我が会派も大いに賛同するところであります。

そのためには、これまでとは異なる視点で新しいものを生み出す考えと、施策が必要であります。

たとえば県有施設をただ単に合併や統合するのではなく、官民が連携し県民にとって利便性の高い施設を作ることにより、

若い世代に受け入れられ、将来、担っていきたくなる環境を作るなど、創造的に考えなければ、この人口減少時代をチャンスに変えることができません。

そこで、知事のおっしゃる新しく前向きな取組みを起こすためには、このように、これまでとは異なる視点により、創造的で新しい施策を打ち出していく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

次に客観的なデータに基づく施策の推進について伺います。

本県では平成の時代より少子高齢化の問題が叫ばれ、人口減少問題に関する 会議などが立ち上げられ、計画が策定され、各種の施策が展開されてきましたが、目に見えた成果があがってきませんでした。

先ほど、これまでとは異なる視点を持つことの重要性について申し上げましたが、そのためには、将来にわたって人口が減少していくという現実をしっかりと受け止め、希望的観測を排し、客観的なデータをもって議論すべきだと考えます。

さらに、県として明確なビジョンを示し、わかりやすいゴールを設定するだけでなく、それらを県民と共有することまで行わなければならないと考えます。

そこで、過日、県に設置された「人口未来構想本部」において、今後どのように人口減少問題について議論していくのか、田中地方創生局長に伺います。

さらに、その議論は客観的かつ詳細なデータをもとに行われるべきと考えますが、この点ついても併せて伺います。

次に、北陸新幹線の敦賀開業が本県に及ぼした効果等について伺います。

本年3月の敦賀開業後、福井県内においては福井駅や敦賀駅周辺だけでなく、新幹線駅から離れた場所に存在する

東尋坊やレインボーライン、県立恐竜博物館など福井県内各地で観光客が増加したとのことです。

その一方で、本年のゴールデンウィーク期間中における利用状況についてJR西日本が公表したところでは、例えば京都・敦賀間の「サンダーバード」は前年度の90パーセント、そして米原・敦賀間の「しらさぎ」については、前年度の51パーセントにとどまっているなどの変化もみられます。

そして、関西方面または中京方面から北陸新幹線を利用される方については、必ず乗換えが発生することが影響しているのではないかと考えられます。

そこで、本県に対する敦賀開業の効果を分析するとともに、旅行者の変化を分析し、各種施策を展開することが、

よりいっそうの本県の発展につながると考えますが、これらの点について知事の所見をお伺いいたします。

次に、北陸新幹線の敦賀以西のルートについて伺います。

今ほど、在来線特急の利用状況について述べたところですが、特急と新幹線との乗換駅である敦賀より先のルートについては、平成28年に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、敦賀・大阪間のルートが小浜京都ルートに決定されたところです。

しかし、最近、小浜京都ルートの着工の見通しが立たないことや、建設費が物価高騰などによりルート決定時の国の試算額である およそ2兆1,000億円を上回る見通しであることから、一部の国会議員のほか、石川県内の県議会議員や市長を中心に、米原ルートの再考を求める声も上がってきております。

特に、京都においては、以前からトンネル工事により生じた残土処理の問題や地下水への影響が危惧されることなどから、

反対の声が上がっており、それらの問題が本当に解決できるのかが懸念されます。

そこで、米原ルートへの見直しの声を県としてどのように受け止め、今後、どのような姿勢で大阪までの早期の全線整備に向けて取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。

次に、富山県武道館について伺います。

県武道館については、令和9年度の開館を目指し、県総合運動公園内に整備することとなっており、昨年度の9月補正予算においては、整備にかかる基本設計に要する経費が盛り込まれたところです。

県武道館の整備にあたっては、必要な機能を十分精査し、利用する関係団体等の意見を十分聞いたうえで、真に県民に必要とされる施設となるよう、併せて、県外・国外からも誘客できるような周辺の環境づくりにも考慮することにより、県民が誇ることができる武道館にすべきであると考えます。

さらには、この県武道館の整備を契機として、県運動総合公園の魅力向上や周辺地域の活性化だけでなく、県内スポーツのさらなる振興につなげることにより、いわゆる関係人口の拡大を目指すことも極めて重要です。

そこで、今回の富山県武道館の整備にあたっては、これらの点を考慮して進めていくべきと考えますが、基本設計の進捗と併せて知事の所見をお伺いいたします。

次に、公立・公的医療機関の再編について伺います。

人口減少において、公立・公的医療機関の果たす役割は極めて重要でありますが、

医師の働き方が変化せざるを得ないことや、医師の確保が難しくなってきていることから、県民の命を守る観点でみると医療機関の統合再編は避けて通れない

大きな課題であると認識しています。

本県ではこれまで、医療提供体制の確保にあたっては、医学部の特別枠設定など

医師の確保・育成等のほか、各医療圏での医療機関の機能や役割分担について継続的に協議されています。

そこで、これまでの施策からもっと踏み込み、将来必要な医療ニーズを正確に把握したうえで、公立・公的医療機関の再編を県が先導していく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

次に、外国人の救急受入れ体制について伺います。

本年3月の県の発表によれば、本県で生活する外国人はおよそ2万2千人であり過去最高となりました。

また、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことにより本県を訪れる外国人の数も増加傾向にあることから、急な体調不良や事故などが原因で県内の医療機関を受診する外国人の数も増加するものと思われます。

特に救命救急センター等を受診する外国人については、必ずしも平日や昼間の受診とは限らないため、医療技術者の確保だけでなく、通訳など特別な準備が必要となることから、対応が困難な場合も多いと思われます。

そこで、外国人患者の受診について、県内の救命救急センター等における実態と体制は現状どのようになっているのか、

また、外国人患者の受診にあたっての課題と今後の対応について有賀厚生部長に伺います。

次に、富山空港の混合型コンセッションついて伺います。

富山空港については、かねてより混合型コンセッションを導入する方向で準備が進められており、今後の運営事業者選定の実施を見据えて、その事業内容等について意見を伺うことを目的とした民間ヒアリングが行われたと聞いております。

富山空港の役割を持続的に発揮させるため、空港そのものの整備だけでなく、近隣施設との連携強化のほか、チャーター便の活用による国内・国際路線の開拓など、空港の「稼ぐ力」を伸ばす取組みをこれまで以上に強化することが必要と考えます。

そこで、富山空港における混合型コンセッションの導入に関して、空港の活性化につなげるための施策の方向性と、新規の国内・国際路線の開拓などの取り組みをはじめとした各種の具体的施策を今後どのように展開していくのか、田中交通政策局長の所見を伺います。

次に、教育改革など、未来を担う人づくりについて、4点伺います。

はじめに、客観的なデータの分析に基づいた教育改革の取組みについて伺います。

去る4月に「県立高校教育振興の基本的な方針について」の提言がとりまとめられましたが、これまでの県立高校教育振興検討会議などでの議論を見ると、これは前例踏襲ではないかと感じられます。

例えば、地元の高校、あるいは県外の高校へどれだけ進学していて、その理由などの分析や、高校に進学した生徒に対する調査により、どのような学校が真に生徒に必要とされているかなどの分析が可能ですが、これまでそうした客観的なデータに基づく分析が十分になされていません。

そこで今後、単なる意見集約ではなく、客観的なデータの収集やそれらに基づく詳細な分析を行った上で、総合教育会議の場などにおいて議論を進めていく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

次に、若い世代や県外で活躍している者からの意見聴取について伺います。

これまで高校教育に関する議論については、教育を受ける側の若い世代、いわゆる「Z世代」が直接参加していません。

Z世代の考え方は、議論を行っている世代のものとは全く違うため、彼らの考えを置き去りにした議論を進めても、果たして知事の言う「こどもまんなか」の視点に立った、生徒のニーズに応えた議論ができるのか、疑問に感じます。

さらに県内でも活躍できる環境を整えることにより、若者が本県を選ぶことにつながるという認識を示していますが、県外で活躍している県内出身の方からの意見を聴取することは、欠かせないと思います。

そこで、今後、たとえばワーキングチームなどの場を設定し、このような若者世代の意見を総合教育会議での議論に反映することが、今後の生徒のニーズに応えた教育改革につながると考えますが、廣島教育長の所見を伺います。

次に、地域バランスではなく地域の特色を活かした取組みについて伺います。

県立高校教育振興検討会議の提言によれば、県立高校配置の考え方として「生徒が一定の通学時間内にある高校から多様な選択ができるよう、様々な学科構成や規模の学校をバランスよく配置することが望ましい」とされていますが、これでは各学区に同じパターンの学校を一律に配置することになり、はなはだ疑問であります。

例えば、生徒の少ない地域では地域の問題として捉え、地域の特色を活かした抜本的な取組みが必要であると考えます。

また、生徒の多い地域には国際バカロレア校や中高一貫教育校など特色あるタイプの学校を設けたり、さらに、ICTを活用した遠隔教育の実施など通学事情に配慮した上で、職業科については拠点校を1校設置し、地域にはキャンパス校を設けるなどの取組みが必要ではないかと考えます。

そこで、県立高校について単に地域バランスを考慮した配置ではなく、市町村や地元と連携しながら、それぞれの特色を活かした多様な学校づくりを進めていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

次に、子どもの海外経験につながる施策の推進について伺います。

若いうちに異文化を体験し、異なる価値観を持つ人たちと交流をすることは、海外に向けてチャレンジできる人材を育成するためにも重要であり、高校生が海外での経験を積むことのできる施策の意義は極めて大きいものと考えます。

県では富山県高等学校生徒海外派遣事業や、とやま型スーパーグローバルハイスクール事業、とやまの高校生留学促進事業を推進していますが、一方、県内の私立高校においては、独自に海外に複数の姉妹校を持ち、相互に訪問・交流を行う取組みや、留学を推奨し、その留学期間中の単位認定を行う取組み、さらには、県立高校においてふるさと納税を活用した海外研修事業の実施や同窓会での基金を活用した海外研修の支援などの取組みがあり、こうした独自の取組みを横展開することが効果的ではないかと考えます。

そこで、今後、多くの子どもが海外へ行く機会を拡充するため、研修や留学への経済的な支援や単位の認定、姉妹校提携による交流などを拡大していく必要があると考えますが、教育長の所見を伺います。

最後に、知事の今任期4年間の成果と今後の課題と決意についてであります。

新田知事におかれては、去る3月に秋の知事選に出馬することを表明され、自民党県連に対し推薦依頼があったことから、常任総務会で推薦を決定し、5月26日の県連大会で承認されました。

その際、新田知事からはその決意を伺ったところであり、我が会派は引き続きしっかりと支援していく所存であります。

「変えていこう、新しい富山へ」のスローガンを掲げ当選された新田知事には民間出身でコロナ禍や1期目であったことから、期待と不安もありましたが、豪雪、鳥インフルエンザ、豪雨、地震などの各種災害対応をしっかりとこなす中、新しい富山のさらなる発展のため、突き抜けた議論を経て成長戦略ビジョンを策定するなど、また市町村長とワンチームとなって課題解決していく姿は大いに評価しているところであります。

そこで、今任期の成果と県政の様々な課題に向け、今後どのように取り組んでいくのか、また秋の知事選挙に臨み、引き続き県政を担う決意と抱負を知事にお伺いいたしまして、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

   

令和6年2月定例会 予算特別委員会にて質問に立つ

2024年06月24日 更新

令和6年2月定例会 予算特別委員会にて質問に立つ

 

質問要旨

問1 能登半島地震について

(1)命を守り被害を最小限にするため、今、県民が取り組むべきこととして、地震が起きたら早急に家屋から飛び出すことや家財の転倒・落下防止、食料など生活必需品の備蓄(3日分)で備えることを即刻繰り返し広報すべきと考えるがどうか。

能登地方では、数年前からの群発地震で、家屋に繰り返し圧力が加わったことで倒壊しやすい状況となっていた。今回の激しい揺れで、これまで耐えてきた家屋が崩壊し、圧死者が多くなったと聞く。県内でも木造家屋は大きく揺れ、弱っていると考えられることから、今回は大丈夫だったから、次も大丈夫という考えはやめるべき。

(危機管理局長)

(2)地域防災計画において、「自助、共助、公助」の考えを根本に据え、災害時の備えは県民自らが主体的に取り組むことからはじめるべきであり、次に町内会、自治振興会、市町村、消防局、県などの順で対応すべきこと、民間の力も結集することを基本に見直すべきと考えるがどうか。

例えば、自衛隊の活動にしても、給食支援や入浴支援、給水支援を行っているが、本来の救助支援要請は緊急かつ自衛隊しか出来ない人命救助に限るべき。人命救助以外の給食・入浴・給水などは行政や地域で準備対応すべき。「自助、共助、公助」の考えは、万が一の場合の復旧復興には、コミュニティ、絆が大事であり、その力となると考える。

(知 事)

(3)技術職員不足への対応について

ア 職員の定員管理計画において、令和7年目標を令和4年に比べ32人増の3,243人、災害派遣枠を含めては41人増の3,258人としているが、技術職員増を何人見込んでいるのか。

土木技師や農業土木技師は補正が恒常化するなど予算規模が変わらない中で、人数が大幅に減っている状況にある。さらに6、7月の豪雨災害に加え、能登半島地震において災害現場での調査・復旧工事への対応もあり、技術職員が不足している。

(経営管理部長)

イ 今後の社会資本の整備・維持管理、さらに災害対応は、県職員と市町村職員が平時から一体となって取り組む体制が求められるが、どのように取り組んでいくのか。

今後は新規職員を募集しても少子化の影響で期待できる状況にない。県と市町村が連携と言っている場合ではない。

(蔵堀副知事)

問2 まちづくり戦略について

(1)まちづくり戦略に掲げる居心地がよく個性的な市街地・田園づくりに向けて、市街地や田園地域の地域別、集落ごとでの人口・世帯数の変化などの状況把握と分析が必要であると考えるが、どのように捉えているのか。

東京に人口が集まり、地方、とりわけ農山村の荒廃が進み、美しい国土は荒廃を辿っている。県では、「風の谷構想」も据えて個性的なまちづくりを目指し、移住や二地域居住促進も視野に入れ、多様な主体によるボトムアップのまちづくりや、田園地域の地域資源の発掘等に取り組むが、現状を知ることが大事。市街地といっても広域都市計画区域とそれ以外、田園地域でも平地と中山間地、市街化調整区域内の農村集落とそれ以外の農村集落と様々である。

(蔵堀副知事)

(2)農村地域におけるまちづくりについて

ア 農業集落は農業用水路や農地、農道など維持管理してきたが、人口減少により機能しなくなってきている。集落内に新たな家を建てるためには、まずは集落内の農地転用が必要となるが第一種農地の場合は難しい。空き家だけではなく、移住者などが住みやすい環境を作るために、農地転用に係る農地区分を実際の農地の状況等を踏まえ、見直す必要があると考えるがどうか。

農村集落に農家以外の方に住んでもらわないと機能しなくなってきている。しかし、家を建てようと思っても、特に、市街化調整区域内にある集落は農地転用のほか、開発行為の許可基準において、農業を営む者または分家住宅しか認められていない。人口増があるときには対応できたが、今は逆である。また、現地調査すると、どう見ても第一種農地として営農ができる農地でないと思われるものが多いと考える。

(農林水産部長)

イ 開発行為の観点から、規制のあり方をどのように考えているのか、問う。

いったん開発行為が認められた、道路沿線にあるガソリンスタンドやパチンコ店などの廃業による空き店舗が増えており、環境上問題がある。こうした施設に対して再整備する考え方や基準を変えていく必要がある。

(土木部長)

(3)県庁周辺県有地等有効活用基本構想検討事業に取り組むこととしている。対象地域が県庁前公園、NHK跡地並びに県庁舎敷地となっているが、もっと広げたエリアで富山市ともグランドデザインを共有しながら、構想をまとめていく必要があると考えるがロードマップも含めどのように進めていくのか、民間投資を促すためにも構想とロードマップは公表すべきとも考えるがどうか。

総曲輪・西町から環水公園、セントラム全周辺と高志の国文学館界隈など繋がりのあるもっと広げたエリアで考えるべき。また、街中に公園を作る発想はやめ、公園の中に街を作って人が住むことを取り入れていくべき。

(知 事)

(4)令和6年度当初予算案に計上されている富山県人会世界大会開催準備事業はどのような内容なのか。

令和4年11月議会において、横田副知事から、「世界大会はより多くの方々に富山を訪れるきっかけ、それから愛着を深めるきっかけ、県人会の横のつながりをつくるきっかけとなり得るものであり、また関係人口の拡大につながると考えられるとし、世界各地の富山県人会にまずは意見を聞き、検討を進める」との旨の答弁があり、大変期待していた。

(横田副知事)

問3 高校再編について

(1)県立高校教育振興検討会議からまもなく提言が示され、その後、富山県総合教育会議で方針を決めることになるが、今後のロードマップはどうなるのか。

(教育長)

(2)毎年の欠員が年々増加しており、その背景に県外高校に進学する生徒の増加もある。欠員の増加や進学先の県外高校についてどのように分析しているのか。

欠員は平成31年に74人であったものが、令和2年以降、92人、145人、192人、令和5年には248人と年々増加している。また、県外高校に進学する者が平成31年に218人、令和2年以降290人、248人、306人、令和5年には352人と増加している。これまでの再編統合のやり方では生徒の県外流出がますます進んでいく。新たな視点で考えなければならない。

(教育長)

(3)これまで学科・コースの見直しが中心であったが、こどもまんなかで考えるのであれば、こどもにとってどのような学び方が最良かを大いに議論すべき。自らが選んで、将来を考えることができる、まさに楽しい学校でなければならない。これまでの踏襲してきた体制を思い切って変え、生徒が自ら学びたい学科を選んで学べる教育体制(生徒が動く)にすることが必要と考えるがどうか。

必要な視点は、客観的なデータを分析し県民や市町村に広く公表すること、ICTの積極的活用、不登校や外国人など多様な子どもたちを受け入れること、行動範囲を広げたい動きを受け入れることである。また、新たな視点も必要で、例えば、県内全てに富山型中高一貫校制度の導入(高校入学選抜の廃止、学区ごとの学園新設と現在の高校のキャンパスとしての活用など)や、様々な形での単位取得を認めること(スポーツ・芸術などの分野、体験・ボランティアの必須化、海外留学)、市町村の考えと負担に基づく学科の設置、通学費の無料化。さらに、世の中が激変するなか、教師がついていっていない実態もある。教師のあり方を変えなければならず、資質向上を目指してもらいたい。

(知 事)

 

6月13日、7期目、最初の6月議会、自民党新令和会の代表質問に立ちました。

2023年06月27日 更新

6月13日、7期目、最初の6月議会、自民党新令和会の代表質問に立ちました。

自民党新令和の基本方針は、国家観をもった人づくりのための教育改革を進める、また、あらゆる分野で不易流行の精神で変えなければならないところは、変えていく、こうした思いで、代表質問に臨みました。

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質問要旨

問1 富山県の教育改革等について

 

(1)突き抜けた人材育成を実現する教育環境の充実について

ア 産前産後にわたる伴走型相談支援や子どもを産み育てるための働き方改革など、妊娠期から3歳までの期間における子ども関連施策を企業や地域を巻き込み、県民ぐるみで集中的に実施することが問題の根源を断つことにつながると考えるが、所見を問う。

いじめ、虐待、不登校、引きこもりなどは、心の不安定から生じるものであり、その原因は3歳までの環境が大きく左右すると言われている。妊娠期から3歳までの期間、両親がどれだけ深く愛情を注いだか、心の絆を作れたかが重要とされ、そうした環境を企業も含め社会全体で整えることが最も大事と考える。

(知 事)

 

イ 社会に役立つ人材を送り出すため、子どもを中心に各段階が連携し、道徳観、倫理観を養う一貫した教育体制を構築すべきと考えるが、所見を問う。

4歳から17歳の時期は、社会で活躍するための模擬訓練の期間である。昨今の情報通信機器の発展により、幼少時から学習能力の高い子どもも多く、家庭や幼稚園・保育所、小中学校など、これまで以上に早い段階から道徳観・倫理観を身につける必要がある。

(知 事)

 

ウ 子どもたちの職業観を醸成するため、教員の意識改革を行うとともに、民間企業で豊富な経験を持つ人材を採用するなど、優秀な教育人材を確保し、より実践的な職業教育に取り組むべきと考えるが、所見を問う。

高校の職業系専門学科の役割は、子どもが将来就きたい仕事への理解を深め、夢を叶えるための技能や技術を身につけることと考えるが、職業系専門学科を卒業しても、その道に進む者は極めて少ないのが実態である。これまでの「14歳の挑戦」や「17歳の挑戦」の取組みではまだまだ不十分。

(蔵堀副知事)

 

エ 社会が求める人材を把握し、そのための職業科のあり方を見直し、子どもたちが自ら選んだ道で能力を発揮できるシステムが必要と考えるが、農業教育をはじめとした教育制度の抜本改革について、どのように取り組んでいくのか。

例えば、農業系高校の充実として、中央農業高校をはじめとする県内農業科の再編やとやま農業未来カレッジと統合した農業大学校の設置などを検討してはどうか。

(知 事)

(2)G7教育大臣会合の成果と今後の活用について

ア G7教育大臣会合の成果をどのように捉え、今後の児童・生徒の成長、本県教育の未来に向けてどのように活用していくのか。

会合では、生成AIの教育への影響や学校の意義、子どもたち一人ひとりのウェルビーイングを実現するための教育の重要性が再認識されたが、今後の教育現場に大いに活用すべき。また、富山・石川両県の子どもたちが参加した「こどもサミット」、各国大臣との意見交換の経験は、今後、多くの子どもたちに広めていくべき。

(知 事)

イ ウェルビーイングの発信については、前例に捉われず思い切った工夫が必要と考えるが、G7教育大臣会合の成果も踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか。

今回採択された「富山・金沢宣言」に、ウェルビーイングの考えが随所に盛り込まれたところ。環境大臣会合の際には本県のレジ袋の無料配布廃止の取組みを国内外に向けて発表し、全国に展開されたように、今回も本県が目指すウェルビーイングを県内市町村、石川県や金沢市とも連携しながら、全国さらには世界に発信していくべき。

(知 事)

(3)不登校児童・生徒対策について、増加傾向にある不登校の根本的な原因を把握し、必要な支援が重要と考えるが、今後どのように対応していくのか、また、本県での「不登校特例校」の設置についてどのように考えているのか。

スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充等、児童生徒や保護者が専門家に相談できる体制を整備しているが、不十分。不登校の要因が複雑化する中、本県でも、全ての児童生徒が安心して学べるよう、学習指導要領に縛られず授業時間を削減できる「不登校特例校」の設置を検討すべき。

(教育長)

(4)国の施策を待つことなく、本県こども施策を一元化し、こども家庭支援監の強力なリーダーシップのもと、前例踏襲から脱却し取り組むべきと考えるが、こども施策にどのように取り組むのか、その意気込みも併せて問う。

県の人口が毎年1万人減少時代に突入し、100万人割れが目前に迫る状況で、常に子どもの視点に立ち、「こどもまんなか」社会の実現に向けてラストチャンスとの強い危機感を持って取り組むべき。

(こども家庭支援監)

(5)富山県武道館が武道の殿堂として、必要な機能を備えた県民が誇れる武道館となるよう、予定通り令和9年度中の完成を目指して進めていくべきと考えるが、所見を問う。

現在、検討委員会で議論されているが、武道館機能に特化した施設であること、平素の稽古や大会参加者の実態を踏まえた交通の利便性、駐車場や清閑な環境などを考慮すると、県総合運動公園に建設するのがふさわしいと考える。また、情報通信技術が急速に進化している今こそ、武道を通した相手を敬い、道徳心を高める人づくりが必要。

(知 事)

問2 富山から日本を変える「地方創生」について

(1)食料安全保障を支える持続的な農林水産業の発展に向け、個々の農林水産業者が将来にわたって存分に活躍できるよう、支援体制を構築すべきと考えるが、所見を問う。

気候変動や世界情勢の変化など国際的なリスクが顕在化している今こそ、みどりの食料システム戦略を実践しながら、食料自給率の向上を目指し、食料安全保障を支える持続的な農林水産業の発展へ、大きく舵を切る時である。

(知 事)

(2)「行政伴走型のモデルプロジェクト」の進捗状況と、今後の県内農業への展開について、問う。

我が会派では、国営農地再編整備事業「水橋地区」の着実な促進、スマート農業の推進と合わせて、高収益作物の栽培から販路に至るまで農業者を支援する「行政伴走型のモデルプロジェクト」構築を要望してきたところ。先の2月定例会で、横田副知事から、このプロジェクトの構築・推進に積極的に取り組んでいくとの答弁があった。

(横田副知事)

(3)回復しつつあるインバウンド需要を確実に取り込むためにも、国際定期便の再開も視野に入れつつ、しっかりとした観光戦略を持って取り組むべきと考えるがどうか、コロナ禍での県内の受入環境整備の進捗状況と併せて問う。

外国人観光客の大幅な増加が見込まれ、観光事業者等から大きな期待が寄せられる一方、メニューの多言語表記や外国人観光客に対応できる人材の育成などは進んでいない。観光客の満足度を高めることが観光客の増加やリピーターの確保につながることから、今後も受入環境の充実など、観光戦略をアップデートしていくことが必要。

(地方創生局長)

(4)新型コロナが5類となり、徐々に平時へと向かっている今こそ、地域に根差した音楽、芸道、伝統文化などの文化活動を継続的に支援することを検討すべきと考えるが、所見を問う。

コロナ禍において、文化は生活に欠かせない、切っても切り離せない一体的なものと再認識した。文化が日常生活に溶け込み、一人ひとりが心の豊かさを求めていくことが、ひいては県民のウェルビーイングの向上にもつながると考える。

(生活環境文化部長)

(5)寿司を突破口にして、今後ブランディング戦略をどのように展開していくのか、「一点突破ブランディング推進事業」の見直し内容と併せて問う。

今年度当初予算には、「寿司と言えば富山」の創出に向け、国の「観光再始動事業」を活用した海外向けの特別な体験事業の実施経費を計上したが、国事業への不採択という結果を受け、今回の補正予算案では、当初予算を減額し、実施内容を見直した。

(知事政策局長)

問3 県民の命と暮らしを守る施策の推進について

(1)アフターコロナの県政運営について

ア アフターコロナに向け、コロナとの闘いで何を教訓として学び、今後の県民のウェルビーイングの向上や成長戦略をはじめとした県政運営にどのように活かしていくのか、所見を問う。

DXの推進など今後も進めるべき点はさらに進めていく一方で、平時からの医療体制整備や国と地方の役割分担など課題が浮き彫りになった点は解決していくべき。

(知 事)

イ これまで公的病院を中心に病床を確保してきたが、今後は再流行等に備え、民間病院も含めた地域医療全体で対応力を高め、平時から医療提供体制を整えておく必要があると考えるが、所見を問う。

新型コロナの感染拡大により、医療機関の間の役割分担や連携体制の構築、病床や医療人材不足など、地域医療体制に係る課題が浮き彫りになった。

(厚生部長)

(2)賃上げの実現に向けた県独自の価格転嫁の取組みなどについて

ア 「パートナーシップ構築宣言」で終わらせるのではなく、より実効性のある取組みを県独自で実施すべきと考えるがどうか、本県の賃金上昇と価格転嫁の実態に対する認識と併せて問う。

エネルギー価格や物価高騰が続く中、特に県内中小企業等が継続的な賃上げを実現するためには、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁が図られることが必要不可欠。

(商工労働部長)

イ 中小企業の経営の下支えや生産性向上、新しい環境に適応した事業へ変革する事業承継の支援などに今後どのように取り組むのか、県内の中小企業等の現状と課題に対する認識と併せて問う。

県内の中小企業等は、借入金の返済や賃上げ要請、経営者の高齢化と事業承継難に加えて、デジタル化やグローバル化への対応、生産性の向上など様々な課題に直面し、物価高や人件費の増加などその経営環境は一層厳しさを増している。

(知 事)

(3)先月発生した石川県珠洲市での地震に際して、関係職員の参集状況、消防防災ヘリや市町村関係機関等からの情報収集は適切に行われたのか、県内の自主防災組織の組織率の状況と併せて問う。

今回の地震による本県への影響は小さいものであったが、こうした時こそ、平時からの「備え」を見つめ直す必要がある。また、災害発生後は、何よりも初動対応が重要。

(危機管理局長)

(4)G7教育大臣会合での警備をどのように総括し、今後の「日本一安全で安心して暮らせる富山県の実現」につなげていくのか、先月、長野で警察官が発砲を受けた事件等を踏まえた警察官の安全管理に対する考えと併せて所見を問う。

(警察本部長)

(5)チャットGPTなど生成AIの活用と働き方改革について

ア チャットGPTなど生成AIの活用について、どのように取り組んでいくのか。

県では、職員が極力付加価値の高い業務に注力し、行政サービスの向上を図れるよう、「DX働き方改革推進委員会」の下にワーキングチームを設置し、チャットGPTなど生成AIの課題整理や活用方策の検討を行うと聞く。

(知事政策局長)

イ 「勤務間インターバル試行制度」の実効性を高めるためには、制度の趣旨を職員に浸透させていく必要があるが、どのように取り組むのか、制度導入により期待される効果と併せて問う。

県庁のDX・働き方改革を推進していくことが、県庁組織の活性化はもとより、時間外勤務の縮減、職員の心と身体の健康維持にもつながると考える。

(経営管理部長)

(6)先の5月補正予算の効果を最大限発揮するため、県の予算化の状況を受けて、その後市町村ではどのような対応がされたのか、また、県と市町村で具体的にどのような事業で連携することになったのか。

先の5月臨時会では、県と市町村がワンチームとなって取り組むべきと提案したところ。

(知 事)地方創生局

質問全文

私は、自民党新令和会を代表いたしまして、今定例会に提出されました諸案件並びに当面する諸問題について質問をいたします。

質問に先立ちまして、一言申し上げます。

我が国は急速に進む人口減少の中、30年も続いている経済の停滞、ロシアのウクライナへの軍事侵攻など不安定な国際状況、台湾海峡をめぐる安全保障問題に加え、新型コロナ感染症の発症、さらに自然災害の頻発と、今まさに国難とも言える危機的な状況に直面し、自立した独立国として存続できるかどうかという岐路に立っていることを、認識しなければなりません。

一方、情報通信技術の急速な進化はめざましく、あらゆる分野に及びその対応が大きな課題となっております。

情報通信技術を司るのは人であり、心身共に健全で、倫理観、国家観を持った人づくりが急務であります。

このような中、先月G7教育大臣会合が開催されたことは、今後の次代を担う若者の教育・人づくりにとって非常に意義あることでした。

問題は、それをどのように実現できるかであります。

今こそ、教育環境を大きく見直さなければならないのであります。

県政の重要課題の解決のためには、常に国家観を持ち、前例踏襲から決別し、伝統を守りつつ、「変えなければならないことは、思い切って変える」という、不易流行の精神で、取り組まなければならないということを、肝に銘じつつ、以下質問に入ります。

初めに、富山県の教育改革等について9点伺います。

まず、突き抜けた人材育成を実現する教育環境の充実について伺います。

生まれた子どもは、両親や家族、そして地域に見守られながら、保育、小中学校の義務教育を受け、希望によっては高校、大学で学び、それぞれの段階から、人のため、世の中に役立つ人材として社会へと巣立っていきます。

もちろん、「叶えたい夢、実現したいことに向かって自分らしく生きたい」、「結婚して、子どもを授かりたい」、「幸せな人生を送りたい」、と願うのは、人として自然なことです。

一方で、人間の欲望は常に新しいものを求め、科学技術を進歩させることで満たしてきましたが、果てることのない情報通信技術の深化によってプライバシーが侵されるなど、悪質な事件も顕在化しており、情報倫理の必要性が強く求められています。

いじめ、虐待、不登校、引きこもりなど、その全てが心の不安定から生じるものであり、

その原因は3歳までの環境が大きく左右していると言われています。

妊娠期から3歳までの期間、両親がどれだけ深く愛情を注いだか、心の絆を作れたかが重要と言われており、そうした環境を企業も含め社会全体で整えることが最も大事であると考えます。

そこで、産前産後にわたる伴走型の相談支援や子どもを産み育てるための働き方改革など、この時期の関連施策を企業や地域を巻き込み、県民ぐるみで集中的に実施することが、問題の根源を断つことにつながると考えますが、新田知事に所見をお伺いいたします。

また、4歳~17歳、この時期は、大人社会で活躍するための模擬訓練の期間であります。昨今の情報通信機器の発展により、幼少時から学習能力の高い子どもも多く、家庭や幼稚園・保育所、小中学校など、これまで以上に早い段階から道徳観・倫理観を身につける必要があります。

そこで、社会に役立つ人材を送り出すため、子どもを中心に各段階が連携し、道徳観、倫理観を養う一貫した教育体制を構築すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

また、少子化の時代において、少ない若者でどのようにして富山県や日本を担っていくのか。

あらゆる分野で担い手が不足しており、特に生命と生活基盤に直結する農業、医療・福祉、建設業などは顕著であり、早い段階から職業意識を持ち、得意分野の能力を引き出し、活躍できる教育が求められます。

学校では、これまで「14歳の挑戦」や「17歳の挑戦」など、生徒が職場体験を通じて様々な経験を積む取組みがなされていますが、私は、まだまだ不十分だと感じています。

高校の職業科の役割は、言うまでもなく、子どもが将来就きたい仕事への理解を深め、夢を叶えるための技能や技術を身につけることと考えますが、職業系の学科を卒業しても、その道に進む者は極めて少ないのが実態です。

そこで、子どもたちに「何のために働き、何のためにその仕事をするのか」という職業観を醸成するため、教員の意識改革を行うとともに、民間企業で豊富な経験を持つ人材を採用するなど、優秀な教育人材を確保し、より実践的な職業教育に取り組むべきと考えますが、蔵堀副知事にお伺いします。

また、現在、高校のあるべき姿についての議論が進められています。

ここで大切なのは、子どもたちが学びたいと考えている学科を優先した、思い切った改革を行うことであり、中学生時の成績と内申書のみで振り分け、とりあえず高校へ行くという考えを払拭することです。

社会が今、どのような人材を求めているのかを把握し、そのための職業科のあり方を見直し、子どもたちが自ら選んだ道において能力を発揮できるシステムが必要なのです。

例えば、農業系高校の充実。農業は我々が生きていくための食料生産、環境の保全や管理を担い、自信と誇りを持つことのできる最も重要な仕事の一つであります。

そこで、中央農業高校をはじめとする県内農業科の再編、とやま農業未来カレッジと統合した農業大学校の設置などを検討してはどうかと考えますが、農業教育をはじめとした教育制度の抜本改革について、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。

次に、G7教育大臣会合の成果と今後の活用について伺います。

先月、国内では史上初の複数自治体による共同開催となった教育大臣会合が閉幕しました。

誘致開始から1年余り、共催決定から約8か月にわたり、準備にあたられた富山・石川両県はじめ富山市、金沢市、そして全ての関係の皆さんのご尽力に対し、心から敬意を表するものであります。

会合では、「チャットGPT」に代表される生成AIの教育への影響について議論が交わされるとともに、子どもが安心して過ごせる居場所としての「学校の意義」や、子どもたち一人ひとりのウェルビーイングを実現するための「教育の重要性」が再確認されましたが、今後の教育現場に大いに活かすべきであります。

また、両県の子どもたちが参加した「こどもサミット」、各国大臣との意見交換は、子どもたちにとって何事にも代え難い経験であり、今後、多くの子どもたちに広めていくべきと考えます。

そこで、G7教育大臣会合の成果をどのように捉え、今後の児童・生徒の成長、本県教育の未来に向けてどのように活用していくのか、知事にお伺いいたします。

また、今回採択された「富山・金沢宣言」に、本県が成長戦略の中心に位置付けている「ウェルビーイング」の言葉や考えが随所に盛り込まれたことは、大変意義深いことであったと考えます。

7年前のG7富山環境大臣会合の際、本県のレジ袋の無料配布廃止の取組みを国内外に向けて発表し、それが全国に展開されたように、今回も本県が目指す「ウェルビーイング」を富山市はじめ県内市町村、また石川県や金沢市とも連携しながら、全国さらには世界に発信していくべきです。

しかし、県内においては、その認知度がまだまだ低い現状にあると言わざるを得ないことから、「ウェルビーイング」の発信については、前例に捉われず思い切った工夫が必要であると考えますが、G7の成果も踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。

 

次に、増え続ける不登校児童・生徒対策について伺います。

 国の調査によれば、2021年度における県内小中高校で30日以上欠席した不登校の児童・生徒の数は、前年度より391人増加し2,256人となっています。 

 本県では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充等、児童生徒や保護者が専門家に相談できる体制が整備されてきましたが、まだまだ不十分であります。

社会情勢の変化が激しく、不登校の要因が複雑化する中、本県でも、全ての児童生徒が

安心して学べるよう、学習指導要領に縛られず授業時間を削減できる「不登校特例校」の設置について検討すべきであります。

そこで、増加傾向にある不登校の根本的な原因を把握し、必要とされる支援を行うことが重要と考えますが、教育委員会として今後どのように対応していくのか、また、国では「不登校特例校」の設置を進めていますが、本県での設置についてどのように考えているのか、荻布教育長に伺います。

 

次に、こども施策の効果検証と今後の取組みについて伺います。

4月に「こども家庭庁」が発足し、これまで厚生労働省や内閣府などにまたがっていた少子化対策や子育て支援を一体で担うことになりました。

本県でも4月から「こども家庭支援監」を専任とし、こども家庭室を支援監の直下に置き、権限強化と部局間連携の強化を図ることとされています。

県の人口が毎年1万人減少時代に突入し、100万人割れが目前に迫る状況で、常にこどもの視点に立ち、こどもの最善の利益を第一に考える「こどもまんなか」社会の実現に向けて、少子化対策はラストチャンスとの強い危機感を持って取り組んでいかねばなりません。

国の施策を待つことなく、本県こども施策を一元化し、松井こども家庭支援監の強力なリーダーシップのもと、前例踏襲から脱却してしっかりと取り組むべきと考えますが、どのように取り組むのか、その意気込みも併せて伺います。

 

次に、富山県武道館整備について伺います。

我が会派ではこれまで、令和9年度中の武道館開館の必要性について、議会はもとよりあらゆる機会を通じて、知事はじめ当局に求めてきました。

現在、見直し検討委員会で議論されていますが、武道館機能に特化した施設であること、平素の稽古や大会参加者の実態を踏まえた交通の利便性、駐車場や清閑な環境などを考慮すると、自ずと県総合運動公園に建設するのがふさわしいと思うのであります。

これまで、十数年にわたり、何度も申しあげてきましたが、情報通信技術が急速に進化している今こそ、武道を通した、相手を敬い、道徳心を高める人づくりが必要であります。

そこで改めて、そのシンボルとなる富山県武道館が武道の殿堂として、必要な機能を備えた県民が誇れる「武道館」となるよう、予定通り令和9年度中の完成を目指して進めていくべきと考えますが、知事にお伺いいたします。

 

次に、富山から日本を変える「地方創生」について5点伺います。

まず、食料安全保障を支える持続的農林水産業の発展について伺います。

4月のG7宮崎農業大臣会合で採択された声明には、食料安全保障の重要性が盛り込まれ、また現在、農林水産省で検討が進められている食料・農業・農村基本法の見直しにおいても、その確立を取り入れる方向で議論されるなど、食料安全保障は国を挙げて対応すべき課題と言えます。

非常時に食料の輸入確保に努めるのは当然ですが、最低限これに頼らなくても良い環境、

平時から食料自給率の向上を目指すべきです。

主食であるコメの他、小麦などの作付、輸入肥料や飼料からの転換、自然エネルギーを活用した農機具の開発など、平時から取り組むことは多くあります。

気候変動や世界情勢の変化など国際的なリスクが顕在化している今こそ、みどりの食料システム戦略を実践しながら、食料安全保障を支える持続的な農林水産業の発展へ、大きく舵を切る時であります。

このことを明確にして、個々の農林水産業者が将来にわたって存分に活躍できるよう、支援体制を構築すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

 

次に、農業人材育成拠点と稼げる生産モデルの構築について伺います。

我が会派では、新年度予算重点要望項目として、北陸初の大型圃場整備事業となる国営農地再編整備事業「水橋地区」の着実な促進、スマート農業の推進と合わせて、高収益作物の栽培から販路に至るまで農業者を支援する「行政伴走型のモデルプロジェクト」構築を要望してまいりました。

本県農業の持続可能性を高めていくためには、意欲を持って農業に取り組む方を支援する人材育成に加え、農業者がしっかりと収入を得て農業を続けることができる仕組みづくりが必要であり、これら「人づくり」と「収入の確保」はまさに地方創生の具体化の一つと言えます。

先の2月定例会では、横田副知事から、このプロジェクトの構築・推進に積極的に取り組んでいくとのご答弁もいただきました。

そこで、「行政伴走型のモデルプロジェクト」の進捗状況と、今後の県内農業への展開について、横田副知事に伺います。

次に、インバウンド需要を見込んだ観光戦略について伺います。

4月の訪日外国人数は194万9100人で、コロナ禍前の66.6%まで回復しました。

本県でも台湾や韓国からのチャーター便の就航、国際クルーズ船の寄港など、外国人観光客の大幅な増加が見込まれており、観光事業者や交通事業者から大きな期待が寄せられています。

一方で最近、街中に多くの外国人観光客を見かけるようになりましたが、案内看板や飲食店のメニューの多言語表記、外国人観光客に対応できる人材の育成などはあまり進んでいません。

各国からお越しの観光客の満足度を高めることが、さらなる観光客の増加や、本県を何度も訪れるリピーター獲得につながることから、今後も受入環境の充実や新たな観光素材の発掘を図るなど、本県の観光戦略も常にアップデートしていくことが肝要であります。

そこで、3年余りにわたるコロナ禍で県内の受入環境の整備の進捗はどのようになっているのか、また、この回復しつつあるインバウンド需要を確実に取り込むためにも、国際定期便の再開も視野に入れつつ、しっかりとした観光戦略を持って取り組むべきと考えますが、竹内地方創生局長に伺います。

 

次に、地域の絆を再構築するための文化振興について伺います。

コロナ禍において、私たちは外出自粛や施設の使用制限など様々な行動制限に直面しました。中でも文化活動やイベント、伝統的な祭り等は真っ先に中止に追い込まれ、発表の場が無くなり、文化の継承や心の豊かさの醸成などが置き去りとなりましたが、私たちは改めて、文化は生活に欠かせない、切っても切り離せない一体のものであるということを再認識しました。

新型コロナの分類が5類に移行となり、徐々に平時へと向かっている今こそ、文化が日常生活に溶け込み、一人ひとりが心の豊かさを求めていくことが、ひいては県民のウェルビーイングの向上にもつながるという認識のもと、地域に根差した伝統文化、音楽、芸道などの文化活動を継続的に支援することを検討すべきと考えますが、廣島生活環境文化部長に伺います。

 

 次に、ブランディング戦略の展開について伺います。

県では、昨年「ブランディング推進本部」を立ち上げ、4月には知事政策局内に「広報・ブランディング推進室」を設置するなど、ブランディングに係る企画立案・情報発信を行う体制を強化されています。

今年度当初予算には、「寿司と言えば富山」の創出に向け、国の「観光再始動事業」を活用した海外向けの特別な体験事業の実施経費が計上されていました。

しかし、国事業が不採択となり、今回の補正予算案では、当初予算を減額し、実施内容を見直したうえで、「一点突破ブランディング推進事業」を計上していますが、事業内容をどのように見直したのか、また、寿司を突破口にして、今後ブランディング戦略をどのように展開していくのか、川津(かわつ)知事政策局長に伺います。

 

最後に、県民の命と暮らしを守る施策の推進について9点伺います。

まず、アフターコロナの県政運営について伺います。

先月から、コロナ対応は「有事」から「平時」の体制に移行しました。

ただ、決してコロナは収束したわけではなく、流行の第9波も懸念されていることから、社会経済活動の正常化を進めつつ、今後の感染状況を注視していかねばなりません。

また、感染の再流行や未知の感染症への対応に備えて、これまでのコロナ対策の検証が必要と考えます。

教育現場ではICT環境が整備され、またDXの推進により企業の生産性向上が図られるなど、今後も進めるべき点はさらに進めていく一方で、国と地方の役割分担や責任の所在、平時からの医療体制整備など、課題が浮き彫りになった点は解決すべきであります。

そこで、3年余にわたるコロナとの闘いで何を教訓として学び、今後の県民のウェルビーイングの向上や成長戦略をはじめとした県政運営にどのように活かしていくのか、知事にお伺いいたします。

 

また、5類移行後、国では新型コロナの診療実績がない施設も含めて患者を診る、幅広い医療体制への移行を目指しています。今まで診療していなかった医療機関は、感染対策やノウハウが無いため、診療しない可能性も指摘されています。

新型コロナの感染拡大により、医療機関の役割分担や連携体制の構築、病床や医療人材不足など、地域医療体制に係る課題が浮き彫りになりました。

これまで公的病院を中心に病床を確保してきましたが、今後は再流行等に備え、民間病院も含めた地域医療全体で対応力を高め、平時から医療提供体制を整えておく必要があると考えますが、

有賀(あるが)厚生部長に伺います。

 

次に、賃上げの実現に向けた県独自の価格転嫁の取組み等について伺います。

我が国は、デフレが30年続く異常な事態にあります。これを脱するためには、国内での投資を喚起し、賃金の引上げを促す国内需要拡大策が必要であります。

家計純資産500万円未満の階層は、2000年頃は25%でしたが、2021年には35%に上昇しており、働いて所得を得て、一部を貯蓄に回すという中間層が細っていることは明らかであり、国民所得が増えなければ家計は楽になりません。

その原因は、この30年間、G7を構成する日本以外の国の賃金がいずれも右肩上がりである中、日本の賃金がほぼ横ばいだからです。エネルギー価格や物価高騰が続く中、特に県内中小企業等が継続的な賃上げを実現するためには、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁が図られることが必要不可欠であります。

県では、適切な価格転嫁に向けて、経済界等と連携し「パートナーシップ構築宣言」の普及に取り組んでいますが、本県の賃金上昇と価格転嫁の実態をどのように認識しているのか、また、宣言で終わらせるのではなく、より実効性のある取組みを県独自で実施すべきと考えますが、中谷商工労働部長に伺います。

 

また、コロナ禍に導入されたいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中、「業績が上向かず返済の見通しが立たない」、「借り換えを断られた」、あるいは「世代交代したいが、個人保証が足枷となって事業継承できない」などといった切実な声が聞こえてきます。

東京商工リサーチがまとめた昨年度の倒産発生率調査では、富山県がワースト1位となるなど衝撃が走りましたが、コロナ禍で影響を受けた倒産が多く、公的支援が薄れたことも要因とされています。

また、昨年の後継者不在率調査では、後継者が決まっていない県内企業の比率は55.2%で全国23位となっています。

県内の中小企業等は、借入金の返済や賃上げ要請、経営者の高齢化と事業承継難に加えて、デジタル化やグローバル化への対応、生産性の向上など様々な課題に直面しています。

そこで、物価高や人件費の増加など経営環境は一層厳しさを増していますが、県内の中小企業等の現状と課題をどのように認識しているのか、また、経営の下支えや生産性の向上、新しい環境に適応した事業への変革を行う事業承継の支援などに今後どのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。

 

次に、災害に対する平時からの備えについて伺います。

先月、石川県珠洲市で震度6強の地震が発生しました。建物への被害、また怪我をされた方々に心よりお見舞い申し上げます。

昨年10月の県防災危機管理センターの完成以来、今回が初めての地震対応となりましたが、その後も県内で大雨被害が発生するなど、いつ何時、自然災害や原子力災害、国民保護などの危機管理事案が発生するかは予測がつきません。

このたびの地震による本県への影響は小さいものでしたが、こうした時こそ、平時からの「備え」を見つめ直す必要があります。

そこで、大規模災害時の避難住民の誘導や被災者の救援等での協力が期待される県内の自主防災組織の組織率の状況はどうか、また、災害発生後は、何よりも初動対応が重要ですが、今回の地震に際して、関係職員の参集状況、消防防災ヘリや市町村関係機関等からの情報収集は適切に行われたのか、武隈危機管理局長に伺います。

 

次に、警護態勢等のあり方と警察力強化について伺います。

G7教育大臣会合での警備にあたっては、県境をまたぐ移動が伴うなど、共同開催であるがゆえの難しさに加えて、開催前には、中央省庁や自治体へのサイバー攻撃や能登地方を震源とする地震が相次いで発生するなど、少なからず警護態勢にも影響があったのではないかと思います。

こうした中、しっかりと無事に任務を果たされたことは、大いに評価したいと思います。

石井警察本部長には、3月の着任以降、任務の完遂のため全力で取り組んでこられたと思いますが、このたびの警備をどのように総括し、今後の「日本一安全で安心して暮らせる富山県の実現」につなげていくのか、先月、長野で警察官が発砲を受けた事件等を踏まえた警察官の安全管理に対する考えと併せて、所見を伺います。

 

次に、チャットGPTなど生成AIの活用と働き方改革について伺います。

教育大臣会合では、各国の教育のデジタル化の進展について議論がなされ、対面での学びの重要性に関する意見が出されたほか、チャットGPT等の活用については、メリットと課題のバランスを考慮することの重要性が共有されました。

知事は教育現場での活用に慎重な姿勢を示されましたが、他の自治体ではその活用を模索する動きもあるようです。

県では、職員が極力付加価値の高い業務に注力し、行政サービスの向上を図れるよう、「DX働き方改革推進委員会」にワーキングチームを設置し、チャットGPTなど生成AIの課題整理や活用方策の検討を行うとされていますが、どのように取り組んでいくのか、知事政策局長に伺います。

 

また、こうした県庁のDX・働き方改革を推進していくことが、県庁組織の活性化はもとより、時間外勤務の縮減、職員の心と身体の健康維持にもつながると思います。

そうした中、知事の肝煎りで「勤務間インターバル制度」が6月から試行的に導入されました。この制度の実効性を高めるためには、制度の趣旨を職員に浸透させていく必要がありますが、どのように取り組むのか、制度導入により期待される効果と併せて、南里経営管理部長に伺います。

 

最後に、市町村とのさらなる連携の深化によるワンチームの行財政運営について伺います。

県では、これまで補正予算や新年度予算編成により、県民の暮らしと事業活動を守るためのエネルギー価格・物価高騰対策や新型コロナ対策をはじめ、少子化対策・子育て環境の充実、スタートアップ支援など経済の活性化や、DXの推進、人への投資などの事業に優先的に予算を配分するなど、スピード感を持って対応されてきたことに対し、会派として高く評価をしております。

 先の5月臨時会では、補正予算の効果を最大限に発揮するため、県と市町村がワンチームとなって取り組むべきと提案したところですが、県の予算化の状況を受けて、その後市町村ではどのような対応がなされたのか、また、県と市町村で具体的にどのような事業で連携することになったのか、知事にお伺いしまして、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

3月1日、6期目、最後の2月議会、一般質問に立ちました。

2023年03月06日 更新

主な質問要旨は以下の通りです。※( )は答弁者
また、質問全文も掲載しましたので、よろしくお願いします。

質問

問1 IT化、DXの推進について

 

(1)日本全体のIT投資水準は、米国など諸外国が投資を拡大している一方で、30年間、横ばいが続いている。これが、我が国経済の停滞の原因である。この状況と原因を直視し、企業、行政、教育、県民が認識を共有することが、本県のIT化、DXを推進する原動力となると考えるが、どのように取り組むのか。

米国やドイツなど各国企業がITをベースにビジネスモデルの再構築を進めたことで、ビジネス環境は大きく変化したが、日本企業は見誤り、一気に国際競争力を低下させた。今、重要なのは、労働力と資本をつぎ込むことではなく、ソフトウェア、イノベーションが関わることであり、創造性を発揮する、前例踏襲を断ち切ること、変えることである。本県の状況をみると、産業界と教育界の方向性、認識が一致しておらず、創造性のある人を組織や社会が受け入れず、才能を開花できる仕組みがないと考える。

(知 事)

 

(2)行政のIT化、DXの推進について

ア 県職員が、業務の効率化をはじめ、県民目線、現場主義で課題解決に取り組めるよう、県庁の業務のIT化、DXを推進していくべきと考えるが、どのように取り組むのか。

前例踏襲型から脱却するため、管理職をはじめとする職員の意識改革が重要。外注してソフトを作ってもらうのではなく、職員自らソフトを作って事務効率化や課題解決ができるよう、若手職員の想像力、理系職員の活用など人材の育成にも傾注すべき。また、住民サービスの向上を目指して、目標年次を公表したうえで、実現させていかないと県民に伝わらない。

(知事政策局長)

 

イ 県職員及び教員の人事管理や異動作業をIT化、DX化すべきと考えるが、現状と今後の方針を問う。

職員の経歴や資格などのデータに、本人の希望と、人事当局の方針などの条件を加えれば、自動で異動作業が行えるようIT化を図れないか。また、例えば、「ある人材を数年後にある分野のエキスパートに育てるためには、どこの部署を経験させることが適切か」などのシミュレーション機能を持たせれば、先を見据えた効果的な人材育成が可能となるのではないか。

(経営管理部長)県職員について

(教育長)教員について

 

 

 

ウ 公共事業等の請負工事に係る提出書類の簡素化と電子化を求める声を聞くが、改善に向けてどのように取り組んでいくのか、所見を問う。

公共事業等の請負工事に係る提出書類が非常に多く、現場の業務より、書類づくりに疲弊するとの苦情がある。建設業界の担い手確保を目指す観点からも、若い技術者にとって魅力ある環境づくりを進めなければならない。現状を見る限り、進んでいるとは思えず、一刻も早く改善すべき。

(土木部長)

 

 

問2 「発信力」の強化について

 

(1)令和5年度当初予算案では、発信力強化に係る事業が増えていると感じるが、県の施策を県民にわかりやすく伝えるため、どのように取り組むのか。

成長戦略の実現に向けては、県が進める施策を県民に理解してもらい一体感を醸成することが重要。そのために「発信力」を高め、県民や事業者、関係団体等の現場の声を情報収集し、互いに意思疎通を図り、目標を実現させていくことが必要。

(知 事)

 

(2)「ウェルビーイング指標」が公表されたが、県民に「自分ごと」として共感してもらい、ウェルビーイング指標を活用した取組みを進めるためにも、まずは「なないろ」の指標(花)の露出を増やし、認知度を高める必要があると考えるが、どのように取り組むのか。

指標の説明から入るのではなく、例えば、CICビル壁面や大型商業施設、駅構内などへの掲出や県広報誌やHPでの掲載など、「あれはなんだ」と興味関心を引くことから始めるべき。民間にも大いに活用してもらえるよう、例えば、県HPから自由にダウンロードできるようにするなど工夫することで、SDGsのように、浸透が図られるのではないか。興味関心を引き、その後、七色の花の説明を聞くことで、県民が「自分ごと」として共感できるのではないか。

(知事政策局長)

 

(3)幸せ人口1000万の実現に向け、関係人口を増やすため、本県の魅力を一層PRする必要があると考えるが、どのように取り組むのか。

本県への関心が高くない層をターゲットに本県の認知度を高める取組みや、県HPの閲覧者などには、SNSを活用したプッシュ型のPRを充実させるべき。さらに、県民ひとりひとりが、発信したい魅力をPRできるよう、PRしやすいコンテンツの充実に努めるなど、サポートすることも重要と考える。

(知事政策局長)

 

 

 

 

 

(4)11月議会において、富山県人会世界大会の開催について、検討を進めるとの答弁があったが、その検討状況について問う。また、東南アジアなど県内企業が多く進出している地域で、県人会を立ち上げるよう促してはどうか。

関係人口の増加に向けて、世界にも目を向けるべき。

(横田副知事)

 

 

問3 持続可能な社会の実現に向けて

 

(1)建設業の技術者、技能者が不足する中、現状をどのように認識し、担い手確保に向けてどのように取り組むのか、所見を問う。

本県の建設業の求人倍率は、技術者で11倍、技能者で7倍と、どの職種よりも高い危機的な状況にある。技術者については、県立高校に土木・建設系の学科の一層の充実や定員増などを検討すべき。技能者については、これまで、外国人実習生に頼ってきたが、海外での賃金の上昇もあり、今後は確保することが困難となる中、日本人技能者をどのように育てるかが喫緊の課題。建設関係の技能士制度には、型枠、鉄筋、建築大工など31種類あるが、県内では、中学卒業後、その資格を取るための進学先(教育機関)がない。例えば、県技術専門学院にそのような機能を持たせることはできないか。あるいは、定時制高校を設けてはどうか。(高校課程において専門分野を重点化して学ぶことで、不足する一般課程があるとすれば、必要な時に学び直しができる体制があればいいのではないか。)

(知 事)

 

(2)県庁周辺の県有施設の再編統合は、富山市のまちづくりと大きく関わってくるため、富山市と連携し、公共施設、商業施設、公園などの配置について、グランドデザインを示して進めるべきと考えるが、どのように取り組むのか。

グランドデザインを描き、公表することで、民間投資を促すことになり、官民連携のまちづくりの整備が可能となると考える。

(知 事)

 

(3)富山-台北便の定期便復活に向けたこれまでの取組みと、今後の方針について問う。

富山空港から、北陸新幹線富山駅や北陸自動車道へのアクセスの良さを活かし、搭乗者を増やす努力をすべき。立山黒部アルペンルートや飛騨高山、白馬などには、オーストラリアをはじめ海外からの観光客、スキー客が多い。成田空港からは5~6時間かかるが、富山空港から北陸自動車道を使えば2時間で行けることから、定期便があれば、台湾桃園国際空港で乗り継ぐことが可能。また台湾桃園国際空港は、イタリア、ドイツ、オランダ、カナダ、アメリカなどの主要都市路線が充実しており、さらに東南アジア路線もあるため、ビジネス客の需要もあると考える。定期便復活のためには、観光客だけではなく、ビジネス客の利用が肝要。

(知 事)

 

(4)富山インター出口付近の渋滞解消のため、流杉スマートインターへのアクセス改良と、セミトレーラー等の大型車も利用できるようインターを改良すべきと考えるが、所見を問う。

富山インター出口は、朝夕渋滞し、市内へのアクセスに時間がかかっている。富山市内にある富山、西、流杉の3インターで分散して市内に入ることが重要。流杉スマートインターは、現在においても(コロナ前の令和元年度と同様に)、3インターの利用台数の15%を占めるが、この台数を増やすことで、富山インターの渋滞を緩和できると考える。しかし、アクセス道路の整備不足や12mまでの車両しか通行できない現状では、渋滞緩和につながらないため、改良が必要。

(土木部長)

 

(5)県内各地域で、大区画ほ場整備事業が進められているが、整備後の栽培、水管理、土壌、肥料、農薬管理などについて、ICT技術を活用して効果的に行えるよう、工事前後のほ場の状況をデータ化し、農業経営者に提供できるようにすべきと考えるが、どのように取り組むのか。

正確なGPS情報に加え、整備前の地盤が道路や水路だったのか、土壌や地下水の状況はどうであったのか、また、どのような施工を行い整備したのかなどの情報がデータで引き継がれることが重要。

(農林水産部長)

 

(6)ほ場整備にあたっては、天候のよい状況での施工が重要であるため、春から秋にかけて工事が行えるよう発注時期や工期設定について、債務負担行為の設定なども含め検討してはどうか。また、工事の精度を上げるため、ICT技術を活用した施工に取り組むべきと考えるがどうか。

ICT技術を活用した施工を取り入れることで、国営の整備の場合は、県・市町及び地元負担が減ると聞いており、積極的に取り組むべき。また、県営の整備の場合も、同様の支援が受けられるよう国に対し要望すべき。さらに、県単独の整備事業についても同様の制度を設けてはどうか。

(農林水産部長)

 

(7)「富富富」について、生産者、販売業者、消費者の声をしっかり聴いて、戦略を練り直し、生産拡大等の目標を次期戦略で、わかりやすく発信すべきと考えるが、所見を問う。

販売開始から5年が経ち、あらゆる面で戦略を見直す必要があると考える。2023年産の作付面積が1,632haで、2025年までに2,000haまでに増やすとしているが、目標が小さすぎるうえに、スピードが遅い。コシヒカリからの切替えを進める方針とともに、具体的な目標を生産者や販売業者に示すべき。このままでは、「富山の米」全体の評価が下がってしまうのではと懸念している。

(農林水産部長)

 

 

 

(8)富山県武道館については、基本設計等の見直しを含めた議論を進めているとのことだが、令和9年度中の開館に向けての意気込みを問う。

武道館機能を持った施設ではなく、武道の殿堂として相応しい、武道の魂が入った武道館を目指し、富山県武道館を建設することとなった当初の意義や趣旨、方針に今一度立ち返り、一日も早い開館に向けて、しっかり取り組んでほしい。

(知 事)

 

 

質問全文

今日は、朝乃山関の誕生日で、

私の誕生日でもあり、昨年に引き続き3月1日に質問できることは、ありがたいことです。「どうする、朝乃山」

再入幕はなりませんでしたが、稽古・努力は決して裏切りません。

武道である相撲道の道をしっかり歩んで、横綱めざして頑張れ!とエールを送り、早速、質問に入ります。

我が国経済は過去30年間、諸外国が経済規模を倍ぐらいに増やしているにもかかわらず、ほぼゼロ成長が続き、賃金も殆ど上昇しておらず、貧しい国になりつつあります。

その最も大きな原因は、日本企業がIT投資を増やしてこなかったこと。

米国やドイツなど各国企業がITをベースにビジネスモデルの再構築を進めたことで、ビジネス環境が大きく変化しましたが、日本企業は見誤り、

一気に国際競争力を低下させたのです。

今は、EV車、ドローン、大規模データセンターなどは、分かりやすく言えば、超精度の高い部品を使うのではなく、汎用性のある部品を使い、機能やレベルを上げるのをソフトウエアでカバーしていく方法をとっています。

それにより、課題を解決し、高い信頼性を必要とするサービスを低価格で実現しているのです。

今、重要なのは、単に労働力と資本をつぎ込むことではなく、ソフトウエア、イノベーションが関わることが、最も大切なこと、つまり、創造性を発揮するということ、前例踏襲を断ち切ること、変えることなのです。

我が国には、創造性のある人は多くいますが、海外へ流出しているのです。本県も同じことが言えます。本県の状況をみると、産業界と教育界の方向性、認識が一致しておらず、創造性のある人を組織や社会が受け入れず、才能を開花できる仕組みがないと考えるのであります。

変えるためには、キッカケをつかむ必要があります。まず、我が国と本県経済の停滞原因と現状認識を企業、行政、教育、県民が共有することが、

IT化、DXを進めるキッカケ、原動力になると考えるのでありますが、

どのように取り組んで行くのか、新田知事に所見をお伺いします。

 

「どうする、行政のIT化、DXの推進」

先ず、前例踏襲型の代名詞である、行政サービス、それを担っている県職員から取り組むことが、最も必要であると考えるのであります。

30年間の遅れを県あげて取り戻すためには、管理職の意識改革を含め前例踏襲型との決別宣言をすることです。

外注してソフトを作ってもらうのではなく、職員自らソフトを作って事務効率化や課題解決ができるよう、若手職員の想像力、理系職員の活用など人材育成にも傾注すべきであり、また、行政サービスの向上を目指して、目標年次を公表したうえで、実現させていかないと県民に伝わらないと考えます。

そこで、県職員が、業務の効率化をはじめ、県民目線、現場主義で課題解決に取り組めるよう、県庁の業務のIT化、DXを推進していくべきと考えますが、どのように取り組むのか、三牧知事政策局長に伺います。

 

また、今この時期、人事異動の担当部署では、頭を悩ませて作業されているのではないでしょうか。職員の経歴や資格などのデータに、本人の希望と、人事当局の方針などの条件を加えれば、自動で異動作業が行えるようIT化を図れないかと考えます。また、例えば、「ある人材を数年後に、ある分野のエキスパートに育てるためには、どこの部署を経験させることが適切か」などのシミュレーション機能を持たせれば、先を見据えた人材育成が可能となると考えます。

そこで、県職員及び教員の人事管理や異動作業のIT化、DX化について、現状と今後の方針について、岡本経営管理部長と荻布教育長に伺います。

 

また、土木部、農林水産部所管のいわゆる公共事業等の請負工事に係る提出書類が非常に多く、現場の業務より、書類づくりに疲弊するとの苦情を良く聞いています。建設業界の担い手確保を目指す観点からも、若い技術者にとって魅力ある環境づくりを進めなければなりません。

そこで、公共事業等の請負工事に係る提出書類の簡素化と電子化を、どのように進め、改善していくのか、市井土木部長に伺います。

 

次に、発信力の強化について、4問伺います。

成長戦略の実現には、県が進める施策を県民に理解してもらい、一体感を醸成することが重要であります。そのためには「発信力」を高め、県民や事業者、関係団体等の現場の声を情報収集し、互いに意思疎通を図り、目標を実現させていくことが重要であると、

これまでも言い続けて来ました。

そうすることによって、全ての県民や事業者が主役となってチャレンジできる環境を作ることに繋がり、

県が後押し、成長戦略の実現に繋がると思うのであります。

そこで、令和5年度当初予算案では、発信力強化に係る事業が増えていると感じていますが、県の施策を県民にわかりやすく伝えるため、どのように取り組んで行くのか、知事の所見をお伺いします。

 

つぎに、ウエルビーイングの発信についてであります

真の幸せ(ウエルビーイング)戦略では、ウエルビーイング先進地域の創出が掲げられているものの、認知度が低い現状を、課題と認めつつ、

「自分ごと」として共感できるよう、ウエルビーイング指標を活用した普及の取組みを進め、自らのウエルビーイングが高まる県民の行動を後押しするとしています。

今年1月には「富山県ウエルビーイング指標」が公表され、県民意識の可視化、政策形成に活用したいとして、色々と工夫されていますが、ここで、提案したいことは、指標の説明から入るのではなく、七色の花を掲示して認識を深めること、まずそこからの

出発でないかと思うのであります。

例えば、CICビル壁面や、大型商業施設、駅構内などへの掲出、あるいは、

県広報誌やHPで掲載して、露出度を高め「あれはなんだ」と興味関心を引くことから始めるべきと思います。

また、民間にも大いに活用してもらえるよう、例えば県HPから自由にダウンロードできるようにするなど工夫することで、SDGsのように、浸透が図られるのではないでしょうか。

このように、興味関心を引いた後、七色の花の説明を聞くことで、県民が「自分ごと」として共感できるのではないでしょうか。

そこで、「ウエルビーイング指標」の認知度向上に、どのように取り組むのか、知事政策局長に伺います。

 

次に、関係人口創出についてであります。

社会的つながりが本県のウエルビーイングの向上や新たなビジネスの創出につながることを考えれば、関係人口をさらに増やす努力が必要であります。

本県への関心が高くない層をターゲットに、本県の認知度を高める取り組みや、県HPの閲覧者などには、SNSを活用したプッシュ型のPRを充実させるべきであります。

さらに、県民ひとり一人が、発信したい魅力をPRできるよう、PRしやすいコンテンツの充実に努めるなど、サポートすることも重要と考えるのでありますが、

関係人口を増やすため、本県の魅力の一層のPRに、どのように取り組むのか、知事政策局長に伺います。

 

また、昨年11月議会で、関係人口の増加に向けて、世界に目を向けるべきと申し上げました。南米訪問した際、富山県人会の3世、4世の日本語離れと富山県に来たことがないという課題に対して、

例えば、本県で富山県人会世界大会の開催について、提案したところ、検討を進めると、答弁がありました。

その検討状況はどのようになっているのか、また、東南アジアなど県内企業が多く進出している地域で、県人会を立ち上げるよう促してはどうかと考えますが、横田副知事に所見を伺います。

 

次に、持続可能な社会の実現に向けて、8問伺います。

はじめに、建設業の担い手不足対策についてであります。

私たちが、社会経済活動ができるのは、道路や河川、上下水道などの社会インフラが土木技術者と建設技能者によって維持管理されているからですが、

現場で働く者、技術者、技能者が不足しているのです。はっきりと表れています。本県の建設業関係の求人倍率が技術者で11倍、技能者で7倍と、どの職種よりも高く、まさに、危機的な状況と言わざるを得ません。

技術者については、県立高校に土木・建設系の学科の一層の充実や定員増などを検討すべきであります。

また、技能者については、これまで、外国人実習生に頼ってきましたが、

今後、海外での賃金上昇もあり、確保することが非常に困難になることが確実であり、日本人技能者をどのように育てるのか、喫緊の課題であります。

建設関係の技能士制度には、型枠、鉄筋、建築大工など建設関係31種類がありますが、その資格を取るための進学先(教育機関)が無く、あっても高校卒業していないと受講できません。

中学校卒業後、すぐに技能士を目指す教育機関があっても良いのではないか。例えば、県技術専門学院にそのような機能を持たせることや、定時制高校に設けても良いのではないか。

高校課程において、専門分野を重点化して学ぶことで、不足する一般課程があるとすれば、必要な時に、学び直しができる体制があればいいのではないか。と考えるのであります。

そこで、建設業の技術者、技能者が危機的に不足する中、現状をどのように認識し、担い手確保に向けてどのように取り組むのか、知事に所見をお伺いします。

 

次に、まちづくりについて伺います。

県では、成長戦略とまちづくりについては、「富山らしい個性的で居心地のよいまちづくりを推進」するとしています。

これまで、何回も取り上げてきましたが、県の公共施設が多くある県庁周辺、富山総合庁舎、教育文化会館、森林水産会館、周辺の多くの駐車場、NHK跡地、旧職員研修所跡地、教育記念館などは、老朽化も進み、再編統合の時期が来ております。再編統合の際には、まちづくりを担う富山市と連携して、公共施設、商業施設、公園などの配置について、グランドデザインを描き、公表することです。そうすることによって、民間投資を促すことになり、

あるいは官民連携のまちづくり整備が可能となるのでありますが、

どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。

 

つぎに、富山台北便の定期便復活についてであります。

富山空港コンセッション導入へ動きだすようでありますが、何よりも航空路線と便数を増やすことが肝要であります。特に富山台北便の定期便復活に重点的に取り組むべきです。

立山黒部アルペンルートに加え、飛騨高山、白馬などに台湾以外のオーストラリアはじめ海外からの観光客、スキー客が来ています。オーストラリアからは成田に着き、白馬まで5~6時間かかりますが、富山空港から北陸自動車道を使えば2時間で行けます。さらに、定期便があれば台湾桃園国際空港で乗り継いで来れます。同空港ではローマ、ドイツ、オランダ、カナダ、アメリカなどの主要都市路線が充実していること、東南アジア路線もあり、ビジネス客の需要もあると考えられます。

定期便復活には、観光客だけでなく、ビジネス客の利用が肝要です。また、富山空港は、何よりも北陸新幹線富山駅、北陸自動車道のアクセスが良いことなど含め、努力をすれば間違いなく、定期便復活はできると考えます。

そこで、富山台北便の定期便復活に向けたこれまでの取組みと、今後の方針について、知事の所見をお伺いします。

 

次に、富山インターの渋滞解消対策について伺います

富山インター出口では、朝夕の混雑時は渋滞し、市内に入るのに時間がかかっており、多くの苦情も聴いています。渋滞緩和には、富山インターに加え、市内にある、西インター、流杉スマートインターの3つのインターで分散をして富山市内に入るようにすることが必要と考えます。

流杉スマートインターは、富山市東部地域の利便性向上を目的として、2009年4月から開業し、当時は一日2500台が目標とされましたが、最近の一日の平均出入り交通量は令和元年には4000台と、現在も3つのインターの合計の15%を占めています。この台数を更に増やすことで、富山インターの渋滞を緩和できると考えるのであります。しかし、アクセス道路の整備不足や12mまでの車両しか通行できないこともあり、現状のままでは、役割を果たすことができません。

そこで、富山インター出口付近の渋滞解消のため、流杉スマートインターへのアクセス改良とセミトレーラー等の大型車も利用できるようインターを改良すべきと考えますが、土木部長に伺います。

 

次に、ほ場整備事業についてであります。

本県では、大区画ほ場整備事業が水橋の国営事業や県営事業が各地域で実施されており、今後ICT技術を活用したスマート農業が主流をなすと思っております。その際、必要なほ場のデータとして工事前後のほ場の状況、つまり、正確なGPS情報に加え、整備前の地盤が道路や水路だったのか、土壌や地下水の状況はどうであったのか、またどのような施工を行い整備したのかなどの情報が、引き継がれることが重要であると考えますが、

どのように取り組むのか、堀口農林水産部長に伺います。

 

また、ほ場整備にあたっては、天候の良い状況での施工が重要であるため、春から秋にかけて工事が行えるよう発注時期や工期設定について、債務負担行為の設定なども含め、検討してはどうかと考えます。さらに、工事の精度を上げるため、ICT技術を活用した施工に取り組むべきと考えますが、農林水産部長に伺います。

ICT技術を活用した施工を取り入れることで、国営の整備の場合は、県・市町及び地元負担が減ると聞いており、積極的に取り組んでいただきたい。

また、県営の場合でも同様の支援が受けられるよう、国に対して要望すべきと考えます。さらには、県単独の整備事業についても同様の制度を設けてはと考えます。ぜひ検討いただければと思います。

 

【どうする、「富富富」】

「富富富」はプレミア付きのブランド米としてスタートしましたが、既にプレミアは無くなり、販売開始から5年が経ち、あらゆる面で戦略を見直す必要があると考えるのであります。

生産者はコシヒカリに置き換われると思っていたが、そうではなかった。消費する側からも販売業者からも落胆の声があります。そのような中、2023年産の作付け面積が1632haで、2025年までに2000haまで増やすとしていますが、目標が小さすぎる上に、スピードが遅い。

どうしたいのか、曖昧とした見えない目標であると考えます。コシヒカリからの切替を進める方針とともに、具体的な目標を生産者や販売業者に示すべきであります。

このままでは、「富山の米」全体の評価が下がってしまうのではと大変懸念しています。そこで、

「富富富」について、生産者、販売業者、消費者の声を足で稼いでしっかり生の声を聴いて、戦略を練り直し、生産拡大等の目標を次期戦略で、分かりやすく発信すべきと考えますが、

農林水産部長の所見を伺います。

 

最後に、富山県武道館について伺います。

今から250年前、富山藩6代目藩主

前田利與(としとも)は、堕落していた士風を立てなすべく文武を奨励するための藩校「広徳館」を、財政難を理由に反対されたが、11年目に開校。

郷土の偉大なる政治家で実業家でもあった正力松太郎が日本武道館初代館長に就任し、「武道を学校正科必修とする」ことを提唱されて以来、平成24年に全国の中学校で必修正科となるまで48年。もっと早く必修正科になっておればと思うとともに、今、正に社会経済が急変している時代に、「健全な心身」の育成が求められているからこそ、

武道を通して心身を錬磨し人格の形成を行うための教育施設、武道の殿堂として相応しい、富山県武道館建設を求めてきました。11万人余りの署名簿とともに要望し始めて10年。我が会派の代表質問でも述べた通り、急がれるのであります。

知事は、1昨日の代表質問で「令和9年度開館に最大限努力する」「教育上重要な役割を担っている」と答弁されたことは心強く思っておりますが、

武道館機能をもった施設ではなく、武道の殿堂として相応しい、武道の魂が入った武道館建設を目指し、

意義や趣旨、方針について今一度立ち返り、一日も早い開館に向けて、しっかり、取り組んでほしいのであります。

そこで、富山県武道館については、基本設計等の見直しを含めた議論を進めているとのことですが、令和9年度中の開館に向けての意気込みを知事にお伺いして、質問を終わります。

令和4年2月定例会にて代表質問に立つ!

2022年03月08日 更新

(令和4年3月1日)

令和4年3月1日、2月定例会において、自民党新令和会を代表して質問しました。

新田県政2度目の予算編成であり、実現力が問われる予算として、予算編成と行財政運営、新型コロナ感染症対策、ウェルビーイングの実現に向けた人づくりと女性活躍、成長戦略と産業経済活性化及びまちづくりについて質しました。

20220301

 

(質問要旨)

 

問1 令和4年度の予算編成と行財政運営について

 

(1)就任後2回目の当初予算編成となる令和4年度当初予算案は、全ての施策に知事の考えを反映できる重要なものと考えるが、どのような思いで編成したのか、また、その特徴は何か、知事の所見を問う。

新型コロナ対策を最優先することはもちろんであるが、従来のマイナスシーリング方式から事業の抜本的見直し・再構築方式への転換や令和3年度サンドボックス予算で実施した事業を予算化したほか、予算全般にわたって創業、創出、課題解決、実証実験などのキーワードが盛り込まれるとともに、多くの新規事業が立ち上げられており、評価するとともに大いに期待している。

 

(2)施策を確実に執行できる組織体制を構築するとともに、現場主義の徹底による県庁のオープン化を進めることが必要と考えるが、どのように取り組むのか、知事に問う。

県庁職員が現場に出向き県民や市町村職員と積極的に交流し一体となって施策を進める「アクティブ県庁」を実現することが重要。

 

(3)県民との一体感を醸成し、県民が主役となった事業展開を実現するためには、県の事業に関する広報活動や発信力を強化する必要があると考えるが、どのように取り組むのか、知事に問う。

県民の県政参加を促進するためには、県が進めようとする事業の必要性と内容を積極的かつ丁寧に説明し、理解してもらうことが重要。

 

問2 新型コロナ感染症対策について

 

(1)オミクロン株の感染拡大が止まらないなか、学校、保育所等でクラスターが発生しており徹底した感染防止策を講ずること、また、高齢者の重症化予防に重点的に取り組み重症者を出さないこと、そして医療提供体制を維持することが重要であるが、どのような対策を講じていくのか、知事に問う。

オミクロン株の重症化率はデルタ株に比べて低いと言われているが、感染力が強くワクチン効果が薄れた高齢者にとって重症化のリスクは高い。重症患者の増加によって入院病床が圧迫されれば医療提供体制への負荷が高まってしまう。

 

(2)県内において3回目のワクチン追加接種が思うように進まない原因をどう分析し、今後どのように対応するのか、前倒し接種も含めた現在の接種状況とあわせて知事に問う。感染拡大を防止するためには3回目のワクチン接種を進めることが重要。

 

(3)先月18日に発表した中小企業者等「緊急支援パッケージ」について、県内の中小企業・個人事業主等に広く周知するとともに、スピード感をもって事業復活緊急応援金を支給すべきと考えるが、どのように取り組むのか、商工労働部長に問う。

新型コロナの急激な拡大により、県内の中小企業・個人事業者等は大きな影響を受けており、今後の事業の見通しを立てられるようにするためにも、応援金の速やかな支給が求められる。

 

問3 ウェルビーイングの実現に向けた人づくりと女性活躍について

 

(1)若者が自分の学力によって高校を選ぶのではなく、何を学ぶために高校へ行くのか自分で考え、県もそれに応える教育を提供することが重要であり、その実現のために突き抜けた議論をし、思い切った改革を実施すべきと考えるが、教育長に問う。

公私比率を堅持するのではなく、県立高校と私立高校が役割分担して教育を提供すべき。社会経済環境が激しく大きく変化している中で、普通科偏重を大転換し、職業教育を充実すべき。普通科を見直し、職業教育からスタートして、卒業後に社会に出る者と大学を目指し専門性を磨く者を導くことにより、社会に出て役立つ仕事に就くことができ、自分らしく生きられる、ウェルビーイングの原点があるのではないか。そのような学校を作ることが、若者を惹きつけ、全国の人に本県へ来たいと思ってもらえることに繋がると考える。

 

(2)県内企業で女性が幅広く活躍できるよう、若い女性が働きやすい職場づくりなど受入環境、さらには、女性にとって起業しやすい環境を整えていく必要があると考えるが、どのように取り組むのか、知事政策局長に問う。

セミナーの開催はもちろんのこと、個別に企業訪問して指導アドバイスできる人材を確保し、県を挙げて女性ファーストに取り組むべき。

 

(3)本県における若者の就業支援について、支援強化・充実を図ることが必要であり、相談窓口も富山駅に近いところで行きやすい場所にすることも含め、どのように対応するのか、商工労働部長に問う。

国の雇用動向調査によると、29歳以下の新規就労者数は2015年と比べると2020年は本県が21.2%減少する一方、石川県は31,800人で3.6%の増、長野県は29,800人で30.7%増加しており、若者の新規就労者の増加が地域に活力をもたらすことを考えると、非常に残念な結果である。他県の成功事例では、就職採用活動や奨学金返済への支援、積極的なインターンシップ参加に加え交通費や宿泊費助成、仕事とくらしの相談など多岐にわたる支援を行っている。

 

(4)昨年設置した「小児医療等提供体制検討会」で議論された内容を踏まえ、令和4年度から対応することも含め、小児医療提供体制の構築に今後どのように取り組むのか、知事に問う。

小児科医の不足が顕著になりつつあることから、救急医療や高度医療の提供体制、医療的ケア児、発達障害児などこころの問題にも対応できる体制を早急に構築する必要がある。

 

(5)富山県武道館については、基本計画と基本設計を既に終えており、民間事業者のノウハウ活用や創意工夫できる余地が限られていることから、可能な限り早期に建設を進めるべきと考えるが、副知事に問う。

事業者の公募から選定まで2年間を要することから、開館時期が令和9年度になるとのことだが、事務手続きに余りにも時間をかけすぎているのではないか。

 

問4 成長戦略と産業経済活性化について

 

(1)デジタル化は成長戦略を実現するためのエンジンであり、データ基盤の構築やDX人材の育成などの対応を強化すべきと考えるが、どのように取り組んで行くのか、知事政策局長に問う。

成長戦略の実現に向けて、産業や地域などあらゆる分野の課題を解決するためには、データの活用は欠かせないものであり、DXを推進するためには、データ基盤を構築し県民の利便性を向上する必要がある。

 

(2)県内の事業承継を進めるため「事業承継・引継ぎ支援センター」におけるワンストップ対応をしてきたが、これまでの成果と課題をどう認識し、今後どのように取り組むのか、また、経済社会構造の急速な変化に対応し、事業の再建や成長発展に取り組む県内企業をどのように支援していくのか、知事に問う。

経営者の高齢化や後継者不在による休廃業・解散を放置すれば、資金が域外に流出し、流入が減るとともに地域の魅力がどんどん薄れ、雇用も維持できなくなる。また、県がこれまでに実施した「富山県中小企業リバイバル補助金」や「ミニリバイバル補助金」は有効かつ好評であり、同様の支援を期待する声が非常に大きい。

 

(3)創業・起業支援について、これまでの支援策をどのような観点で見直し、どのような目標を立てて事業を実施することとしたのか。また、新たな支援施策を広く知ってもらうためには情報発信が重要と考えるが、どのように取り組むのか、知事に問う。

これまで本県で創業や起業が少ない原因は、インキュベーションマネージャーやハンズオン、いわゆるスモールビジネス、スタートアップ企業をそれぞれ指導できる人材が確保・配置されていないことや、資金の準備、県内への誘致体制などがなかったからではないか。

 

(4)本県産業の活性化に不可欠な海外展開を進めるため、現地における拠点づくりが新たな販路開拓や産業の活路を見出すチャンスに繋がると考えるが、今後どのように取り組むのか、コロナ禍における2年間、オレゴン州をはじめとする友好提携先との交流関係をどのように維持し、今後どのように交流を進めるのか、あわせて知事に問う。

令和4年度はオレゴン州やベトナムとの経済交流なども予定されているが、現地の拠点には、常駐できる人材を通年で配置すべき。また、日本からのワクチン提供に感謝を示すため、台湾の屏東県で開催された「屏東日本友好感謝祭」において本県の観光資源をPRできたことは、現地での交流が難しい状況が続く中で素晴らしいことである。

 

(5)今後、米の需要が毎年減少している厳しい状況が続くなか、米以外の作物の栽培による所得向上をめざすべきであり、栽培技術指導が伴う生産から販路開拓による販売まで、県外販売や輸出に向けた地域商社への支援や大学との連携、担い手対策などを含め、どのような体制で取り組むのか、副知事に問う。

園芸作物の栽培を指導できる人材の確保や栽培技術のデータのストック、それらを指導できる農林水産総合技術センターに加え、新しく大学との連携が必要。また、日本人の主食は米と小麦になっており、小麦栽培も視野に入れて検討すべき。

 

(6)国の「みどりの食料システム戦略」を推進するためには、スマート農業を中心とした大規模農業と有機栽培や高収益作物を取り入れた小中規模農業など多様なモデルを構築すべきと考えるが、どのように取り組むのか、農林水産部長に問う。

輸出拡大は大いに進めるべきだが、まずは、生産体制の構築により自給率を向上すること、農業生産物の国際的な安全基準をクリアすることを優先すべき。欧米では農薬や化学肥料を減らす動きが高まっており、国際基準をクリアするためには、みどりの食料システム戦略の推進は欠かせないものであるが、予算案ではその意欲が感じられない。

 

(7)国営農地再編整備事業「水橋地区」では、将来を見据えた法人、集落営農、個人の経営形態ごとにモデルを作り、スタートアップしていく必要があると考えるが、JAなど民間農業支援組織の設置や県の支援も含め、どのような体制で進めていくのか、農林水産部長に問う。

北陸初となる大型ほ場整備事業であり、約620haもの大規模なほ場でどのような形による農業経営がなされていくのか、全国のモデル地域として注目されている。

 

(8)本県観光の振興には、日常生活の中にある本県の魅力を再発見して誘客を促進することが効果的であり、市町村と連携するとともに、地域外・県外の若者、特に女性の視点を活かした取組みが効果的と考えるが、どのように取り組むのか、地方創生局長に問う。

地域に住んでいる者にとっては当たり前となっているものであり、自分では何が魅力なのか気が付かないことが多い。

 

(9)豊かな自然環境そのものが貴重な観光資源であり、今後、登山や山歩きなどが増えると思われるが、安心して登山できる環境・体制づくりにどのように取り組むのか、生活環境文化部長に問う。

コロナ禍の密を避けるレジャーとして人気が高まっているが、道に迷ったり、けがをしたり、遭難する危険があり、安全な環境づくりが重要。

 

問5 成長戦略とまちづくりについて

 

(1)令和4年度当初予算案で計上された「ファシリティマネジメント調査検討事業」について、どのような観点で実施しようとしているのか、また、市町村が行うまちづくりともしっかりと連携した対応が必要と考えるが、どのように取り組むのか、あわせて知事に問う。

人口減少が進む中、老朽化に加え維持管理費が多額となるため公共施設の再編統合は大きな課題。不要となった施設は撤去し、個性あるまちづくりに活用することが必要。富山総合庁舎、教育文化会館、森林水産会館などが老朽化しオフィスとしての機能も低下していることから、民間施設に入居するなど、土地の民間活用を図ることが必要。

 

(2)社会インフラが整備された地域における商店街の空き店舗や住宅の空き家が依然と増加しており、市町村と企業、地域との連携の下、利便性が高い立地環境等を積極的に情報発信して呼び込むことが必要と考えるが、どのように取り組むのか、土木部長に問う。

若い世代は新しい工法で作った住宅や利便性が高い立地環境を望んでおり、街中の住宅地に誘導しなければ、もったいない。空き家という建物だけではなく土地に着目し、宅地放棄地だという認識で対応すべき。

 

(3)農業後継者がいない家や空き家が増加し、用排水路などの維持管理ができない集落も出てきていることから、維持管理の作業に参加する人を増やし、非農家が空き家だけでなく現在一部区域で制限されている敷地の利活用も進めることにより、関係人口や移住者を増やし、集落を活性化し美しい田園地域にすべきと考えるが、どのように取り組むのか、農林水産部長に問う。

農村地域は食料生産の基地であるとともに、農業を営む者が住む生活の場、さらには農業生産により県土が守られ県民の命を育んできた田園地域であり、「幸せの基盤」と言える。

 

(4)令和4年度当初予算案では、持続可能な地域公共交通体系の構築に向け、富山県地域公共交通計画の策定をはじめ、MaaS環境の構築、新モビリティサービスの推進などを進めるとしているが、法律による制限や県内市町村との連携も含め、どのように取り組んで行くのか、知事に問う。

県民にとって利便性の高い移動手段を確保するには、交通事業者間の連携体制の構築、データ連携を行うための環境整備、道路運送法などによる制限など課題も多いが、実証実験などスマートシティ宣言をしている富山市等と連携して取り組むべき。

 

(全文)

 

私は、自民党新令和会を代表いたしまして、今定例会に提出されました諸案件並びに当面する諸問題について質問いたします。

質問に先立ちまして一言申し上げます。

オミクロン株の強力な感染拡大のピークアウトが見えない中、感染症の対応に携わっている医療をはじめ関係の皆さまに改めて敬意と感謝を申しあげます。

ロシアによるウクライナ侵攻・侵略は断じて許しがたい暴挙であり、政府においては、一層の厳しい対応をするべきであります。

この事態は、中国と台湾との関係、そして我が国のおかれた状況を考えれば、「対岸の火事」とは思われません。

また、我が国は、防衛や食料、エネルギーも、コロナ用ワクチンや薬も外国に依存しなければならない情けない国になっています。いざという時、県民の命を守るにはどう対応したら良いのか、常に考えながら県政はあるべきと、思いつつ質問に入ります。

 

★先ず、令和4年度の予算編成と行財政運営について伺います。

新田知事におかれては、一昨年就任以来、2回目の予算編成であります。

昨年度は、種まきの予算ということでありましたが、令和4年度予算は、全ての施策において、実現力が発揮でき、確実に執行できることが問われる重要な予算編成であると思っております。

少子化による人口減少が進む中、新型コロナウイルス感染症による厳しい経済情勢を乗り越えるため、成長戦略会議を設置し、本県の新たなビジョンとして「真の幸せ、ウエルビーイング」、「自分らしく、幸せに生きられること」を掲げ、ワクワクする富山県の実現に向けて、予算編成がされました。

令和4年度予算編成にあたり、新型コロナ対策の最優先はもちろんでありますが、従来のマイナスシーリング方式からゼロベースで事業の抜本的見直し・再構築方式への転換や、昨年初めて取り入れたサンドボックス予算で実施した事業を予算化したほか、予算全般にわたり、創業、創出、課題解決、実証実験などのキーワードが盛り込まれるなど、多くの新規事業が立ち上げられており、評価するとともに、大いに期待しているところであります。

そこで、就任後2回目の当初予算編成となる令和4年度当初予算案は、全ての施策に知事の考えを反映できる重要なものと考えますが、どのような思いで編成されたのか、また、どのような特徴があるのか、新田知事に、お伺いいたします。

また、施策を実現するためには、何よりも、県職員が現場に出向き、県民や市町村職員と積極的に交流し、一体となって施策を進めるアクティブ県庁を実現することが重要であります。

その上で、施策を確実に執行できる組織体制を構築するとともに、現場主義の徹底による県庁のオープン化を進めることが必要と考えますが、どのように取り組んで行くのか、知事にお伺いいたします。

さらに、県民の県政参加を促進するためには、県が進めようとする事業の必要性と内容を積極的かつ丁寧に説明し、理解してもらうことが重要であります。

そこで、県民との一体感を醸成し、県民が主役となった事業展開を実現するためには、県の事業に関する広報活動や発信力を強化する必要があると考えますが、どのように取り組んで行くのか、知事にお伺いいたします。

 

★つぎに、新型コロナ感染症対策について伺います。

オミクロン株の重症化率はデルタ株に比べて低いと言われていますが、感染力が強くワクチン効果が薄れた高齢者にとって、重症化のリスクは高く、重症患者の増加によって入院病床が圧迫されれば、医療提供体制への負荷が高まるのであります。

そこで、オミクロン株の感染が止まらない中、学校、保育所等でクラスターが発生しており、徹底した感染防止策を講ずること、また、高齢者の重症化予防に重点的に取り組み、重症者をださないこと、そして医療提供体制を維持することが重要でありますが、どのような対策を講じていくのか、知事にお伺いいたします。

また、感染拡大を防止するためには、効果のある3回目のワクチン接種を進めることが重要でありますが、3回目の追加接種が思うように進んでいません。

その原因をどう分析し、今後どのように対応していくのか、前倒し接種も含め、現在の接種状況と合わせ、知事にお伺いいたします。

次に、新型コロナの急激な拡大により、県内の中小企業・個人事業者等は、大きな影響を受けており、今後の事業の見通しを立てられるようにするためにも、応援金の速やかな支給が求められます。

先月18日に発表された、中小企業者等「緊急支援パッケージ」につて、県内の中小企業・個人事業主等に広く周知するとともに、スピード感をもって事業復活応援金を支給すべきと考えますが、どのように取り組むのか、布野商工労働部長に伺います。

 

★次に、ウエルビーイングの実現に向けた人づくりと女性活躍について伺います。

真の幸せ、ウエルビーイングを享受できる成長戦略を達成するには、何よりも、次世代の価値を育む人材が必要であります。

先ず、大本は、出生数を増やし転入者を増やすことです。

本県の出生数は1970年から2020年の50年間で、64%減少し、全国ワースト11位であり、石川県の57%、福井県の56%と比べても、大変厳しい現実であることを強く認識すべきであります。

出生数が少なくなっているその最も大きな原因は、これまでも指摘されている通り、20代前半女性の県外流出です。

これまで、結婚や子育てへの支援はかなり充実してきていますが、20代前半女性を留める、引き付ける、決定的な対策がない中で、私は、その大きな原因は、高校教育にあると思います。

子どもたちには、社会に役立つ人間になって欲しい、そのために社会に出て活躍できる力を育む教育をしなければなりません。

希望や夢を持っているにもかかわらず、内申書に気遣い、成績順で高校に入らざるを得ない状況で、肝心の、何を学ぶために行くのか、が置き去りになっています。

学びたい学科や高校がない。特に女性が学びたい学科が少ない。多感な10代の中学・高校生にとって息苦しい教育環境になっているのではないでしょうか。

高校の職業教育の充実を図っているとのことだが、そもそも職業系の学科を卒業しても、その道に進む者が極めて少ない。それが本県の職業教育の実態であります。

現在、高校のあり方が「令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会」で検討されていますが、なぜ県立だけなのか、私学も含めた検討ができないのか40年あまり殆ど変わらぬ公私比率を堅持するのではなく、県立高校と私立高校の役割分担をして教育を提供すべきであります。

また、普通系学科を対象にした「職業プログラムモデル」の案を見ましたが、余りにも社会が求めている職業教育と乖離していると感じています。

あらゆる分野で、イノベーションによる変革を求める社会になっており、社会経済環境が激しく大きく変化している中で、普通科偏重を大転換し、職業教育を充実するべきです。

普通科を見直し、職業教育からスタートして、卒業後に社会出る者、大学を目指し専門性を磨く者を導いてこそ、社会に出て役立つ仕事に就くことができ、そこに、自分らしく生きられる原点、ウエルビーイングの原点があるのでは、ないでしょうか。

そのような学校を作ることが、若者を惹きつけ、全国から本県へ来たいと、思ってもらえることに繋がると考えるのであります。

しかし、現在、県立高校では、転校生や、海外子女を容易に受け入れるのが厳しいなど、国際バカロレア資格を導入した学校づくりも、挑戦する前から難しいと聞こえてきます。こうした県の教育風土も改善すべきと思うのであります。

そこで、真の幸せ、ウエルビーイングを享受できる成長戦略を達成するには、何よりも、次世代の価値を育む人材の育成、人づくりが必要であり、若者が自分の学力によって高校を選ぶのではなく、何を学ぶために高校へ行くのか自分で考え、県もそれに応える教育を提供することが重要であり、その実現のために突き抜けた議論をし、思い切った改革を実施すべきと考えますが、荻野教育長に伺います。

 

★次に女性活躍についてであります。

予算案にはウエルビーイング創出を牽引していくような、女性活躍ファーストペンギン企業パイロット事業をはじめ、多くの施策があり、セミナーの開催などは、もちろん必要であります。しかし、何よりも、個別に企業訪問して、指導アドバイスできる人材を確保し、県を挙げて女性ファーストに取り組むべきであります。

そこで、県内企業で女性が幅広く活躍できるよう、また、若い女性が働きやすい職場づくりなどの受入環境、さらには、女性にとって起業しやすい環境を整えていく必要があると考えますが、どのように取り組むのか、三牧知事政策局長に、伺います。

 

★次に、若者就業支援についてであります

国の雇用動向調査によれば、29歳以下の新規就労者数は、2015年と2020年を比べると、本県は20,400人で21.2%の減少する一方、石川県31,800人で3.6%の増、長野県は29,800人で30.7%の増なっており、若者の新規就労者の増加は地域に活力をもたらすことを思うと、非常に残念な結果となっています。

他県の成功事例を見ると、就職採用活動や奨学金返済支援、積極的なインターンシップ参加に加え、交通費や宿泊費助成、仕事とくらしの相談など多岐にわたる支援を行っております。

そこで、本県における、若者の就業支援について、一層の支援強化・充実を図ることが必要であり、相談窓口も富山駅に近いところで行きやすい場所にすることも含め、どのように対応するのか、商工労働部長に、伺います。

 

★つぎに、小児医療体制についてであります。

少子化が進む中で、次世代を担う子供たちの命と健康を守っていかなければなりません。

しかし、開業医の高齢化、小児科医のなり手が少なくなるなど、小児科医の不足が顕著になりつつあります。

そのため救急医療や高度医療の提供体制、さらに医療的ケア児、発達障害児などこころの問題にも対応できる医療体制を早急に構築する必要があります。

県で昨年設置された「小児医療等提供体制検討会」で議論された内容を踏まえ、令和4年度から対応することも含め、小児医療提供体制の構築に、今後どのように取り組んで行くのか、知事にお伺いいたします。

 

★富山県武道館についてであります

急速な情報技術の進展に伴い、モラルや人格の形成が益々必要となってきており、その役割を果たしていくのが武道教育であります。その殿堂ともゆうべき富山県武道館建設が待たれるのであります。

建設にあたっては、民間活力導入可能性調査結果を受け、実施設計以降にPFI-BTO方式を採用し、予定では、事業者の公募から選定に至るまで2年間を要し、開館時期が令和9年度になるとのことですが、事務手続きに、余りにも時間をかけすぎであります。

基本構想をもとに、基本計画、基本設計を既に終えており、民間事業者のノウハウ活用や創意工夫できる余地は限られており、可能な限り早めるべきと考えますが、蔵堀副知事に伺います。

 

★次に、成長戦略と産業経済活性化について伺います。

成長戦略の実現に向けて、産業や地域などあらゆる分野の課題を解決するには、データの活用は欠かせないものであり、DXを推進するためには、データ基盤を構築し、県民の利便性向上を図っていく必要があります。

例えば、地域公共交通を考える上でも、観光や防災、働き方改革を進めるためにも、人流データを集積し、活用環境を整えることが肝要でありますし、まちづくり、高齢化対策など市町村とのデータ基盤の連携を進めていく必要があります。

そこで、デジタル化は成長戦略を実現するためのエンジンであり、データ基盤の構築やDX人材の育成などの対応を強化していくべきと考えるが、どのように取り組んで行くのか、知事政策局長に伺います。

県内の企業数は平成11年には約五万社でしたが、平成28年には約三万5千社と約30%の減少であり、しかも、経営者の平均年齢は60.4歳と高齢化が進んでいます。

また、令和2年の休廃業と解散件数が365件と大きく増加し、その経営者の9割が、60代であります。

このような経営者の高齢化や後継者不在による休廃業・解散を放置すれば、地域経済の観点からは、資金が域外に流出し、流入が減るとともに地域の魅力がどんどん薄れ、雇用も維持できなくなるのであります。

また、追い打ちをかけるように、コロナ禍で県内中小企業は大変な痛手を受けましたが、「富山県中小企業リバイバル補助金」や「ミニリバイバル補助金」により、コロナ後を見据えた企業連携や業態転換等による新ビジネスの創出など意欲的に取組む事業者が増えており、この補助金は、有効かつ好評であったことから、今後も同様の支援を期待する声が非常に大きいのであります。

そこで、県内における事業承継を進めるために、昨年4月から「事業承継・引継ぎ支援センター」において、ワンストップ対応をしてきましたが、これまでの成果と課題をどう認識し、今後どのように取り組むのか、また、経済社会構造の急速な変化に対応し、事業の再建や成長発展に向けて意欲的に取り組む県内企業をどのように支援していくのか、知事にお伺いいたします。

昨年4月から9月の半年で、全国の新設法人数が前年同期比34.6%増となっており、コロナ禍後の新たな商機を捉えようと全国で起業熱が高まっており、本県でも伸び率が45.2%と全国4位でありました。

これは昨年から創業や起業の支援を知事政策局に移し、部署を横断的にして施策を展開したことが成果の現れだと思われます。しかし、創業や起業数はまだまだ少ないのも実態であります。

少ない原因として、インキュベーションマネージャーやハンズオン、いわゆるスモールビジネス、スタートアップ企業を、それぞれ指導できる人材が配置確保されていないことや、資金の準備、県内への誘致体制などがなかったからだと思うのであります。

そこで、創業・起業支援について、これまでの支援策をどのような観点で見直し、どのような目標を立て、事業を実施することに、したのか。

また新たな支援を県内外に広く知ってもらうためには、情報発信が重要と考えますが、どのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。

さらに、本県産業の活性化には、海外展開は不可欠であり、令和4年度には、オレゴン州やベトナムの経済交流などが予定されていますが、要は、現地での拠点づくりであります。

現地拠点には、2~3か月ではなく、常駐できる人材を通年で配置して展開するべきと考えます。

また、先日、日本からのワクチン提供に感謝を示すため、台湾の屏東県で開催された「屏東日本友好感謝祭」において、本県の観光資源をPRできたことは、コロナ禍で現地での交流が難しい状況が続く中で、素晴らしい取り組みだと思います。

そこで、本県産業の活性化に不可欠な海外展開を進めるため、現地における拠点づくりが、新たな販路開拓や産業の活路を見出すチャンスに繋がると考えますが、今後どのように取り組むのか、また、コロナ禍における2年間、オレゴン州をはじめとする友好提携先との交流関係をどのように維持し、今後どのように交流を進めるのか、併せて、知事にお伺いいたします。

 

★次に、農業についてであります。

人口減少と多様な食生活の進展により、今後もコメの需要が毎年確実に減少する厳しい状況であり、米以外の作物栽培を促進し、販売に至るまでの体制を構築し、農業所得の向上を、目指さなければなりません。

本県農業の役割は、先ずは、県民に安心安全な食料を供給し、県民の命を守り、県土を守ることです。そのためには、県民のニーズを把握し、農業生産に反映させること、さらに、県外や輸出に向けて、市場調査をし、生産拡大に結び付けていくこと。

そのためには、販路開拓できる人材をもった地域商社などへの支援をすることが必要であります。

また、園芸作物の栽培指導できる人材の確保、さらには、栽培技術のデータのストック、それらを指導できる農林水産総合技術センターに加え、新しく大学との連携が必要と考えます。

さらに、日本人の主食は米と小麦になっている現状から小麦栽培も視野に入れて検討すべきと思うのであります。

そこで、今後、米の需要が毎年減少する厳しい状況が続く中、米以外の作物による所得向上を目指すべきであり、栽培技術指導が伴う生産から販路開拓による販売までを、県外や輸出に向けた地域商社支援や大学との連携、担い手対策などを含め、どのような体制で取り組むのか、横田副知事にお伺いします。

人口減少が強まる中で、輸出拡大は大いに進めるべきでありますが、

先ずは、我が国と本県の自給率を向上させる生産体制の構築であり、農業生産物の国際的な安全基準をクリアすることを優先すべきであります。

欧米では農薬や化学肥料を減らす動きが高まっており、国際基準をクリアするためには、「みどりの食料システム戦略」の推進は欠かせない施策だと理解していますが、予算案ではその取り組みが感じられません。

国の「みどりの食料システム戦略」を推進するためには、耕作放棄地ではなく、スマート農業を中心にした大規模農業と、有機栽培や高収益作物を取り入れた小中規模農業などの多様なモデルを構築して進めるべきと考えますが、どのように取り組んで行くのか、堀口農林水産部長に伺います。

つぎに、国営水橋地区は令和3年度着工となり、令和4年度から事業が本格的に進められ、大型ほ場が毎年増えてまいります。北陸初となる大型ほ場整備事業であり、約620haの大型ほ場でどのような形による農業経営がされていくのか、全国のモデル地域として注目されております。

そこで、将来を見据えた法人、集落営農、個人の経営形態ごとにモデルをつくり、スタートアップしていく必要があると考えますが、JAなど民間農業支援組織の設置や県の支援も含めどのような体制で進めていくのか、農林水産部長に伺います。

 

★次に、観光振興についてであります。

現在、第3次の「新たな観光振興戦略プラン」の素案が示されており、「富山の日常」と「富山の暮らし自体が持つ魅力」を最大限活かして、旅行者、滞在者、移住者が増加することを、目指すとしています。

具体的には、「女性による「暮らすような旅」観光サービス事業化プロジェクト」、マイクロツーリズム推進事業、デジタルを使った情報発信事業など多彩で精力的な取組が提案されていますが、地域に住んでいる者にとっては、日常や暮らしが当たり前となっており、自分では、何が魅力なのか気が付かないことが多いのが、実態であります。その魅力の発見やガイドには、地域外・県外の方、特に20代の女性が大きな力を発揮してもらえると思うのであります。

そこで、本県観光の振興には、日常生活の中にある本県の魅力を再発見して誘客を促進することが効果的であり、市町村と連携するとともに、地域外・県外の若者、特に女性の視点を活かした取り組みが効果的と考えますが、どのように取り組むのか、助野地方創生局長に伺います。

また、本県観光の目玉は、立山黒部アルペンルートでありますが、これからの観光には、ルート周辺を歩きながら自然環境を楽しむことが一層進むと思います。

また、コロナ禍の蜜を避けるレジャーとして登山や山歩きの人気が高まっていますが、道に迷ったり、けがをしたり、遭難する危険があり、安全な環境づくりが重要となっております。

そこで、これからの観光には豊かな自然環境そのものが貴重な観光資源であり、

今後、登山や山歩きなどが増えると思われますが、安心して登山できる環境・体制づくりにどのように取り組むのか、出来田生活環境文化部長に、伺います。

 

★次に成長戦略とまちづくりについて伺います。

成長戦略では、新しい価値を生む人材は、個性的で自由な文化風土を好むため、官民連携による富山らしい個性的なまちづくりに取り組むとして、居心地が良く個性的な市街地・田園地域づくりを掲げています。

これまで公共施設は、長寿命化に努め適切に管理されてきましたが、人口減少が進む中、施設の老朽化に加え、維持管理費が多額となるため、公共施設の再編統合が大きな課題であります。

まちづくりの観点からも不要なものは早く撤去し、空いた土地は民間に払い下げるなど、個性ある街づくりに活用することが必要であります。例えば、富山市街地では富山総合庁舎、教育文化会館、森林水産会館などは、老朽化し、オフィスとしての機能も低下しており、民間施設に入居するなどして、土地の民間活用を図っていくことが必要であると思うのであります。

そこで、県では新たに、ファシリティマネジメント調査検討事業を実施予定でありますが、どのような観点でこの事業を実施しようとしているのか、また、市町村が行うまちづくりともしっかりと連携した対応が必要と考えますが、どのように取り組んで行くのか、知事にお伺いいたします。

また、社会インフラが整備された商店街や住宅地の空き家が増加し、手つかずで放置されており、環境悪化をもたらし、まちづくりを阻害しているのが現状であります。

若い世代は、新しい工法で作った住宅と利便性が高い立地環境を望んでおり、街中の宅地に誘導しなければ、もったいない、のであります。

空き家という建物だけではなく、土地に着目し、宅地放棄地だという認識で対応するべきであります。

そこで、社会インフラが整備された地域における商店街の空き店舗や、住宅の空き家が依然と増加しており、市町村と企業、地域連携のもと、利便性が高い立地環境等を積極的に情報発信して、呼び込むことが必要と考えますが、どのように取り組むのか、江幡土木部長に伺います。

また、農村地域は食料生産する基地であるとともに、農業を営む者が住む生活の場、さらには農業生産により、県土が守られ、県民の命を育んできた田園地域であり、「幸せの基盤」なのであります。

しかし、農業後継者のいない家や、空き家が増加し、用排水路などの維持管理ができない集落も出てきています。

そこで、維持管理の作業に参加する人を増やし、非農家が空き家だけでなく、現在一部区域で制限されている敷地の利活用も進めることにより、関係人口や移住者を増やし、集落を活性化し、美しい田園地域にすべきと考えますが、農林水産部長に伺います。

 

★最後に、地域公共交通対策について伺います。

田園地域とまちを結ぶ、あるいは、街中の移動手段をどのように構築するのか、大きな課題となっています。

トヨタでは、もはや車は売るのではなく、移動そのものを売るとして、自らを自動車メーカーから「モビリティカンパニー」に転換宣言しました。

国では、鉄道・バス・タクシー・船・飛行機・カーシェア・シェアサイクルなど複数の交通機関のサービスをひとつのサービスとして結び付け、人の移動を大きく変えるシステム、「MaaS(マース)」を推進しはじめました。

また、2019年に「スマートモビリティチャレンジプロジェクト」を立ち上げ、地域における移動課題の解決や経済活性化を目指すため、ITの力や自動走行技術などの4つのコンセプトを掲げ全国展開し、後押しをしています。

県民の利便性の高い移動手段を確保するには、交通事業者間の連携体制の構築、データ連携を行うための環境整備、道路運送法などによる制限への対応など課題も多いのですが、実証実験などスマートシティ宣言している富山市などと連携し、取り組むべきであります。

そこで、令和4年度当初予算案では、持続可能な地域公共交通体制の構築に向け、富山県地域公共交通計画の策定をはじめ、MaaS環境の構築、新モビリティサービス等を進めるとしていますが、法律による制限や市町村との連携等の課題がある中で、どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いして、質問を終わります。

令和3年9月定例会にて質問に立つ!

2022年03月08日 更新

(令和3年9月21日)

令和3年9月21日、9月定例会において、予算特別委員会で、コロナ対策、富山県成長戦略について質しました。

 

(質問要旨)

 

問1 新型コロナウイルス感染症対策について

 

徹底した感染拡大防止策を行うためには、憲法に緊急事態条項を設け、関連する法整備を行うことが、安全保障上重要と考えるが、知事の所見を問う。

医療機関、事業者、県民などに、協力要請しか行うことができず、徹底した感染拡大防止策が取れないのが問題と考える。

 

問2 富山県成長戦略について

 

(1)富山県成長戦略の中間とりまとめにおいて、真の幸せ(ウエルビーイング)中心の成長戦略を目指すとされているが、真の幸せを得るための根底となるものは何か、知事の考えを問う。

世界幸福度ランキング2021では、日本は156か国中56位となっており、「人生の選択の自由度」と「寛容さ」が上位10か国に比べ特に低い。幸福度に影響を与えるのは、「自由に選択できる実感」「人とのつながり(他人への寛容)」であり、また「社会の役に立つこと」であると考える。

 

(2)「人生の選択の自由度」を高めるためには、成績・偏差値重視を改めて、選択肢の多い魅力ある職業教育課程がある学校づくりが重要であり、「令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会」において、私立とのすみわけも含め、検討を進めるべきと考えるが、教育長の所見を問う。

本県の高校教育は、普通科が優先され、職業教育のジャンルが狭いため、将来の仕事の選択肢が狭まっていると考える。その原因は産業界が必要な人材と生徒が望む職業に乖離があること。職業教育を深化させるため、5年制や専門学校と連携し在学中に福祉、看護、保育、理美容、建設専門業などを幅広くなどを学べる体制など、幅広い角度から検討を行い、魅力ある教育課程を作り、多くの選択肢を示すことが、人生の選択の自由度を広めることにつながる。

 

(3)あらゆる仕事が社会のために役立っていることを認識し、社会全体でその認識を共有することで、いろいろな職業を選びやすい環境づくりが重要と考えるが、どのようにその気運を醸成していくか、商工労働部長に問う。

学校、家庭、地域、社会全体で、職業に貴賎がないことを共有し、それぞれの職業が社会のために役立っていることを認識しなければ、子どもたちの職業の選択肢が狭まり、人手不足業種の人手不足は解消されない。

 

(4)AI等の普及により、社会のあり方や働き方が大きく変化するなか、より一層人と人とのつながりや日本人・富山県人古来のアイデンティティの確立が重要であり、日本古来の伝統文化とあわせて地域の自然、歴史、文化、伝統行事、産業といった教育資源を活かした「ふるさと教育」の推進がますます重要となると考えるが、どのように取り組むのか、教育長に問う。

最近、自己否定する子どもが多く、自分の住んでいるところの良さを説明できない子が多い。地域に愛着と誇りを持つことが、肯定感につながり、人とのつながり(他人への寛容さ)につながると考える。

 

(5)富山県成長戦略のビジョンの知事メッセージにおいて、「富山には豊かな自然や水、おいしい食、安全な土地という『幸せの基盤』が揃っている」とあるが、富山県の現状をどのように捉え、知事の言う『幸せの基盤』を維持していくためにどのように取り組むのか、知事の所見を問う。豊かな自然や水、おいしい食、安全な土地を維持していくには、農林水産業が基盤となると考えるが、国予算、県予算の農林水産業の構成比はそれぞれ2%、6%と少なく、農林水産業は儲からないという認識から、担い手は減少の一途をたどっており、『幸せの基盤』の維持が危機的な状況にある。

 

(6)農林水産業の担い手が減少している今、『幸せの基盤』を維持するためには、農村の関係人口を増やすことが重要と考えるが、どのように取り組むのか、農林水産部長に問う。

県土が健全であることが重要であり、管理しなければ、健全な県土は保てない。定住しなくとも、草刈りや江ざらいなどの作業を担う集落の関係人口を増やし、農村の存続を図ることが重要であり、そのための仕組みづくりを急ぐ必要がある。

 

(7)豊かな自然や水、おいしい食、安全な土地という『幸せの基盤』の維持には、農林水産教育を充実させ、担い手の確保につなげることが重要と考えるが、今後、農林水産教育にどのように取り組むのか、教育長に問う。

豊かな自然や水、おいしい食、安全な土地はどうやって維持されているのか、子どもの頃から教育することで、生命産業である農林水産業に携わる者への敬意や感謝が芽生え、農林水産業を学ぶ者の増や就業につながると考える。さつまいも掘りなどの単なる体験では、農林水産業の重要性は伝わらない。

 

(8)「幸せ人口1000万」を目指すには、県をあげて美しい県土を作っていくことが重要と考えるが、海洋ごみをはじめとした清掃美化活動にどのように取り組むのか、生活環境文化部長に問う。

美しい県土は健やかな心を育み、訪れる人々を癒す。県では、7月~12月までの期間を山から川、海まで流域が一体となって取り組む「みんなできれいにせんまいけ大作戦」を展開しているが、道半ばであり、「世界で最も美しい湾クラブ」に恥じないような海岸清掃も含め、県民が日常的に清掃美化活動に取り組めるよう更なる対策が必要。

 

(9)公共交通について、これまでは利用・活性化促進策を中心に公共交通対策が進められてきたが、抜本的に交通事業者の経営統合まで踏み込んだ議論が必要なところまで来ている。持続可能な公共交通体系に向けて、富山県地域交通活性化推進会議とは別に県が主体となり新たなる場を設けて、早急に検討すべきと考えるが、知事の所見を問う。

少子高齢化により、人口減少が進む中で、現在の公共交通を確保・維持することは困難な状況にある。さらに、コロナ禍で利用者が大きく減少し、交通事業者が維持管理に支障をきたすような経営危機にある。これまでの補助金などでは到底維持できないところまで来ている。富山地方鉄道、万葉線、JR城端線、氷見線、高山本線、あいの風とやま鉄道などあるが、経営を一本化するぐらいの構想を立て公共交通を確保するときが来ている。人口減少の姿をコロナ禍で示したようなもの。中間報告においても、公共交通インフラの重要性と県の役割について触れられているが、喫緊の課題として、県が主体性をもって取り組むべき。

 

(10)成長戦略の実現に向けての、知事の意気込みを問う。

総合計画や各種計画が揃っている。施策が記載されているだけで県が良くならない。施策に魂を吹き込み、実現させることが何より重要である。実現させるには「真の幸せ」を中心にしたビジョン、わかりやすい言葉で、県民が共有できる成長戦略が大事。その際、豊かな自然と美しい農山村が我々の生命を育んでおり、その源泉である農林水産業の重要性を念頭に、成長戦略を描いてほしい。

 

(全文)

 

中川委員:  皆さん、おはようございます。今日はとてもすばらしい秋空でございまして、ここにいるのは何かもったいないぐらいと思いますけれども、60分間よろしくお願いしたいと思います。

新田知事には、間もなく1年を迎えようとしていますが、これまで本当に新型コロナ感染症対策、そしてまた災害といったことで、なかなか思うようなところへ仕事が行かないのか分かりませんけれども、大変な1年間を振り返られたんじゃないかと思いますが、これからも頑張っていただきたいと思います。
そして、また何よりも、県の職員の皆さん方も、トップが替わっていろんな思いがあると思いますが、やはりここは知事の顔を見て仕事するのではなくて、県民のほうへぜひ目を向けていただいて、県民の皆さん方が本当にチャレンジできるような、そういう環境をつくっていただくために、ぜひ心を入れ替えて頑張っていただきたいものだということを改めて思っているわけでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
まず、新型コロナウイルス感染症対策について伺いたいのでありますが、コロナが昨年の3月30日に本県で発生して以来、県民は不要不急の移動をしない、あるいはマスクを着用、消毒など、言われたことを本当に真面目に取り組んできたんだろうということを改めて思うわけであります。
私、データをちょっと作ってみましたが、昨年の8月15日から今年の8月15日までですが、どれぐらいの伸びがあったのかなということを見てみますと、感染者は全国では21.5倍ぐらいに広がっていたんですが、富山県は9.9倍ということで、これは島根県に次いで全国で46位ということで、大変頑張っているなということがこの数字を見ても分かります。そしてまた、昨年の8月15日に307人の発症者で20位であったものが、本年の8月には、今ほど申し上げましたように3,036人で39位、9月19日現在でございますが、4,741人で、これも実数でいきますと31位、10万人当たりも451人で、全国的に見ても34位で、本当に頑張ってきたということを思うわけであります。
この間、もちろん第一線で感染対策に取り組んでいただいている皆さん方には感謝を申し上げるわけでございますが、1波、2波、3波、4波、5波と同じことを繰り返して、本当に真面目に取り組んでいる者にすれば、もういたたまれない、自粛はもう限界というのが偽らざる気持ちではないのかと思うわけであります。
こんなことになっているのは、やはり最初から徹底した対策を取らないからではないのかなと思います。とにかく全てが協力要請、お願いの世界、今になってロックダウンしてもいいのではないかと言っているわけであります。初めに非常事態、緊急事態と言って、私権の制約があるけれども、補償するから全面移動するなと言うことができる国にしていかなければいけないんじゃないかということを改めて思うわけであります。交通事業者、飲食店などの民間企業など、全ての国民に対して本当にお願いしかできない、これが徹底できないことが水際体制にも影響を及ぼしているんだと思います。
さらに言えば、治療やワクチン接種をする医療機関においては、あくまでも、これも協力要請しかできないんです。挙げ句に、治療薬もワクチンも日本で生産ができず、別の国から購入しなければならない、大変情けない国になっているという現状であります。
ところで、本県の医療機関についてもお願いをしてきているわけでありますが、感染症対策指定病院についても、県内には病院が106ありますが、そのうち24の病院が対応しているわけであります。そしてまた、ワクチン接種においても、協力している病院、診療所の数は約半数以下ということでございます。
富山市の例でいきますと、病院が46箇所あります。診療所が347箇所あります。合計で393箇所あるんですが、公表されているのは110箇所未満ぐらいということでございますので、半分以下なんです。全県下では879箇所もあるにもかかわらず、こういう状態になっているということでございます。災害だと言いながら、果たして本当に総力を挙げて皆さんがやっているんだろうかということを考えてみなければいけないと思うわけであります。
最近になりまして、自民党の総裁選挙もやっていますが、医療提供体制の整備は喫緊の課題だと思うわけであります。改正感染症法によって従わない医療機関を公表すると言いましたが、罰則規定も実際には緩く、実効性が上がってないわけであります。
全国の確保病床数も目標の半分しかいってないわけであります。しかも、医療機関ごとに文書を取り交わしながら病床数を積み上げても、感染拡大時にはすぐ使えず、コロナ病床補助金を受け取りながら患者はあまり受け入れない、そういう病院もあると伺っているわけであります。こういう状況の中で、行政機関とすれば大変な思いでやっておられるわけでございまして、これからも苦労も多いと思いますが、やらなければいけません。
こうした状況がまだまだ続く、あるいは収束したとしても、次に新たな感染症が出た場合を考えると、本当に緊急時に備えた法整備が必要不可欠だということを強く思っているわけであります。今、自民党の総裁選挙もやっていますが、その中でもそのようなことが述べられているわけであります。早く、そういうことについては当然法整備をしていただきたいわけでありますが、何といっても全部が協力してできるような、ある程度は命令できるような、そういう法整備をぜひやってもらえないものかなということを改めて思います。
その前提となることが、緊急時には徹底した感染防止対策を行うためには、憲法に緊急事態条項を設けて、関連する法整備をスムーズに行うことが、我々の生命を守る安全保障上で最も重要と考えるのでありますが、知事の御所見を伺いたいと思います。

 

新田知事:  今ほどは新型コロナウイルス感染症の拡大に関して、憲法に緊急事態条項、これを新設することが必要なのではないかという御指摘だと思います。この議論が大いにあることは承知をしております。
私が知事に就任してからのこの10か月余りにおきましても、記録的なスピードで降り続きました大雪、40年ぶりに自衛隊の災害派遣を要請しました。また、地滑り、これは先般の豪雨でも再発したことであります。そして、高病原性鳥インフルエンザの発生などの危機管理事案に本当に次々に直面しました。また、現在、新型コロナのパンデミックは継続中であります。
こうした緊急時に国民の命、そして安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たすのか、憲法への位置づけを含めて議論することは大変重要なことだと考えています。
一方で、緊急事態条項のようなものの憲法への新設については、国民の権利、私権を制限することにもつながる可能性があることから、いろいろな議論があることも承知をしています。
引き続き、主権者たる国民の皆さんが幅広く参加して、丁寧かつ十分な議論を尽くし、多くの国民の皆さんが納得できる結論を得ることが極めて重要だとは思います。そういった意味では、今進行中の自民党さんの総裁選挙などは注目度も高く、格好の舞台だと思って、こういう場でも議論が深まることを期待しています。
なお、8月20日には国のまん延防止等重点措置が本県にも適用されたわけでありますが、県民の皆様に不要不急の外出の自粛、移動の自粛、あるいは営業時間の短縮など、従来よりも強い要請を行いましたが、多くの県民の皆様、そして事業者の皆様に御協力いただいた結果、感染者数などは減少傾向となり、当初の期限どおりの9月12日で解除することができました。
このように、現状では国などとも連携をし、現行法の枠内でしっかりと運用することで対応はできていると考えております。ただ、さらなる、パンデミックは人類との言わば闘いでありまして、我々が頑張れば感染症はまたそれの上を行く、このようなことも言われております。
また、感染症に限らず大災害のこと、あるいは他国からの何らかの攻撃など、いろんな事態が想定されます。このようなことを前提にして、こういう議論を進めていくことは大切だと、これは委員に同感するところでございます。

 

中川委員:  ありがとうございました。
ところで、成長戦略について、ようやく立ち上がって中間取りまとめができたわけでありますが、知事自らは自分らしく幸せに生きられることがやっぱり大事だろうということで、そういう富山県を実現したいということでかかっておられるわけであります。私は、大変すばらしいことであると思っているわけであります。
しかしながら、これまでは、どちらかというと客観的な見方ということで、GDPなど、いろんな数値目標で豊かさを表現されていたような時代が続いてきたわけでありますが、そのことに加えて、主観的な幸福指標を取り入れるべきだろうということについては同感するわけであります。しかしながら、そのことが本当にどういうことなのかということがなかなか伝わりにくい、これも現実だと思うわけであります。
そうした中で、2012年から、国連機関が経済指標だけでは本当の幸福度ははかれないといったことから、GDPや社会的支援あるいは健康寿命などに加えて、人生の自由度や他者への寛容さ、国への信頼度なども含めて世界の幸福度ランキングというものを発表しているわけであります。残念ながら、日本はこの10年余り、50位台を行ったり来たりということで、昨年は62位で今年は56位ということでございます。
その原因は何かというと、人生の自由度と他者への寛容さが百何十位ということで、大変悪いということが原因だろうと言われているわけであります。その結果から、私たちの幸福度を高めるためには、人生で何をするかを選択できる自由度と、相手を受け入れて人とのつながりをつくる、その寛容さというものが大事じゃないのかと、それをつくれば、かなり幸福度も上がるんじゃないかと結論づけておられるわけであります。
すなわち、1つは、富山県で考えると、自分でしたいことを自由に選べる社会、そしてまた自由に選択できる、実感が得られる、こういう社会をつくることが、富山県をつくることが、自分らしく幸せに生きられることにつながるんじゃないかと私は思うのであります。
そしてまた、他者への寛容さについては、この調査では寄附やボランティア活動が非常に大きな要素を示しているわけでございますが、日本では、そういったことについてはなかなかまだ根づいていないと思うわけであります。
そう考えますと、他者への寛容さとは人とのつながりであり、温かい人間関係をつくることではないのかなと思うわけであります。もっと言えば、自分と意見が違う人や立場が異なる人たちの意見を聞いて、どれだけ理解を示すかということが寛容さにつながるんだろうと私は思うわけであります。
そしてまた、何よりも日本では、松下幸之助さんも常に幸せを求めて活動された方でございます。松下幸之助の目指した幸せは、1つは自分が幸せだと感じること。人が幸せだと思うことではなくて、自分が本当に幸せだというバロメーターは何かということ、他人が言っていることをうのみにしているのではないかと、そのことを注意しろと言っています。そしてもう一つは、世間の人々もその幸せに賛意を表することだと、自分だけが幸せだということではなくて、周りの皆さん方も、おまえは幸せだなと言ってくれるような雰囲気を醸し出すこと。そして3つ目に、一番おっしゃっておられるのは、やはり社会に役立つことをすること、社会に役立っていることが自分たちで感じられる、そういうことが真の幸せじゃないかということをおっしゃっておられるわけであります。
ですから、先ほどの2つに付け加えるとすれば、やっぱり真の幸せを得るには、その2つのほかに、社会のために役に立っているんだ、役立つんだということを県民が共有できるような環境をつくることが大事じゃないかと、こういうことを真の幸せを得るために根底として掲げて説明すべきではないかと思うわけでありますが、そういう意味で、知事はいろいろおっしゃっているわけでございますが、ぜひその根底になるものは何かということを、知事の考えをお伺いしておきたいと思います。

 

新田知事:  成長戦略の中間とりまとめにおきまして、成長戦略の中心とした真の幸せ(ウエルビーイング)とは、経済的な豊かさに加えて身体的、精神的、また社会的に良好な状態にあるという一つの定義はあります。
私は、経済の重要性は言うまでもなく大切ですが、そして安定した雇用や所得はウエルビーイングを支える基盤の一つだとは思いますが、日本のように成熟した国家においては、経済規模の成長、あるいは物質的な豊かさだけでははかれない豊かさや幸せがあると考えております。GDPなど既存の客観的な指標では捉え切れない、一人一人のウエルビーイングの向上が重要だと考え、これに関連する多様な指標、例えば自分のやりたいことにチャレンジできているか、地域や人とのつながりがあるかなど、主観的な幸福度をはかる指標が重要であると思いますが、これはまさに大変なチャレンジングなテーマでもあるということは認識をしております。
このため、中川委員から御指摘いただきました、県民の幸福度に影響を与えるものとして御紹介がありました、自由に選択できる実感があるのか、人とのつながりがあるのか、社会の役に立てているのかということは、まさにウエルビーイングの向上に関連する有力な指標の候補だと考えております。
私は、40年前の大学の卒論がFree to choose、選択の自由について書いたことを今思い出しました。まさにそうかなと思います。それから、子供の頃、ボーイスカウトでよく町で募金に立っておりました。日本人というのはシャイなので、本当にいいことをするのに、募金をするのに、大変に照れくさそうにしながらされる方々の姿を見て、もっと堂々と入れていただければいいのにななんてことも思ったことも思い出しました。
それから、これは先般、一般質問のときも申し上げましたが、ボッチャの藤井選手と話したときに、「私は幸せ者だ、私は幸せ者だ」と何度も何度も言われたことが本当に印象に残って、これも大きなヒントをいただいたと思っています。そのようなことですね。
今後、年齢や性別を問わず、誰もが夢や目的を持って生き生きと活躍し、そして新しいことにチャレンジできるかどうか、県民一人一人のウエルビーイングの向上を目指して、成長戦略の取りまとめに当たっていきたいと考えております。

 

中川委員:  ありがとうございました。そういうことで、分かりやすく、心をつかむような、そういう表現で真の幸せを説明していただくようなことをやっていただきたいと思いますので、お願いしたいと思います。
そしてまた、それを具体化していくためには、原因はどこにあるのかということは、私はいろんなところに要素があるんだろうと思いますが、今から幾つか例を挙げて、こういうところだけは大事にしてほしいなということについて質問させていただきたいと思います。
まず初めに、人生の選択の自由度ということで、中学校から高校へ行くときに第一の人生の選択が待ち受けているのではないのかなということを私は思うわけであります。特に、中学校から高校へ進学するときに、どういうところで学べばいいのか、将来自分がなりたいものはどうなのかということについて考えてみたいと思うわけであります。
委員長、資料を配ってよろしいですか。

 

渡辺委員長:  許可いたします。

 

中川委員:  今資料をお配りいたしますが、御覧になっていただきたいのですが、これは民間の会社の第一生命とソニー生命保険から今年出したものでありまして、大人になったらなりたいもの、中高生が思い描く将来についての意識調査、それともう一つは、本県高校の職業科と専門学校のカリキュラムがどんなものがあるかということを私なりに並べてみたものであります。
これを見て分かるのは、1ページ目に書いてあるのは第一生命のものですが、小学校のとき、中学校のとき、高校生のとき、男子と女子に分けてみまして、そして親が男子に何にさせたいかということがここに書いてあります。親が女子に就かせたい職業、これはソニーと第一生命があるので、また見比べてもらえればいいのかなと。そしてまた、色がついているのは、これは親が就いてもらいたいと思っているものをカラーで色を塗ったものでございます。
見て分かるのは、子供、生徒がしたいこと、親がさせたいことに大きなギャップがあるなということが改めて分かります。そしてまた、産業界が必要とする人材と生徒が希望する職業には、大きな隔たりがあるのではないのかなと。現在の職業科目について言えば、ほとんど親が就いてほしい職以外のものへのアプローチだとか、手伝うとか、かなえる足がかりになるものが、ほとんど今の県立高校にはないんじゃないかということを思うわけであります。
そして、これまでの偏差値で分けることが、いわゆる希望しない学科に行くことになるわけでありますが、それが正しいことなのか、そしてまた、職業科に学ぶ子供たちにとって、その出口として就職に結びついていない、こういう実態もあるわけであります。
そしてまた、本県の高校教育というのは普通科が優先されて、職業教育のジャンルが非常に狭いために、将来の仕事の選択肢が狭められているのではないかと思うわけであります。
そう考えてみると、工業系でも、本当にしたいと思う人材を育てるのであれば、高等専門学校のように5年制にして大学への道をつくればいいのではないか、あるいは、県立では取り組めない学科については私学に担ってもらうなど、そしてまた、普通科に専門学校との連携によって、福祉や看護、保育、理美容、建設専門業のコースをつくっていくという方法は考えることができないのかと、こういうことが職業教育の深化、すなわち学んだことが生かされていくということにつながっていくんじゃないかと思うんです。
そんなことを考えたときに、中高生の気持ちが教育にどのように反映されているのか、時代の変化とともに魅力ある教育課程をつくり、多くの選択肢を示すことが、人生の選択の自由度の高まりにつながっていくのではないかと思うわけであります。
そこで、人生の選択の自由度を高めるためには、成績、偏差値偏重、重視を改めて、選択肢の多い魅力のある職業教育課程がある学校づくりが重要と思われます。令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会においても、私立とのすみ分けも含めて検討を進めるべきと考えますが、教育長の所見をお伺いしたいと思います。

 

荻布教育長:  高校進学に関しましては、近年、中学校において、成績だけではなく、高校卒業後の進路や自分の特技、特性を踏まえて進路を選択するように指導がなされております。
こうした中、高校におきましては、職業科において大学進学を希望する生徒や、普通科において専門学校への進学や就職を希望する生徒など、進路選択は多様化をしてきております。進学、就職、こうした希望のいかんにかかわらず、全ての生徒が目標を持って自らの人生を主体的に切り開いていくことができるよう、全ての高校において職業教育を充実させることが重要だと考えております。
各高校においては、これまでも大学や専門学校、企業等から講師を招いての進路セミナーや出前講座を実施しておりますほか、17歳の挑戦などの体験活動を大学や専門学校、企業などと連携して実施をしております。また、一部の高校では、保育や芸術など、大学や専門学校で受講した科目を当該高校の単位として認定するなどしております。
今後、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会では、職業科や普通科などの在り方について議論を進めてまいりますが、それぞれの学科での職業教育の在り方についても協議をしてまいります。この中で、建学の精神の下、特色のある教育を実践している私立高校と、教育の機会均等や教育水準の維持向上に寄与している県立高校、双方の立場を尊重し、お互いに魅力化を図るための協議も行いたいと考えております。
こうした議論を踏まえ、生徒の実態や、ニーズ、希望に応じた魅力ある学校づくりについて十分検討し、学校への支援もしてまいりたいと考えております。

 

中川委員:  さっきのこの表を見せたわけでありますが、小学校、中学校、高校と行くに従って、ソニーの生命保険のを見れば分かるように、高校生ぐらいになってくると、やっぱり親の意見に従わなければいけないなと、学校の教育課程に従わなければいけないなというようになっていくのかなと思うんです。そういう重苦しい空気といいましょうか、息苦しさというのは感じているのかなと私なりに思うわけであります。
そうした中で、いろんな職業がありますけれども、選ばせない、そういう空気が、家庭や学校、あるいは地域や県全体に漂っているのではないのかと思うわけであります。あの仕事はきついとか汚いとか、大変だからやめとかれと、だからとにかく取りあえず普通科に行って、国公立大学に行って、公務員になって、先生になって、大企業に入って、富山でいえば北陸電力や北陸銀行に入って、それ以外は駄目だというような雰囲気をつくっているのではないかと思うんです。
ですから、そういう雰囲気の中では、県外へ行ってまた富山に戻ってくるということはしない、嫌な雰囲気があってなかなか戻ってこないのではないかと。そういうところには、まさしく自由度と他者への寛容さが欠けているんじゃないかということを私なりに思うわけであります。大変でも乗り切っていくのは本人ですから、大いにチャレンジ、苦労させればいいと、それが幸せにつながっていくんだという土壌をつくっていく必要があるのではないかと思うわけであります。
そこで、働くということに関しては、これは商工労働部長の責任もあるのかどうか分かりませんが、いろいろな仕事があるわけですよ。そして、現在は人手不足で、大変職業分野も偏っているわけであります。我々が生きていく上では、どの分野もなくてはならない仕事なんだと、欠けてはいけないんだということを紹介していくということも行政の大きな役割ではないのかと私は思います。
教育委員会では14歳の挑戦など、いろいろなことをやっているわけでありますが、子供たち、中学生、高校生の将来なりたい職業観からいくと、全くと言っていいぐらい、そういうところには向かっていないんです。それが高校教育の職業課程の中に入っている、ものづくりの言葉さえ手を挙げてこない、これはどういうことなのかということを真剣に考えなければいけないと思います。
そんなことで、どのような仕事も社会に必要とされているものであって、働くこと、職務を全うすること、労働して稼ぐことは、ひとしく尊いことであるということ、そして、職業には人の仕事の内容によっていいとか悪いとか、そしてまた、それを差別すべきではないと、いわゆる職業の貴賎を取り除いていくということが大事だと思います。
ぜひ子供たちに、あらゆる仕事が社会のために役立っていることを認識してもらい、社会全体でその認識を共有することで、いろんな職業を選びやすい環境をつくっていくことが大事だと思います。そのような機運をどうやって醸成していくか、商工労働部長にお伺いしたいと思います。

 

布野商工労働部長:  委員からお話がありましたように、子供たちやその親をはじめ社会全体に、あらゆる仕事が社会のために役立っていることを認識していただくことで、職業の選択肢を広げ、自由に職業を選びやすい環境をつくることが重要であります。
このため、子供のみならず、親、大人、地域社会への意識啓発も含め、まず、県教育委員会では、小学校から高校まで継続的にキャリア教育に取り組まれており、企業や地域の皆様の御協力をいただいて、小学校では職業調べ、中学校では14歳の挑戦、高校では17歳の挑戦などの体験活動を実施しております。
また、県では、新世紀産業機構や機電工業会など、産学官が連携いたしまして、小学生の親子を対象とした仕事体験「ジョブキッズとやま」や、中高生を対象といたしましたものづくり産業の企業見学会等も実施しております。
さらに、人手不足分野にはなりますけれども、福祉分野では、夏休み期間の小学生親子向けバスツアーや地域住民の皆様への介護の学び説明会を、また建設分野では、女子大学生と女性技術者による現場見学会、座談会を実施しております。
このように、年齢等に応じてきめ細かく各種事業に取り組んでおりますが、依然として、福祉、建設、運輸などの人手不足業種の有効求人倍率は高倍率で推移しております。
こうしたことを踏まえ、関係部局や関係団体が連携して、県としては初めての試みとなりますけれども、これらの人手不足業種を対象とした合同企業説明会を開催する費用を9月補正予算案に計上させていただいております。人手不足業種の人材確保とともに、こうした機会も活用いたしまして、やりがい、あるいは社会に役立てるということの観点から、若者等の職業の選択肢を広げていきたいと考えております。
今後とも、関係機関、関係団体などと連携し、学校、家庭、地域、社会全体で、あらゆる仕事が社会のために役立っていること、そして、様々な職業を選びやすい環境づくりと機運の醸成に取り組んでまいります。

 

中川委員:  出口というか、結果を見て、子供たちがどういうことになっているかということを、教育委員会もそうですが、どういうことを望んでいるかということを調べてもらってやっていくと。ただ言いっ放しになっているのではないかというのは、結果を見れば明らかだと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、4番目を飛ばしまして、知事は中間とりまとめのメッセージをおっしゃっているわけでありますが、その中で、富山には豊かな自然や水、おいしい食、安全な都市という幸せの基盤がそろっていると、これは世界中のどこを見ても存在しない恵まれた環境であると。幸せの基盤はとてもいい言葉だと私は思います。だけど、この幸せの基盤というのはどうやって受け継がれてきて今日あるのかということも振り返りながら、それを持続させていくということも非常に大事だろうと私は思うわけであります。
今、国ではよく、県でもそうでありますが、農林水産業、特に農は国の基だということをいつも簡単に言われます。しかし、実際にそこに投じてきたお金というのは、国家予算、県の予算にしても、生産額が小さいから、それに見合うような投資ができないということで、国でも2%、県でも6%ぐらいに終わっていると。
これでは、私たちが生きていくための生命産業と言われる、そしてまた、それが我々の命を育んでいる、そういう基盤を果たしてこれから守ることができるかということを非常に危惧しているわけであります。特に、農林水産業のなりわいがあって初めて生産基盤──今、知事がおっしゃっているその基盤が維持されているわけであります。ですから、こういうことをぜひ現状認識した上で、さらにそれを持続させていくということは大変大事なことであると思います。
そこで、知事にお伺いしたいのでありますが、これからの幸せの基盤を維持していくためには、現在の富山県はどうであって、どのようなスタンスで維持していかなければいけないのかということについて、知事のお考えをお伺いしておきたいと思います。

 

新田知事:  私から県民の皆さんに対して、成長戦略のビジョンとして「幸せ人口1000万~ウェビーイング先進地域、富山~」というメッセージを発信させていただいたところでございます。それに付随しての文章についても言及をいただきました。

私は、本県には豊かで美しい自然、そして多様な歴史、文化、食など、魅力あふれる地域資源とともに、その恵まれた環境を先人が守ってくださり、活用しながら育ててきた農林水産業、さらに多様な産業集積があり、これらを含めて富山には幸せの基盤がそろっている、そのように申し上げたところです。
その中で、農林水産業は、食料を安定的に供給するというのが第一義的なお役目だと思いますが、それだけではなくて、国土の保全、それから水源の涵養など多面的な機能を有しています。豊かな農村風景や森林環境なども、県民が幸せであり続けるための欠かせない幸せの基盤と理解をしております。
しかし、農林水産業に従事する人材の減少、あるいは高齢化が進行する中、新規就業者の確保や経営継承が課題であります。
農業について言うと、個人の経営体における基幹的農業従事者数は、本当に激しく減っております。平成17年には1万7,467名おられたのですが、令和2年では、1万1,258名となっています。ただ一方で、農業法人が増えて、そういう経営体で就農される方はもちろん増えているわけであります。
このように、時代に応じて、その構成の中身は変わってくると思いますが、一定の人数をしっかり農業あるいは林業、水産業に従事していただくための工夫、また環境づくりは必要だと考えております。
このために、スマート農林水産業の導入により生産性を向上させる、若者や女性などへの農林水産業の魅力発信、働きやすい環境づくりなど、いわゆる稼げる農林水産業、そして持続可能な農山漁村を実現するための具体的な施策を展開していくこととしています。
さらには、幸せの基盤である農林水産業の振興と併せて、美しい自然景観や食文化など地域資源を活用し、新たな事業を創出していく、そして、これらに関わる多くの関係人口を創出していくことにより、地域全体の活性化を図り、持続可能な地域社会を実現していきたいと考えております。
このような考え方の一つの表れとしまして、成長戦略の中間とりまとめをこれから15市町村で説明をさせていただく、そんな場をビジョンセッションと称して進めてまいりますが、その第1回目は立山町で行うこととしております。県内は、ほかにももちろん原風景、美しい田園風景のある市町村がありますが、成長戦略会議の委員でもある前田大介委員が立山町で経営をしておられるヘルジアン・ウッド、まさにこれは田園の中での新たな挑戦だと思います。そこに成長戦略のテーマでもあります、県外からもいろんな人がそこに来てくださっています。そして、農業体験もしていただいている、そのような場、ここで第1回目のビジョンセッションを行うことにしております。

 

中川委員:  そういうことで、1つ具体的な例を挙げますと、今ほどもお話があったように、農業者も随分変わってまいりまして、農家に住んでおられる皆さん方が農業をやらなという状況になってきているわけであります。
そうした中で、私たちの県土というのは、やっぱり富山県でいえば水田農業をやりますから、農業用排水路が、毛細血管が張り巡らされたようにあるわけであります。それが一たび詰まると、そこに洪水が発生したり、そしてまた大災害を招くようなことになりかねないわけであります。
そう考えたときに、やっぱり県土をつくっているのは、農業用排水路が張り巡らされているところがしっかりと管理されているからこそ、うまくいっているわけであります。県土というのは健全であるべきでありまして、人間の体でいえば、脳梗塞や動脈瘤が詰まるようなことになると死んでしまうわけでありますから、そういうことにならないように管理をしていくことが大事だと。
しかしながら、今申し上げましたように、農村を取り巻く現状は、そういう人たちがいなくなってきているわけです。そうなりますと、誰かがやっていかなければいけないというところに目を向けていただいて、そこに関係人口を増やすと。やはり県土を保全する、美しい農山村を守るためには、そういう基盤が大事だということをどんどんPRしていただいて、そこに来ていただいて一緒に働いて、そして草刈りや、土砂江ざらいをすると。そういった作業を、農村の集落の関係人口を増やしていくという仕組みをぜひつくってもらうということが大事でないのかなと思うんです。そうすることによって、県外の皆さんや、あるいは自分のふるさとで住んだことを思い出して来てくれる人、そしてまた町の中に住んでくれる人たちの関係人口をどんどん増やしていくと、そうすることによって、幸せの基盤を維持することにつながっていくのではないかと思うわけでございますが、そのことについて農林水産部長にお伺いしたいと思います。

 

堀口農林水産部長:  農村では、人口減少、高齢化によりまして、農業の担い手が減少し、地域活力の低下が懸念されております。
このため県では、都市住民を対象に、田舎暮らしを体験するとやま帰農塾を平成17年度から実施しておりまして、昨年度まで約1,500名の方の受講があったほか、畦畔の草刈りや江ざらい、イノシシの侵入防止柵設置などのボランティア活動に平成26年度から支援をしておりまして、昨年度まで約600名余りの方の参加がございました。
また、首都圏の大学生による中山間地域での課題解決に向けたフィールドワークの実施など、多様な形で農村との関わりを深める機会を提供しておりまして、農村の関係人口の創出に努めてきたところであります。
さらに、県庁にワンストップ型の相談窓口である中山間地域サポートセンターを令和元年度に設置いたしまして、各農林振興センターのパートナーシップ推進デスクと連携して、農村と都市住民とのマッチングを図る体制としております。
加えまして、関係人口の増加には、受入れ側に核となる人材も重要でございます。地域活動組織や地域おこし協力隊などを対象とした人材育成研修、平成30年度から昨年度までの3年間で、延べ約600名の方に参加いただいておりまして、こうした人材とも密接に連携しながら進めているところであります。
引き続き、農業農村への関心の一層の喚起や、農村に関わることができる機会の提供、地域づくり人材の育成などによりまして、農村の関係人口の創出・拡大にしっかり取り組んでまいります。

 

中川委員:  こういうものは子供たちから農林水産業に親しむという環境をつくっていかなければいけないと思います。県内の小学校では、芋掘りや、サツマイモを植えたり、いろいろなことをやっていますけれども、そういうことではなくて、やはり豊かな自然や水、そのような農山村がどうやって維持されてきているのか、そしてまた、私たちの生命を育む産業で、そこに携わる皆さん方に対して敬意と感謝が芽生えるような、そういうものを含めて、将来の就業に結びつくような教育が必要だと思うわけであります。
そこで、幸せの基盤の維持には、農林水産教育を充実させて担い手の確保につなげるということまで含めて大変重要だと考えますが、今後の農林水産教育にどのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いしたいと思います。

 

荻布教育長:  豊かな自然や水などの幸せの基盤の維持には、委員御指摘のとおり、子供の頃から農林水産業の重要性を実感できるよう、農林水産教育を充実することは大変重要だと考えております。
このため学校教育では、発達段階に応じて、幼稚園や小学校の低学年では野菜づくりや稚魚の放流などの活動を行って、成長の喜びや命の貴さを味わうということから始め、小学校中学年以降では、各教科の学習において、例えば社会の授業では農林水産業が人々の生活を支えていることを学び、また、道徳の授業では働く方への感謝の心などを育んでおります。これらの学習を踏まえ、中学校の14歳の挑戦では、農林水産業も含めた勤労体験を通して、働くことの意義を理解し、進路について考える機会としております。
こうした教育活動を通じて様々な職業への関心を高めるとともに、農林水産業が社会の中で果たす役割を理解するなど、自然や食というものを大切にする心も育んでいるところでございます。
高校の農業科、水産科では、就業体験等による知識や技術の習得に加え、豊作等を祈念する収穫祭や、海へ養分を供給する森林を育てるための植林活動等により、地域独自の伝統文化の継承や環境の持続性の意義などについても学ばせることで、地域を担う職業人として自覚や誇りを育むよう工夫をしております。さらに近年は、GPSトラクター等のスマート機器を導入し、各産業の先端技術を取り扱い、生徒の就業意欲の喚起につなげているところでございます。
今後も、児童生徒の農林水産業の重要性への理解や、携わる方への敬意や感謝の気持ちを育むとともに、高校の専門学科の充実等により、地域の農林水産業を支える人材の育成に努めてまいります。

 

中川委員:  いろいろな取組があるんですが、結果とすれば、なかなかうまくいっていないのではないかと私は思っています。そのことについては、またいろいろと議論させてもらいたいと思います。
次に、幸せの基盤ということももちろん大事ですが、私も、どこでも訪れると、ごみだらけの町というのは、もう二度と行きたくないと思うわけであります。昔、私はナポリへ行く機会があったのですが、そこへ行ったら、レジ袋にごみを入れたものが道路にたくさん捨ててあるし、港へ行っても汚いわけであります。全く幻滅してしまった。そういう地域にどういう人が住んでいるのかと疑いたくなるような感じもいたします。私たちが幸せになるためには、自分たちだけが、家の中だけがきれいではなくて、周りの人も、周りが使っている、そういうところもきれいでなくてはいけないのではないかということを常に思っているわけであります。
富山県も、世界で最も美しい湾クラブに加盟したということで、名前はいいのですが、実際、一たびそこに降りて、たたずんでみて、本当にそういうことがきれいになっているのかなと思うと、なかなかそうはなっていません。今、富山県でも、「みんなできれいにせんまいけ大作戦」など、いろいろなことをやっておられますが、これもやっぱりピンポイントで、毎日、日常的にやっているような活動につながっていないような気がしてなりません。
ですから、ここは、世界で最も美しい湾クラブや、あるいは富山県に住んでいる人たちが、どんな幸せ観を持って住むかということのバロメーターにもなると思うので、県民を挙げた日常的な清掃活動が大事だと思うのであります。今、海洋ごみも大変話題になっています。午後からも何か質問があるようなので詳しくは申し上げませんが、清掃美化活動にどのように取り組んでいくかということを生活環境文化部長にお伺いしたいと思います。

 

出来田生活環境文化部長:  世界で最も美しい湾クラブに加盟している富山湾や、豊かで清らかな水に恵まれた県土を将来にわたって守っていくためには、県民一人一人の行動が大切であり、県内全域で清掃美化活動が実施されるとともに、ごみをポイ捨てしない、流さないといった意識を育むことが重要であると考えております。
このため県では、県土美化推進県民会議を中心として、県内全市町村と連携して、県民総ぐるみの県土美化推進運動を年間を通じて展開しております。また、今、委員からお話もありました、みんなできれいにせんまいけ大作戦と銘打った清掃活動キャンペーンについては平成22年度から展開しており、これらの取組の結果、コロナ前ではございますが、例年、延べ40万人以上の県民の皆様に清掃美化活動に御参加いただいているところでございます。
このほかにも、近年では、本県の海岸漂着物の約8割が県内由来とされていることなどから、河川上流の親子等を対象とした海岸清掃体験バスツアーや、それから若者への意識啓発を図るため、ごみ拾いにスポーツの要素を加味したスポーツごみ拾いなど、これまで海岸清掃美化活動にあまり参加していない地域や世代の人たちを対象に、清掃美化活動に取り組むきっかけづくりを進めているところでございます。
委員御指摘のとおり、美しい県土づくりを進めるためには、清掃活動イベントをはじめ、市町村と連携した清掃美化への意識啓発の取組を積極的に進めていくことが必要だと考えております。例えば、海洋ごみの現状、それからごみ処理の流れや、ごみ削減に向けた一人一人ができる取組などについて、今後SNSを活用した情報発信、それからイベント開催時の啓発など、清掃活動と意識啓発を組み合わせた効果的な取組を工夫して、県民の日常的な清掃美化活動につながるように努めてまいりたいと思っております。

 

中川委員:  とにかく県挙げてやるということは分かっているんですが、ピンポイントでやるんじゃなくて、日常的にやれるような雰囲気づくりというのはまさしく大事なときだと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
続きまして、私たちの足の確保は公共交通だと思います。今、富山県の地域交通ビジョンなどをつくって、利用の促進や活用をいろいろとやってきているわけでありますが、残念なことに、コロナ禍で利用者がかなり減少してしまいまして、少子高齢化あるいは人口減少を見ながらその体制をとやっていたわけでありますが、まさしく将来の人口減少が今来てしまったといった状況になっているのではないのかなと思います。
そうしたことを考えますと、この前も富山地方鉄道や立山黒部貫光などが収支報告をなさっているように、創業以来の大赤字だということになっているわけであります。よく考えてみますと、今の事業者の経営そのものが、維持修繕をやりながら、できる状態になってない、そういう困難な状況になってきていると理解しているわけであります。
今、富山県でも、先ほども言いましたように、富山県の地域交通ビジョン──これは平成27年だったと思いますが、つくってやっているのですが、今それを見直すことはもちろん必要だと私は思います。しかしながら、今現在ある交通事業者が、経営が困難になってしまって立ち行かなくなってしまったら、これは元も子もないわけであります。そのことを肝に銘じてといいますか、富山県も株主である、そしてまた公共交通ということでありますから、やはり行政も責任を持って、経営のところまで踏み込んで検討していくべきではないのかなというのが私の偽らざる気持ちであります。
今から10年ぐらい前でしょうか、並行在来線の問題があって、JR等、あるいは枝線をどうするかという議論もある中で、私は将来に向けて、富山県内にある鉄道を一本化すべきじゃないかということも言っていたことがあるのですが、今も変わりません。こういう現状の中で、県民の足をどうやって確保していくかというのは、経営体制も踏まえて考えていかなければいけない大きな時期に来ているのではないかと思います。
これまでも、富山県地域交通活性化推進会議などで、ビジョンを中心にしていろいろと検討されてきていますが、私はその域だけでは議論できないのではないかと思います。ぜひ経営体制も含めてこれからの経営をどうあるべきかと、将来は一本化するんだというぐらいの、公共交通を確保していくという構想ぐらい立てて、踏み込んだ議論をするような場を設けて、早急に検討すべきと考えるのでありますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。

 

新田知事:  そもそも少子化する社会、また高齢化する社会、そして人口減少する社会において、公共交通サービスの確保というのは大きな課題だと考えております。そこに、さらにこのようなコロナ禍でありますから、県内の公共交通事業者さんは大変な影響を受けているわけです。今後も、県民生活を支える公共交通サービスを維持確保していくためには、こうした社会の変化に対応していかなければならないということは、委員と同じ理解でございます。
本県では、地域交通の目指すべき目標、また基本的な方向性を示す富山県地域交通ビジョンを平成27年に策定しています。6年前でございますが、このようなパンデミック、あるいはデジタルトランスフォーメーション、あるいはカーボンニュートラル、このような視点はあまりなかったのではないかと考えております。ですから、できるだけ早期に、富山県地域交通活性化推進会議がこのビジョンの母体ですが、これを開催して、市町村、交通事業者、利用者代表、学識経験者の意見をよく聞いた上で、このビジョンの改定に向けた検討を行わなければならないと考えております。
また、先ほど来も話題の県の成長戦略会議の中間報告でも、県内公共交通の課題解決は、自治体をまたがる交通インフラの問題であるから、県において主体的に関わり、リーダーシップを持って関与していかなければならないということも書かれています。これを踏まえて、関係者の意見もよく聞いた上で、委員御指摘の経営統合も含めた議論の場が必要かどうか、これを早急に検討し、判断をしたいと思います。
いずれにしましても、委員がおっしゃったように、まさに今、コロナによる利用者の減少ということは、人口減少社会の一歩先のシミュレーションのようなことに我々は直面していると考えております。コロナの副産物といいますか、コロナによって背中を押されたことがいろいろありますが、この件についてもコロナが背中を押しているのではないか緊迫感を持って受け止めているところでございます。
そのような中で、昨年11月に改正、施行されました地域公共交通活性化再生法というものがありますが、これもよく勉強していきたいと考えております。場合によっては、推進会議からさらに進化した形での話合いの場も必要になるかもしれません。

 

中川委員:  とにかく交通事業者だけのものではなくて、県民の足を確保していくということの視点において、行政が積極的に取り組んでいくということを大いにやっていかなければいけない課題だと思いますので、知事によろしくお願い申し上げたいと思います。
そしてまた、最後になりますが、これまでいろんなことを言いましたが、成長戦略の実現に向けて、どうしたらいいかなということを県民に分かりやすく伝えていくということが大事だということを常に思っているわけであります。
とにかく、総合計画や各種計画が県庁にはたくさんあります。本当にプランプランというぐらいにぶら下がっているんじゃないかと思うぐらいにたくさんあります。その計画を県の職員の皆さん方が、本当に真面目に、真剣につくってきているわけであります。その計画をつくったことによって、それで富山県が全部よくなってしまったんじゃないかと思うぐらいに立派な計画だと私は思います。
だけど、一番問題なのは、どれを優先させて、どう実現していくかというところに力を注ぐべきなのでありますが、そのあたりにどうも注力できないというのが現状ではないかなと思います。そういう意味から考えると、そこに並べてあることを、時代に応じて、そこに魂を入れて、そして実現させていくというところに知事の役割があると私は思います。
その計画を見直すべきだという意見もありますが、私はそこに精力を費やすくらいなら、今、知事が掲げておられる成長戦略の真の幸せを目指して、それを実現させていくんだということを、県民に明確にして、分かりやすい言葉で説明をして、それを実現につなげていくということこそ、私は一番問われているんだろうと思うわけであります。
先ほども一番冒頭に申し上げましたが、県民が分かりやすい言葉でそれを受け止めて、そして県民それぞれの皆さん方がチャレンジしていくという環境をつくっていかなければ、知事が代わったって、あるいは県の職員が全部やってくれるわけではないので、県民そのものが、県民一人一人がチャレンジしていく雰囲気が一番大事だと思いますので、ぜひその観点から知事の意気込みも伺いたいわけであります。その際、私も先ほど来から言いましたように、幸せの基盤というのはぜひ取り込んでいただいて、そこに人間の生命が育んできた歴史、そしてまた、これからもそういうところに頼りながら、育まれながら富山県民が生きていく、その源泉を忘れないような成長戦略にしていただきたいと思うわけであります。そんなことも含めて、知事の意気込みをお伺いしたいと思います。

 

新田知事:  総合計画が今進行中であります。これは毎年の事業計画、また予算策定の基本となるもので、粛々と実行を、こつこつとしているところでありますが、数年前に策定されたものでありますので、やはりパンデミックということや、あるいはDXということ、そういった視点はあまりないのが現状であります。
ですから、先般、一般質問でもお答えしましたが、それを補完するものとして、時代に合わせて、また早急に取り組まなきゃならない部分、これを今取りまとめ中の成長戦略で補完をしていきたいと考えています。
いずれにしましても、それを実行する上でも、委員御指摘のように、しっかりとこれに魂を吹き込んでやっていく、そして、本席のような県議会、また市町村の皆さん、そして各種団体の皆さん、そして県民の皆さんお一人お一人と共に考え、そして共に実行していく、このようなプロセスが必要だと考えております。
この実現のために、幸せ人口1,000万人というメッセージをまずは発信しました。そして、年内をめどに、先ほど立山町からと申し上げましたが、15市町村を回り、市町村長さん、あるいは県民の皆さんに成長戦略の中間とりまとめを説明し、そして、説明をするだけではなくて、共に考えて、グループセッションなどを通じて成長戦略、中間取りまとめをさらに肉づけをしていく、地に足のついたものにしていく、そのようなことを考えているところでございます。
昨年、私は10か月余り、県内15市町村を回りまして、約250回ほどミニ集会で県民の皆さんの様々な御意見を伺い、その結果、8つの重点政策、そして88の具体策というものを取りまとめて皆さんに提示をさせていただいたところでございます。今、それに伴いまして、県庁として、これらの実現に向けても進めているところでありますが、また今回、成長戦略会議のビジョンセッションで、昨年、私が県民の皆さんから得たものをお返しする、そんな場とも考えております。魂を吹き込んでいきたいと考えております。
ちょうど昨日、地元の新聞に投書がありまして、ビジョンセッション、ブランディング、ウエルビーイング、新田知事は横文字ばっかりだという大変に厳しい御指摘の投書でありました。78歳の女性の方でした。私はこれを読んで大変うれしく思いました。78歳の方がウエルビーイング、ビジョンセッション、ブランディングなどをちゃんと読んでいただいているということ、その表れだからそうやって御批判も出るんだと思うんですね。これはこれで大変にうれしく思いました。こうやって少しずつ県民の皆様に浸透させていく、その上でも、このビジョンセッションは大切なことだと考えております。
また、来月には戦略の6つの柱がありますが、これに基づいてワーキンググループをそれぞれ設置します。今、最後の人選などを行っているところでございます。そして、このワーキンググループでは、地域の基幹産業である、先ほど来御指摘の農林水産業をはじめDXの推進、文化的に豊かで人材を引きつける魅力的な田園地域の形成などによって、新しい価値を創出する持続可能な地域づくり、そして、外貨を稼げる自立した経済圏の創出などについても検討していければと考えております。年度末に県議会で御審議いただく令和4年度の当初予算、ここに集約されていくと思いますが、これに向けてアクションプランなども取りまとめていきたいと考えております。
このようなことを着実に積み重ねていき、そして予算の裏づけもつけて実行につなげることにより、ウエルビーイング先進地域富山を実現してまいりたいと考えております。

令和3年2月定例会にて質問に立つ! (令和3年3月2日)

2021年09月29日 更新

令和3年3月2日、2月定例会において、自民党新令和会を代表して11月議会に続いて質問しました。
新田県政はじめての当初予算であり、予算編成方針、コロナ対策などについて質しました。
 

(質問要旨)
 

問1 「ワンチームとやま」の行財政運営と令和3年度当初予算編成について
 

(1)新田県政のスタートとなる令和3年度当初予算案は、多くの県民が大変期待していると考えるが、どのような思いで予算案を編成したのか、また、その特徴は何か。
民間企業の当たり前を取り入れ、県民一人一人が夢にチャレンジできる、県民主役のワクワクする富山県を「ワンチームとやま」で実現するという思いの詰まった予算であり、自民党新令和会の要望を受け止めたものと評価する。
 
(2)予算や計画を実現するためには、人と組織体制が重要であるが、令和3年度の組織再編の狙いは何か。
副知事を2人体制にするとともに、危機管理体制の要となる危機管理局の新設、最優先課題解決のための知事政策局や市町村との連携強化を図り本県の活力を創造するための地方創生局への改組など、政策の実行・実現度の高い組織に再編された。
 
(3)県庁のデジタル化、DXの推進に向け、外部人材の活用や職員の意識改革、スキル向上対策などをどのような体制で進めていくのか。
県全体として、部局横断的に共通化すべきサービスや関連サービスを提供できるようにすることが必要であり、まずは、行政内部に専門家を取り込み、職員の能力を高めることから始めるべき。
 
(4)データ基盤の構築を含め、今後どのようなスケジュールで県庁のデジタル化、更には、地域行政を最前線で担う市町村との連携や民間のデジタル化の支援に取り組んでいくのか。
デジタル化にはデータ基盤の構築が不可欠であり、デジタルの専門家を配属するとともに、データを活用し判断のスピードアップを図り、その手法等を市町村はもとより県民や民間にも開示して県全体として経済の活性化を図ることが重要である。
 
(5)「北陸の十字路」構想を実現していくためには、知事をはじめとした北陸3県、更には隣県との交流が要と考えるが、構想を前進させるため、どのように取り組んでいくのか。
観光・モノづくり・教育など「ヒト・モノ・カネ」あらゆる分野で北陸3県が交流して核を作っていくことが重要であり、石川県知事との懇談をきっかけに流れをつくり、足掛かりとして前進させることを期待する。
 
 
問2 新型コロナウイルス感染症対策について
 
(1)新型コロナ感染症の患者を受入れる医療機関に対する設備整備や入院病床確保のための支援、軽症者等の宿泊施設の確保、医療機関ごとの医療用備品の配備状況の把握、さらに感染症に対応できる医師、看護師など医療従事者の確保体制などの感染症対策にどのように取り組んでいくのか。
県内では第3波も小康状態となり、ワクチン接種に向けた準備を進められているが、変異ウイルスや高齢者等の感染など予断を許さず、万全の備えが必要である。
 
(2)看護職員の確保対策について
ア 看護職員の職場定着促進、復職支援、領域・地域別偏在の是正などの取組みを積極的に進める必要があるがどのように取り組んでいくのか。
医療従事者の緊急時の協力体制の構築には、平常時の安定的な人材確保が重要であるが、医療現場では不足感がある。

イ 看護職を含め医療福祉の果たす役割や尊厳、看護職が命を守る大切な仕事であることなど、看護職員の確保に向けた環境を県民あげて醸成していく必要があるが、学校教育の場ではどのように対応していくのか。
県内の看護職員の養成機関における入学定員に対する充足率が89.4%となっており、人口減少が進む中で、県内の看護職員養成機関に進学する学生を確保する取組みを強化しなければならない。

ウ 県立大学の看護系大学院、保健師・助産師を育成する専攻科の設置に向け、どのように取り組むのか。
質の高い医療の提供に対する需要が高まっており、高度な技術と専門知識を持つ専門看護師等の更なる増加が求められる。
 
(3)新型コロナの今後の感染拡大や新たな感染症の発生に備え、これまでの経験を次世代に引き継いでいくため、「富山県感染症対策基本条例(仮称)」を制定すべきと考えるがどうか。
新型コロナにあたり、これまで、行政、医療機関、事業者、県民等が一体となり対策を講じてきたが、県民生活や地域経済に重大な影響を及ぼしており、誹謗中傷対策も含め、感染症対策の基本的考え方や対策を推進する枠組み等を明確にし、県民挙げて共有すべき。
 
 
問3 産業と経済の活性化について
 
(1)サプライチェーンを見直す企業の誘致や支援にどのように取り組んでいくのか、また、移動短縮によるCO2削減にも繋がる北陸3県でのサプライチェーンを構築してはどうか。
コロナ禍を受け、世界的に「ヒト・モノ・カネ」の移動・輸送が制約されると自国主義になることが証明され、サプライチェーンの見直しが始まっている中で、本県においても、大きな転換期であり、チャンスと捉えた積極的な対応が求められる。
 
(2)国における「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会」の動きを踏まえ、本県では、カーボンニュートラル等の実現に向けどのような方針でどう取り組んでいくのか。
国では「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、「経済と環境の好循環」につなげる産業政策を具体的に進めており、本県のものづくり技術と環境技術を生かす大きなビジネスチャンスであると考える。
 
(3)起業家育成のためのプログラムの実施や創業経費に対する支援、更には信用保証協会の経営支援の強化を含む起業家の資金調達支援など、本県における起業しやすい体制づくりにどのように取り組んでいくのか。
起業を促進するには、年齢やキャリアに関わらず起業にチャレンジできる環境が大事である。
 
(4)令和の公共インフラ・ニューディール政策により、将来を見据えたインフラの老朽化対策等を積極的に進めることとしているが、施工が平準化されるよう、適正な工期と技能工の計画配置を考慮した規模での発注や、県内企業が優先して資材提供や下請け受注できるよう、どのように取り組むのか。 
公共事業にあたっては、建設業の人材不足が懸念され、安定した受注環境が極めて重要であり、また、民間では県外下請け企業の参入により県内企業が受注できない状況もある。
 
(5)国土交通省が進める神通川流域の「流域治水プロジェクト」について、現在の状況と県としてどのように関わっていくのか、また、県が管理する多くの河川についても、流域治水の考えを導入して取り組むべきと考えるがどうか。 
近年の気候変動による自然災害の激甚化・頻発化により、国土交通省では河川管理者による治水に加え、あらゆる関係者により流域全体で治水を行う「流域治水」への転換を図っており、神通川についても昨年9月に協議会が開催され「流域治水プロジェクト」の策定が進められている。
 
 
問4 農林水産業の振興について
 
(1)人口減少と多様な食生活により米余りが生じている中で、転作を積極的に進める水田のフル活用対策をどのように進めていくのか。
水田を利活用した転作により、新鮮で安全な園芸作物を県民に消費してもらうことができ、フードマイレージが短くなることから脱炭素社会にも貢献できる。また、生産性が向上する体制も整備されるなど高収益作物への誘導もしやすい環境になってきている。
 
(2)ほ場の大規模化・大区画化とともに、中山間地域や小規模農業者でも収益が上がる農業経営を支援するためにも、AIやICT、ロボット技術などを活用したスマート農業の導入を推進すべきと考えるが、どのように取り組んでいくのか。
地域に根付いた農業者を支援していくことが重要である。
 
(3)「富富富」について、県内消費を増やすための取組みが重要であり、販売価格も含めた販売戦略、生産戦略を明確にして対策を立てる必要があると考えるが、どのように取り組んでいくのか。
「富富富」は、生産者にとって作りやすく、粒ぞろいで、うまみと甘みが際立つコメとして価格もコシヒカリより高く設定され、コシヒカリに代わるコメとしてデビューしたが、戦略の見直しが行われている。
 
(4)国が重点的に輸出を支援する「輸出産地」の対象となった県内の農林水産物等について、県では輸出支援にどのように関わっていくのか、また、本県の輸出重点3品目について、これまでの取組みの成果と課題を踏まえ、輸出の拡大にどのように取り組んでいくのか。
農林水産物・食品の輸出について、昨年11月に政府は、輸出額を2030年に5兆円にすることを定め、「輸出産地」を指定して支援することとされ、2月16日に第1弾として23品目353件が掲載された。
 
 
問5 教育の充実とスポーツの振興について
 
(1)教員の確保にあたり、学校現場の課題に応じた専門性を持った外部人材を教員として採用していくため、社会人経験などの特別選考を増やすなどの対策を講じてはどうか。
本県の令和3年度教員採用選考考査の最終倍率が過去最低の2.3倍となっている中で、学校現場では、特別な配慮を必要とする児童生徒の増加、ICT情報通信技術を活用した教育において自ら学習できる態度の養成、部活動の指導など多くの課題があり、専門知識を持った外部人材の活用を推進することが必要ではないか。
 
(2)本県の武道の普及啓発のため象徴となる富山県武道館について、今後の取組方針とスケジュールはどのようになるのか。
新型コロナの影響などによる厳しい財政状況の中で、当初予定していた完成時期を先延ばしするとともに、民間活力を利用した建設方式も取り入れたいとのことだが、民間活力の活用に際し県内企業が参入できないとか、武道館としての機能が損なわれるようなことがあってはならない。
 
 
問6 女性活躍の推進について
 
女性活躍の推進にあたっては、多様な働き方が実現できるよう、また、女性の管理職登用や職域拡大、男性の家事・育児参加の促進など総合的に取組む必要があるが、どのように取り組むのか。
本県における女性の就業率や正社員率は高いが、男女が共に仕事と家庭を両立しながら活躍できる環境にはまだまだ課題が多い。
 
 
問7 警察署の再編計画について
 

警察署の再編について、残る警察署についても、限られた警察力の中で、より高い水準の治安を県民に提供し、安全安心な地域社会を実現するため、再編整備は避けられないと考えるが、地域住民に不安を与えないよう今後どのように取り組むのか、警察活動の効率化・高度化のためのデジタル化に向けた取組みと併せ、問う。
県警察を取り巻く社会情勢や治安情勢が大きく変化しているなか、これまでも警察署の再編が行われ体制が充実してきた。
 
 
(質問全文)
 
私は、自民党新令和会を代表いたしまして、今定例会に提出されました諸案件並びに当面する県政の諸問題について質問をいたします。
 質問に先立ちまして、一言申し上げます。
 本県の令和3年のスタートは、コロナ禍の中、35年ぶりの大雪に見舞われ、県内で初めてとなる鳥インフルエンザの発症など、まさに災害からの出発であり、災害の恐ろしさをまざまざと見せつけられ、常日頃からの危機管理に対する備えの必要性を改めて感じた次第でございます。
 また、コロナ禍において懸命に感染者の対応に携わっている医療従事者、介護従事者の皆様に、また除雪作業に懸命に携わってくださったオペレーターの皆さんに、鳥インフルエンザで殺処分などの防疫作業に携わった皆さん方に、改めて敬意と感謝を申し上げ、質問に入ります。
 まず、ワンチームとやまの行財政運営と令和3年度の予算編成についてであります。
 新田知事にとっては初めての予算編成であり、しかも就任以来、北陸新幹線敦賀までの開業延期、砺波市井栗谷の地滑り、今ほど申し上げた災害対応など、座る間もない中での予算編成であり、御苦労がしのばれます。
 知事は、変えていこう!新しい富山へ、のスローガンの下、民間企業の当たり前を取り入れ、県民一人一人が夢にチャレンジできる県民主役のワクワクする富山県をワンチームとやまで実現すると約束されました。
 新型コロナウイルス対策はもちろんのこと、中小企業対策、新成長戦略、デジタル改革など将来への芽出し、さらには現場の視点、アイデアを生かし、新たな課題に迅速、果敢に取り組むためのサンドボックス枠の創設も含め、約束された思いの詰まった予算であり、我が会派の要望もしっかりと受け止めた新年度予算であると評価しているところであります。
 そこで、新田県政のスタートとなる令和3年度当初予算案は、多くの県民が大変期待していると考えますが、どのような思いで予算案を編成されたのか、またその特徴は何なのか、知事の所見をお伺いいたします。
 予算や計画がどれだけ立派であっても、それぞれの目的が実現できなければ意味のないことであります。実現するためには、人と組織体制がしっかりしていなければなりません。
 そのために、副知事を2人体制にし、危機管理体制の要としての危機管理局。経済対策、デジタル化、働き方改革や女性活躍推進など最優先課題解決のための知事政策局。市町村との連携強化を図り、本県の活力創造のための地方創生局への改組など、政策の実行、実現度の高い組織に再編されることは、ごく当然のことであり評価するものであります。
 そこで、予算や計画を実現するためには、人と組織体制が重要でありますが、令和3年度の組織再編の狙いは何なのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、デジタル改革について伺います。
 コロナ禍で明らかに分かったことは、デジタル化の遅れた日本社会であるということです。産業界ではデジタル化は十数年前から進んでおり、最も遅れているのが行政であることは間違いありませんし、そのことが中小企業への浸透を遅らせているのではないかと思うのであります。
 行政では、自分たちがつくった制度は県民が黙って使ってくれるものだと思い込んできたことが、手間がかかっても紙や押印が残っているあかしであります。職員自体が県民としっかりと向き合って、どうしたら利用しやすいサービスになるのか、今こそ県民目線で行政サービスを見直すチャンスであります。
 県民の視点に立てば、各部局は県という1つの主体でしかないのであり、県全体としてどんなサービスを提供したらよいのか、横串を通して部局横断的に共通化すべきサービスや関連するサービスを、連携して提供するということが必要なのであります。デジタル分野の能力を持つ職員が少ないがゆえに、デジタルサービスが十分機能してこなかったことは明らかであります。
 その遅れを取り戻すには、デジタル化の本質を理解して社会を変えていかなければならないということを、思うことであります。そのためには、まずは行政内部に専門家を取り込み、職員の能力を高めることから始めなければなりません。
 民間でも、デジタル化を推進できない典型例は、自社に人材がいないから、どう進めればよいか分からないといって外部に丸投げすると、現場で抵抗勢力化が進み、前に進めなくなってしまう実態があると言われております。
 県職員の多くは、データを持つこと、見ることへの認識が極めて低いと思うので、まず、このことから意識改革をしなければなりません。どんなデータがあれば課題解決ができるのか、常に意識することが大事であり、このことがデータ基盤の構築につながりデジタル化につながり、DXへと進化させていくのであります。このようなことからも、ぜひデジタルの専門家を配属しなければならないと強く思うのであります。
 そうして、行政でデータを活用し、判断のスピードアップを図り、その手法などを市町村はもとより県民や民間にも開示し、県全体としての経済の活性化を図っていくことが重要なことであります。
 また、県民と一番最前線に向き合う市町村と、しっかり連携をして進めることはもちろんであります。そのためには、何よりも経営トップ、知事の強い覚悟がなければ変えることができません。知事はその覚悟を持って登場されたのでありますから、我々も大いに協力してバックアップしていきたい、そのように考えております。
 そこで、県庁のデジタル化、DXの推進に向かって、外部からの人材の活用や職員の意識改革、スキル向上対策など、どのような体制で進めていかれるのか、知事にお伺いいたします。
 また、データ基盤の構築を進め、今後どのようなスケジュールで県庁のデジタル化、さらには地域行政を最前線で担う市町村との連携や民間のデジタル化の支援に取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。
 次に、北陸の十字路構想について伺います。
 この構想を実現していくためには、北陸3県の交流が要であり、観光、ものづくり、教育、いわゆる人・物・金、あらゆる分野で交流し、核をつくっていくことが重要であると理解しています。
 北陸新幹線開業で3県の移動時間が縮まった、あるいは縮まることで、道路もさらに整備し移動しやすくすることで、例えばサプライチェーンを3県で完成させる、3県の持っている強みを生かし厚みを増していく方向が、人口減少時代を生き抜く知恵だろうと確信しています。
 また、能登半島地域の里山・里海を中心に守られてきた農林水産業と伝統的な農村文化が、平成23年に世界農業遺産になっており、このたびの氷見の持続可能な定置網漁業が日本農業遺産に認められたことにより、観光面でも氷見からの連携交流を深めることで、加越能交流が加速できる大きなチャンスだと思います。
 そうした中、2月19日の新田知事と谷本石川県知事との懇談は大変歓迎すべきことであり、これをきっかけに流れをつくり、岐阜県、長野県、新潟県の隣県知事との交流をも進めることが大事と思うのであります。
 そこで、北陸の十字路構想を実現するためには、知事をはじめとした北陸3県、さらには隣県との交流が要と考えますが、構想を前進させるためどのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症について伺います。
 第3波も小康状態となり、ワクチン接種に向けた準備が進められていますが、変異ウイルスや高齢者への感染など、まだまだ予断を許さず、万全の備えが何といっても必要であります。
 そこで、まず新型コロナ感染症の患者を受け入れる医療機関に対する設備支援や入院病床確保のための支援、軽症者等の宿泊施設の確保、医療機関ごとの医療用備品の配備状況の把握、さらに感染症に対応できる医師、看護師などの医療従事者の確保体制などの感染症対策にどのように取り組んでいくのか、石黒厚生部長にお伺いいたします。
 また、医療従事者の緊急時の協力体制の構築には、何といっても平常時の安定的な人材確保が重要でありますが、本県の看護職員数は、2016年末現在1万6,602人で、人口10万人当たり1,564人で、全国の1,228人よりも多いのですが、公的病院における看護職員募集数に対する充足率は93.1%であることや、看護職員の職域は福祉施設や在宅看護へと領域が拡大しており、現場では不足感があるのが実態であります。
 そこで、看護職員の職場定着の促進、復職支援、領域・地域別偏在の是正などの取組を積極的に進める必要がありますが、どのように取り組んでいくのか、厚生部長にお伺いいたします。
 また、県内の看護職員の養成機関における入学定員に対する充足率が89.4%となっており、人口減少が進む中で、県内の看護職員養成機関に進学する学生を確保する取組を強化していかなければなりません。
 そこで、看護職員を含め、医療福祉の果たす役割や尊厳さを、また看護職が命を守る大切な仕事であることなど、看護職員の確保に向けた環境を県民挙げて醸成していく必要がありますが、学校現場では今後どのように対応していかれるのか、伍嶋教育長にお伺いいたします。
 さらに、質の高い医療の提供に対する需要が高まっており、高度な技術と専門知識を持つ認定看護師や専門看護師、特定行為に関わる看護師のさらなる増加が求められております。
 県立大学の看護系大学院、保健師、助産師を育成する専攻科の設置に向け、どのように取り組んでいくのか、蔵堀政策監にお伺いいたします。
 これまで本県では、新型コロナウイルス感染症に対して、行政、医療機関、事業者、県民等が一体となり対策を講じてきましたが、県民生活や地域経済に重大な影響を及ぼしています。
 また、感染症患者、医療従事者等に対する不当な差別扱いや誹謗中傷行為も見られました。こうした誹謗中傷対策も含めて、感染症対策の基本的な考え方や推進する枠組みを明確にして、これらを県民挙げて共有するべきと考えます。
 そこで、新型コロナの今後の感染拡大や新たな感染症の発生に備え、これまでの経験を次世代に引き継いでいくため、富山県感染症対策基本条例、仮称でございますが、を制定すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、産業と経済の活性化について伺います。
 コロナ禍で見えてきたことは、世界的に人・物・金の移動、輸送が制約されると、世界が自国主義になることが証明され、サプライチェーンの見直しが始まっている中で、本県においても大きな転換期でありチャンスと捉えた積極的な対応が必要であると考えるのであります。
 例えば、本県で完成品を作るに当たり、これまで海外や他県でパーツを作っていたものを、北陸3県の中でできるようコンソーシアムなど新たな枠組みをつくることも検討すべきと考えます。
 そこで、サプライチェーンを見直す企業の誘致や支援にどのように取り組んでいくのか、また移動短縮によるCO2削減にもつながる北陸3県でのサプライチェーンを構築してはどうか、布野商工労働部長に伺います。
 オイルショックで、日本は、新エネ、省エネ、原子力で、日本の産業界はものづくりを中心として強く生まれ変わり、経済が息を吹き返しました。
 昨年10月、菅総理大臣は、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。これを受けて、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定し、経済と環境の好循環につなげる産業政策を具体的に進めており、本県のものづくり技術と環境技術を生かす大きなビジネスチャンスであると考えるのであります。
 そこで、国における2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の動きを踏まえ、本県では、カーボンニュートラル等の実現に向けてどのような方針でどう取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、起業の促進についてであります。
 県では、これまでも、とやま起業未来塾や創業支援補助金、制度融資など起業支援に取り組み、近年では年間で平均約2,300件の開業数となっていますが、開業率は4.4%と、全国の7.1%と比べても低い状況であり、この状況はなかなか改善していないのが現状であります。
 そこで、起業を促進するには、年齢やキャリアにかかわらず起業にチャレンジできる環境をつくることが大事であり、起業家育成のためのプログラムの実施や創業経費に対する支援、さらには信用保証協会の経営支援の強化を含む起業家に対する思い切った資金調達支援など、起業しやすい体制づくりをどのように取り組んでいくのか、商工労働部長に伺います。
 次に、令和インフラ・ニューディール政策について伺います。
 政府の公共事業予算については、コロナ禍でも落ち込むことなく前年並みの予算が確保され、防災・減災、国土強靱化など、将来を見据えたインフラ老朽化対策が喫緊の課題であるということが認識されたことは、心強い限りであります。知事も同様の認識であり、公共事業予算は近年にない思い切ったものであり、令和インフラ・ニューディール政策を着実に進めていただきたいのであります。
 しかしながら、建設業の人材不足が最も懸念されており、高校や大学での教育、就職活動への努力は必要なことは言うまでもありませんが、安定した受注環境をつくっていくことが極めて大事であります。
 発注の平準化をしても、完成工期が集中すれば現場での施工の平準化が図られません。限られた技能工の働き方も考慮しなければなりません。今冬の大雪での除雪オペレーターの不足は、建設業現場の人手不足の象徴であると言っても過言ではありません。また県外下請企業の参入により県内企業が受注できない状況もあり、看過できない状況にもあります。
 そこで、令和インフラ・ニューディール政策により、将来を見据えたインフラの老朽化対策等を積極的に進めることとされていますが、施工が平準化されるよう、適正な工期と技能工の計画配置を考慮した規模での発注や、県内企業が優先して資材提供や下請受注できるような体制を取ることが必要でありますが、今後の取組について、江幡土木部長にお伺いいたします。
 次に、流域治水についてであります。
 最近、気候変動による災害の激甚化、頻発化が起きており、国土交通省では、河川管理者だけではなく流域内の市町村、企業、農家、住民、これらに関係する団体など、全ての協力で災害を未然に防ごうという、いわゆる流域治水への転換を図っております。
 県内では、調整用ダムが必要であるとしながらも計画策定がない神通川について、昨年9月に協議会が開催され、流域治水プロジェクトの策定が進められています。
 そこで、国土交通省が進める神通川流域の流域治水プロジェクトについて、現在の状況と、県としてはどのように関わって県民の安全・安心の確保を図っていくのか。また県内には白岩川、上市川、角川など県が管理する河川も多くあり、流域治水の考えを導入して取り組む必要があると考えますが、土木部長にお伺いいたします。
 次に、農林水産業の振興について伺います。
 コロナ禍で一層強く思ったことは、食料が確保できなくなる場合も想定した対策を取っておく必要があるということです。本県は、水田農業を基盤として環境の保全や食料が維持確保されてきましたが、最近では人口減少と多様な食生活のため、米余りが生じていることは御承知のとおりであります。
 これからは、県内産の新鮮で安全な園芸作物を県民に消費してもらうことで健康な体づくりに役立ててもらう、このことが、フードマイレージが短くなり、脱炭素社会にも貢献できるなどメリットがあります。また生産現場では、生産基盤も大型になり生産性も上げられる体制も整ってきており、高収益作物への誘導もしやすい環境になってきています。
 そこで、人口減少と多様な食生活により米余りが生じている中で、転作を積極的に進める水田のフル活用対策をどのように進めていくのか、堀口農林水産部長に伺います。
 また、圃場の大規模化、大区画化とともに、それぞれの地域に根づいた農業者の支援を図ることが重要であります。特に中山間地域や小規模農業者でも収益が上がる農業経営を支援するためにも、大いにAIなど、ICT、ロボット技術などを活用したスマート農業の導入を推進すべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、農林水産部長に伺います。
 富富富について伺います。
 富富富は、高温に強く、いもち病に強く、農薬の使用量も少なく、倒伏しない作りやすい米として、さらに粒ぞろいで、うまみと甘味が際立つ米として、価格もコシヒカリより高く設定され、コシヒカリに代わる米としてデビューしましたが、当初の目的を達成できず、戦略の見直しがされています。
 生産者にとって作りやすく本当に収益が上がるのか、県内消費が進まないのはなぜなのかなど、戦略会議で意見が交わされたと思いますが、何よりも県内消費を増やすための取組が重要であり、また売り先を輸出に特化するとか、子供向けに絞るとか、販売価格も含めた販売戦略、生産戦略を明確にして対策を立てる必要があると考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、知事に所見を伺います。
 次に、農林水産物、食品の輸出についてであります。
 農林水産物、食品の輸出について、昨年11月に政府は、輸出額を2030年に5兆円と定め、それを実行するために輸出産地を指定して支援することとされました。
 2月16日、第1弾として23品目353件が掲載され、本県では県全域の米、入善・朝日の米・パック御飯、トンボ飲料の清涼飲料水、トナミ醤油のみそが指定され、輸出に大いに弾みがつくものと考えています。指定された産地では、2021年度中に産地ごとの輸出目標や課題、対策を明確にし、輸出事業計画を立てることになっています。
 そこで、国が重点的に輸出を支援する輸出産地の対象となった県内の農林水産物等について、県では輸出支援にどのように関わっていくのか、また本県の輸出重点3品目について、これまでの取組の成果と課題を踏まえ輸出拡大にどのように取り組んでいくのか、農林水産部長に伺います。
 次に、教員の充実とスポーツの振興について伺います。
 政府では、2021年から5年かけて公立小学校の全学年を35人学級にすることを決定しましたが、教員が確保できるか非常に心配なのであります。
 本県の令和3年度の教員採用選考考査の最終倍率は、過去最低の2.3倍、小学校が1.6倍、中学高校が2.7倍で、特に小学校が1.6倍で全国ワースト3であると大きく報道されたところであります。教員の確保については、これまでも懸命な努力はされてきましたが、このような結果であります。
 学校現場では、特別な配慮を必要とする児童生徒が増えていること、ICTを活用した教育で自ら学習できる態度を養っていかなければならないなど、また部活動の指導はもはや教師ではできないなどの課題があります。このような課題に対して、ICT教育、学習支援、いじめ、保護者対応などに専門知識を持った外部人材を思い切って活用していくことを進めていくしかないと考えるのであります。
 また、長時間労働のイメージが強いのではなく、長時間労働になっているのでありますから、学校の現場環境を思い切って変えていくことが必要であります。
 そこで、教員の確保に当たり、学校現場の課題に応じた専門性を持った外部人材を教員として採用していくため、社会人経験などの特別選考を増やすなどの対策を講じていくべきと考えますが、伍嶋教育長にお伺いいたします。
 次に、富山県武道館の整備について伺います。
 富山県武道館建設については、コロナの影響による厳しい財政状況の中で、当初予定していた完成工期を先延ばしするとともに、民間活力を利用した建設方式も取り入れたいとのことでありますが、民間活力の活用に際し、県内企業が参入できないとか、武道館としての機能が損なわれるようなことがあってはならないと考えております。また、これまで建設に向かって、およそ10年活動してきた武道関係者はもちろんのこと、子供たちの健全育成のためにも、一日も早い完成を願っているのであります。
 今から248年前、富山藩では、元禄が終わり武士の士風が低下、堕落が著しいので、人づくりをして立て直さなければならないとの思いで、6代藩主前田利與が、財政難の折でありましたが、反対を押し切って文武両道を学べる藩校「広徳館」を創設したのであります。ここに、非常に真面目で勤勉で誠実という県民性の原点があると思っています。
 知事は、就任挨拶で、渋沢栄一の経営哲学「論語と算盤」を肝に銘じて県政を運営すると語られました。まさに富山県武道館建設は論語の部分を担う教育施設であり、財政難なときこそ必要なものは思い切ってつくる、それでこそ価値があるのであります。
 先ほど宮本議員の答弁では、数年の遅れ云々でありましたが、北陸新幹線敦賀までの開業が遅れる1年くらいは許されると思うところであります。
 そこで、本県武道の普及啓発のための象徴となる富山県武道館について、今後の取組方針とスケジュールなど、どのように進めていかれるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、女性活躍について伺います。
 15歳から64歳の女性の就業率72%が全国で3位、正社員率も50.1%と全国3位と高いのでありますが、男女が共に仕事と家庭を両立しながら活躍できる環境には、まだまだ課題が多いのであります。
 例えば、本県の産業別・規模別の事業所や従業員の実態は、10人以下の事業所が78%であり、100人以下の事業所で働く従業員は75%で、さらに30人以下で働く従業員は51%であります。100人以下、30人以下の事業所で働く者へ目を向けなければ、環境を改善することはできないことは明らかであります。
 女性活躍の推進に当たっては、データによる分析も取り込むなどして、ワーク・ライフ・バランスやテレワークの推進、キャリアアップのための学び直し支援など、多様な働き方が実現できるよう、また女性の管理職登用や職域拡大、男性の家事・育児参加の促進など総合的に取り組む必要がありますが、どのように取り組むのか、柿沢総合政策局長にお伺いいたします。
 最後に、警察署の再編計画について伺います。
 県警察を取り巻く社会情勢は、高速交通網の発達、情報通信網の発展、夜型社会の進展など、また治安情勢は、犯罪の凶悪化、広域化、組織化が進むなど、大きく変化してきております。
 こうした中、平成の市町村合併に伴い警察署の再編が行われ、射水署、富山西署、富山中央署、富山南署が整備され、充実した体制になってまいりました。
 しかし、残る10署については、人口減少する中で地域の状況にも変化が出てきていることに加え、施設も老朽化してきており、限られた警察力の中で、より高い水準の治安を県民に提供し、県民が安全で安心して暮らせる地域社会を実現するためには、警察署の再編整備は避けて通ることができないと考えるのであります。
 そこで、地域住民に不安を与えないよう今後どのように取り組んでいくのか、また警察活動の効率化、高度化のための犯罪発生情報のオープン化、行政手続、運転免許更新、防犯カメラなど、デジタル化を大いに取り入れることも必要でありますが、どのように取り組んでいかれるのか、強さの中にもしなやかさや柔軟性のある組織を目指したいと抱負を語られた杉本警察本部長に伺いまして、質問を終わります。
 御清聴どうもありがとうございました。

「自民党新令和会」初の代表質問!

2020年12月18日 更新

去る10月25日の富山県知事選挙で新田八朗知事が誕生いたしました。新田八朗さんは11月9日に就任され新知事としてスタートされました。誠におめでとうございます。
自民党新令和会(中川忠昭、亀山彰、澤﨑豊、庄司昌弘の4名)は新田八朗さんを全面的に支援してきた会派であり、今議会からスタートしました。新田知事と新しいワクワクする富山を目指して頑張ってまいります。その思いを込め、初の代表質問に立ちました。
以下要旨と、全文を掲載しました。

代表質問

 

(質問要旨)

問1 知事の政治姿勢について

知事の政治姿勢について、県政の主役である県民に分かりやすい言葉で伝える必要があると考えるがどうか、また、県民とどのように向き合っていくのか、問う。
例えば、記者会見はどのように行い、県民の声はどのように吸い上げるのか。

問2 新しい富山県のビジョンについて

(1)「北陸の十字路」構想とはどのようなものか、また、その実現へ向けてどのように取り組むのか、問う。
将来的には日本海側の十字路、日本の十字路となり得る夢のある構想と感じる。

(2)「北陸の十字路」構想を実現していくため、隣県や地方同士の連携を図り、東京一極集中を食い止めることが大切であると考えるがどうか、所見を問う。
特に石川県とは観光はもとより産業面でも大いに連携を図るべき。

(3)県立高校の再編統合について、どのように考えるか、所見を問う。
人口減少が進む中、県立と私立との比率、普通科と職業科の比率、職業教育の内容など、県立高校の再編統合は待ったなしの極めて大きな課題。

(4)人口減少が進む中、限られた医師・医療従事者による高度で適正な医療提供体制を維持するため、県が主体となって公的病院の再編統合を進めるべきと考えるが、所見を問う。

(5)人口減少が進む中、県民、県外からの来訪者の利便性確保のため、公共交通対策を今後どのように進めるのか、問う。
まずは県民の利用実態を把握し、将来的に県内公共交通事業者の経営一本化も視野に対策を進めて行くことが県民の足の確保に繋がる。

(6)「令和の公共インフラ・ニューディール政策」のための必要な財源確保のため、国への強力な働きかけが必要と考えるが、今後どのような決意で取り組むのか、問う。
橋りょう、トンネル、ロックシェッドなどの老朽化対策、豪雨や急流河川対策としての治水・砂防事業、自動運転に備えた道路整備など、インフラ整備が急がれる。

(7)インフラ整備の受け手である建設業は人手不足であり、発注に際しては余裕を持った工期設定、執行の更なる平準化を図るべきだが、これまでの発注状況や今後の取組みについて、問う。

問3 ワンチームとやまの自治体運営について

(1)税収が落ち込む厳しい財政状況の中、11月補正予算案をどのような考えで編成したのか、また、具体的にどのように来年度予算編成に取り組むのか、問う。
来年度の当初予算編成方針では、新型コロナ感染症対策と社会経済活動の両立など新たな行政課題に果敢に取り組むため、県民目線と現場主義を徹底し、スピード感を持って重点的・効率的に施策を推進するとしている。

(2)富山県武道館の整備にあたり、民間活力を利用した建設方式や県内企業の受注機会を増やす工夫が必要と考えるがどうか、また、建設にあたり県産木材はもとより、県内事業者の持つ伝統技術や先端技術を存分に盛り込んだ、県内の職人技が詰まった武道館にすべきと考えるがどうか、所見を問う。
弓道場、相撲場がない、駐車場が手狭など強く要望してきたが実現していない。

(3)県職員の能力が最大限発揮でき、スピード感を持って施策の実現が可能となるような風通しの良い執行体制を構築し、まさに「ワンチームとやま」として行政運営ができる体制を整える必要があると考えるがどうか、問う。

(4)知事と15市町村長による「ワンチームとやま」連携推進本部について、どのような想いで設置されるのか、問う。
行政サービスが県内どこでも公平に受けられるためには、市町村が取り扱う方が県民にとって便利なものもある。また、各種事業を進めるにあたり手続きの簡素化やスピード化など課題も多いと考えられ、常に連携して意見交換することは極めて大切。

(5)各種施策の実現が着実に図られるよう、県職員と市町村職員が一緒に働く新たな体制づくりに取り組むべきと考えるがどうか、問う。
技術職員が不足している土木、農林水産分野や中山間対策分野など、相互に人材や技術を補いながらスピード感ある仕事の進め方が必要。

(6)DXの実現に向け、県庁内の業務見直しやクラウド、ビッグデータといった新しい技術の活用が必要であり、さらには民間企業が活用できるビッグデータ基盤の構築が県民の利便性向上に繋がると考えるがどうか、また、データサイエンス分野における日本一の「教育県」を目指し、今後どのように取り組むのか、併せて問う。
人やモノの移動情報などビッグデータ基盤を構築し、AI活用により、公共交通や物流の効率化が図られ、県民の利便性向上や県民所得の増大をもたらす。

問4 コロナ禍での経済・医療・福祉対策について

(1)新型コロナ対応地方創生臨時交付金は、休業要請協力金など中小事業者等への支援に使われているが、その執行状況と不足の見込み、今後の取組み方針について、問う。

(2)本県経済について、新型コロナ感染症の影響前の状況をどのように認識し、その低迷の原因をどのように分析しているのか、また、その分析を踏まえ、コロナ禍の厳しい経済状況を打破し活性化させるため、どのように取り組むのか、問う。

(3)新型コロナ感染者が再び増加傾向にある中で、感染拡大防止対策にどのように取り組むのか、また、医療提供体制の整備にどのような方針で臨むのか、流行期を迎えるインフルエンザとの同時流行への対策と併せて、問う。
北海道はじめ全国的に感染者が増加しており、本県においても感染の再拡大が懸念される。

(4)北陸初の大型ほ場整備事業となる国営農地再編整備事業「水橋地区」が、来年度の新規着手地区として国の概算要求に盛り込まれているが、その目指す姿と事業着手に向けた県の支援状況について、問う。
スマート農業推進の観点からも全国に先駆けたモデル地区として期待が持てる。

(5)スマート農業の推進にあたり、高収益作物の積極的な導入には気象条件や栽培技術のビッグデータ基盤の構築と活用、また、農業機械の開発が急務であるが、今後どのように取り組むのか、問う。

問5 女性活躍の推進について

働く女性が増える一方、長時間労働の慣行や育児休業制度が利用しづらい職場環境・風土などが、仕事、育児、介護等との両立の妨げとなっているが、本県における女性活躍の推進の加速化が喫緊の課題であり、今後どのように取り組むのか、問う。

(質問全文)

私は、自民党新令和会を代表いたしまして、今定例会に提出されました諸案件並びに当面する県政の諸問題について質問いたします。質問に先立ちまして、一言申し上げます。
さる十月二十五日の知事選挙において、新田知事におかれましては、「変えていこう、新しい富山へ」を訴え、本当に多くの県民の信任を得られ、見事に当選を果たされました。
新田知事を総力挙げて支援してまいりました我が自民党新令和会といたしましても、心からお祝いを申し上げます。
去る九月二十九日に、新会派結成後、初めての代表質問であり、緊張感と共に大変重い責任を感じております。
昨年、平成から令和という新しい時代を迎えましたが、今年に入り、新型コロナウイルス感染症の発症により、世の中が一変しました。
まさに新しい令和の始まりであり、新田さんと共に歩みたいとの思いで、「自民党新令和会」と決めたのであります。亀山議員、澤崎議員、庄司議員と私を含め四名は、自民党所属の議員であり、党則にあるとおり、国民に寄り添う、国民と共に未来に向けて、常に改革を進める自由主義の政党である国民政党として、県民に寄り添う県民と共に、未来にむけて、つねに改革を進める自民党として活動をして参りますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、新田知事は、日本海ガス社長として、もちろん最前線にたち、デジタル化の推進や、地球環境のためにガスの原料を天然ガスに変える一大プロジェクトを完成させたことや、常に若手の意見を取り入れる経営計画をたて、富山市とSDGs推進包括連携協定を締結し、地域社会の持続的な発展に取り組んでこられました。
また、富山JC理事長時代、今から二十八年前に設立以来初の女性会員を誕生させ、最近ではイクボス宣言をし、女性管理職の積極的登用を図り、女性活躍推進に取り組むなど、スピード感を持ってあらゆることに果敢に挑戦し、その実行力は抜群であったと伺っております。
正に、民間企業経営で培った豊かな経験を生かし、県民の負託にこたえられる県政運営に、大いに期待するものであります。
石井県政の素晴らしい点を引継ぎ発展させながらも、独自のカラーを十二分に発揮され、県政の執行者として、また政治家として、公約を守り、県民の幸せを実現する県政を推進されるようお願い申しあげ、以下質問に入ります。

先ず、知事の政治姿勢についてであります。
この度の知事選挙では投票率が前回の35・34%から60.67%と飛躍的に上がりました。
このことは、県民の県民による、正に県民が選んだ知事であると同時に、県民と知事、県民と県政との距離を大きく縮めた選挙であったと思いますし、新田知事の勇気ある決断と情熱と大きな活動量によって、県民が主役の県政に対する期待感が高まったと感ずるのであります。
先ずは、このことを踏まえて、知事の政治姿勢について、県政の主役である県民に分かりやすい言葉で伝えていただきたいのであります。
また、県民とどのように向き合っていかれるのか、例えば、記者会見をどのように行い、県民の声をどのように吸い上げていかれるのか、県民が主役の県政について、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、「新しい富山のビジョン」についてであります。
リーダーに求められるのは、夢やビジョンを示すこと。そして、それらを実現するためには、県民にあらゆる分野で挑戦・チャレンジする勇気を与えること。さらに、県民の声を良く聴くことです。
知事は今回、自ら、全てを投げうって、閉塞感漂う県を「変えていこう、新しい富山へ」と訴え、県民の幸せのために働きたいという、凄い情熱と覚悟で勇気を奮い立たせて活動されました。
この姿に県民の多くが共感を覚え、勇気をもらったことは間違いないでしょう。
コロナ禍の前から本県経済が低迷しており、さらに、今後閉塞感が漂うことが予想される、このような時にこそ、知事が、本県の夢やビジョンを語って、示されたことに、多くの県民が共感されたと確信しております。
昭和27年(1952年)に本県では、幾度も災害によって荒れ果てた県土を復旧し、新たに資源を開発して産業を興し、富山県百年の大計を立てるべく、全国に先駆けて「富山県総合開発計画」を策定しています。これが計画県政の始まりです。
この時の知事が新田知事の祖父である高辻武邦さんであり、大変な縁を感じるとともに、68年経った現在も、本県の総合計画として引き継がれていることは、誠にすばらしいことであります。
この1次計画は、水力発電の開発と農業用水の確保を軸に、工業と農業の発展を図り、就業人口を増大させて、所得水準の向上を目指す大きな富山のビジョンでありました。
その後、民間出身の吉田実知事に引き継がれ富山高岡新産業都市指定を受け、立山黒部アルペンルート開業など各種大型開発事業が、次々に着実に実現されるとともに、さらに大きな夢として北陸新幹線構想が打ち出され、歴代知事のもと、多くの先輩たちの涙ぐましい努力によって、夢が実現されてまいりました。
まさに夢は実現するものであることを、我々県民に教えてくれています。
その後、これまで、大きな夢や、ビジョンが語られなかった中で、知事が、富山の夢、新しい富山のビジョンとして「北陸の十字路構想」を掲げての登場は大変意義あることだと思います。
夢は大きければ大きいほど実現に向けてやりがいがあるものです。私には、将来は日本海側の十字路、いや日本の十字路になるような夢のある話に思いを馳せるとワクワクしてまいります。
そこで、「北陸の十字路構想」とは、どのようなものなのか、また、その実現へ向けてどのように取り組んでいこうと考えておられるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
夢を実現していくためには、東京一極集中から地方分散型の構造に変えていかなければなりません。これまで、2015年から2019年の5年間の取組みで、東京一極集中が是正されるどころか、逆に、東京圏への転入超過が67万人となり、東京圏への集中が加速しました。
お金を出すことで本社や人を動かそうとしましたが、お金で人を動かすことができなかった、ということではないでしょうか。明らかに失敗です。
もちろん、本県のおかれた状況、足元を見て何が足りていないのか検証し、経済を活性化し雇用を増やしていくことは当然でありますが、本県だけで頑張るのではなく、隣県の石川県、岐阜県、新潟県、長野県と連携を図っていく、さらには地方同士が連携を図って東京一極集中を食い止めることが極めて大事なことであると考えるのであります。
特に、石川県とは、加賀、越中、能登、いわゆる加越能という言葉がある通り、観光はもとより産業面でも大いに連携を図っていくことが大事であると考えるのであります。
そこで、北陸の十字路構想を実現していくためには、隣県や地方同士の連携を図り、東京一極集中を食い止めることが極めて大切であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
構想を実現していくには、県は広域にわたる施策について、大いに汗をかくことが大事であると考えるのであります。
本県の人口は平成10年の112万人をピークに減少してきており、現在は103万人あまりで、22年間で約9万人の減少、これからはこれまでの倍以上のスピードで人口が減少し、国立社会保障・人口問題研究所によれば、20年後は84万人、40年後は64万人と推計されています。
何よりも、この人口減少について、危機感を強く持つことです。
中でも、人口減少による公共交通や公的病院、高校の在り方について、早急に対応策を打ち出すべきと考えますが、これまでの状況をみて、公共交通事業関係者や公的病院関係者だけで対策を検討していくには、限界と思われます。
県立高校の再編統合については、これまで2回にわたり行われ令和4年度までに9校が減少することとなります。この再編統合では、想定生徒数は8500人でありますが、昨年生まれた子供は6600人ですから、あと15年後には間違いなく約2000人減少しています。
おそらく40年後には4千人ぐらいではないかと思います。
一方、社会に目を向ければ、あらゆる分野で人手不足が深刻さを増しています。高校の職業科を卒業して、自分たちが学んだ職業分野に就職する生徒は10%~30%ぐらいです。
このような状況は、子どもたちの能力を引き出して、社会に役立つ教育をしているとは、とても思われません。
そこで、県立と私学との比率、普通科と職業科の比率、職業教育の内容など含め、県立高校再編統合は待ったなしの極めて大きな課題であります。
知事は県立高校再編統合について、どのように考えておられるのか、ご所見をお伺いいたします。

次に医療体制についてであります。
県民の命を守るためには、人口減少が進む中で、持続可能な医療体制を整備することは極めて重要な課題であります。特に、公的病院の果たしてきた役割は重要であり、経営破綻を招くようなことは、あってはなりません。
これまでは、公的病院の再編統合については、公的病院関係者の自主的な対応を求めてきましたが進んでいません。限られた医師と医療従事者によって、いかに、県民に高度で適正な医療提供体制を維持し、県民の命を守るのかを考えると、県が主体となって公的病院の再編統合を進める時期にきていると思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、公共交通についてであります。
少子高齢化で人口減少が進めば進むほど、公共交通の利便性を確保する必要があります。
本県の公共交通は富山地方鉄道線、万葉線、JR城端線、氷見線、高山本線、あいの風とやま鉄道線などありますが、将来は経営を一本化するくらいの構想をたて、順次進めて行く工程を描いていくことが県民の足を確保することに繋がっていくと考えます。
何よりも、県民の利用実態のデータを集め解析し、実態を把握することから始めなければならないのではないでしょうか。
そこで、県民と県外からの来訪者の利便性を確保するための公共交通対策をどのよう取り組んでいくのか、中谷(なかや)観光・交通振興局長に伺います。

次に公共インフラの整備についてであります。
北陸新幹線敦賀開業が1年半遅れるとの発表が、知事就任直後であったことに大変憤りを感じるとともに、余りにも国・機構の無責任な対応に唖然としています。
そこで、知事には、敦賀開業が一日でも早く開業できるよう、国会議員や沿線県と連携を図り粘り強く取り組んでいただきたいが、どのように進めようとしているのか、知事のご所見をお伺いいたします。
さて、私たちが安心して生活していくには、公共インフラがしっかりと整備された県土であることが重要です。私が、平成2年(1990年)にアメリカに視察に行った時、橋梁が老朽化して渡れないんだ、ということを聴きました。その当時日本では考えにも及びませんでしたが、1980年代のアメリカでは、いたるところで橋梁の損傷事故がおこり、重量制限が加えられ、物資を輸送するトラックが通れない、学童バスさえ通ることができない橋梁が増えるなどインフラの劣化が社会に広がり「荒廃するアメリカ」と呼ばれていました。そのために、ガソリン税を上げてインフラの維持管理費を確保し、今なお継続的に維持管理・更新に取り組んで欠陥のある橋梁数を着実に減らしています。
アメリカから遅れること40年、今まさに日本も「荒廃する日本」と言われるような状況に入っていると思います。特に本県は橋梁、トンネル、ロックシェッド、雪崩防止柵なども多く、老朽化が進んでおり、ほっておくと、人も物も運べなくなり、経済活動ができなくなる重大な危機にいたると認識すべきであります。その上に、気候変動による豪雨やゲリラ豪雨などに備えた、急流河川を抱える本県の治水・砂防事業、さらには自動運転を見据えた道路整備などインフラの整備が急がれるのであります。
国土強靱化基本法に基づき本県の地域計画が策定されていますが、その実施のためには国の財源確保がなんとしてでも欠かせません。
そこで、知事が掲げる「令和の公共インフラ・ニューディール政策」は、当を得た政策であると考えますが、今後どのような決意で取り組んでいかれるのか。
国への強力な予算確保の働きかけと併せて、知事のご所見をお伺いいたします。
また、受け手である建設業は人手不足を抱えていることから、発注に際しては余裕を持った工期設定や一層の平準化に配慮した執行をすべきでありますが、これまでの公共事業の発注状況や今後の取組みについて、江幡土木部長に、お伺いいたします。

次に、ワンチームとやまの自治体運営についてであります。
まず、11月補正予算と令和3年度の予算編成について伺います。
新型コロナ感染症対策と社会経済活動の両立など新たな行政課題に果敢に取り組むために、県民目線と現場主義を徹底し、スピード感をもって重点的・効率的に施策を推進するとの考えで、令和3年当初予算編成方針を示されました。
そこで、税収が落ち込む、かなり厳しい財政状況の中、11月補正予算をどのような考えで編成されたのか、また、具体的にどのように令和三年度予算編成に取り組んでいかれるのか知事のご所見をお伺いいたします。

次に、富山県武道館の整備について伺います。
富山県武道館建設を巡っては、富山県武道協議会では、武道は世界に誇る日本発祥の文化であるとし、武道の普及啓発のためには、武道の象徴となる施設が本県に是非必要であるとの考えの下、広く県民に武道への理解を深め、日本人として守るべき文化である、武道の殿堂として、また、それにふさわしい学舎(まなびや)(教育施設)として建設するよう、11万2千人余りの署名とともに、要望してまいりました。
その結果、富山市と高岡市にある県営武道館が老朽化していることもあり、必要性が理解され「健康・スポーツ環境充実検討会」において、「武道館機能を有する多目的施設」として建設することが提言され、現在は基本設計に取り組んでおられます。
しかしながら、弓道場と相撲場がないこと、駐車場が手狭で通常の稽古会の開催も難しいことなどについて、その改善を強く要望してまいりましたが、実現しておりません。
そこで、武道の殿堂にふさわしい富山県武道館を建設するために、民間活力を利用した建設方式を取り入れることによって解決できるのでないか、また、県内企業の受注機会を増やす工夫が必要であると考えるのであります。
さらに、建設にあたっては、県産木材はもちろんのこと、県産資材や県内事業者の持つ伝統技術や先端技術を存分に盛り込み、県内の職人技が詰まった武道館にすべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。

次に県の行政運営体制について伺います。
世の中は常に変化しています。特にコロナで私たちの生活スタイルが変わろうとしています。
このような変化に対応していくには、今までの考え方や価値観、やり方を変える、柔軟に新しいものを取り入れていく、このような姿勢が大切であります。変えるためには、自らが変わらなければなりません。県行政も変わらなければなりません。
コロナ禍になる前、世の中が大きく変化しているのに、前例・縦割り行政、仕事の仕方、机の配置も何十年も変わっていません。職員から提案しても取り上げてもらえない、潰される。
このような仕事のやり方を思い切って変えてほしいのであります。
新田知事は「民間企業が当たり前と思う県政を」掲げました。菅総理も「国民が当たり前と思う国政を」と、前例や縦割りを打破しようと演説されました。
計画で策定したことが、どうしたら実現できるのか、優秀な県職員の能力を最大限生かすような体制を作るべきと考えます。他県の副知事が何人だから本県もではなく、思い切って施策が実現できる体制をつくって臨んでもらいたいのであります。
そこで、県職員の能力が最大限発揮できて、スピード感を持って施策の実現が可能となるような、風通しの良い執行体制を構築して、正に「ワンチームとやま」として行政運営ができる体制を整える必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、15市町村との連携について伺います。
県民はどこに住んでいても県行政のサービスを近くで公平に受けられるようにする、便利にすることが大切なことであります。例えばパスポートが市町村で手続きできれば、また、運転免許証の更新が最寄りの警察署でできれば便利になります。他にも県の出先機関はもちろんのこと、市町村が取り扱った方が県民にとって便利であるものが多いと思われます。
今後、各種事業を進めるにあたり、手続きの簡素化、スピード化など、課題も多いと思われます。
このような課題について15市町村長と知事が常に連携を図っていくために、意見交換することは極めて大切なことであると思います。
そこで、「ワンチームとやま」連携推進本部の設置を提案されていますが、どのような想いで設置されるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、人口減少する中で、土木行政、農林水産行政においては技術職員が不足し、発注・監督業務にも限界があり、技術力の低下など危惧しなければならない課題が多いことから、県職員と市町村職員が農林振興センターや土木センターで一緒に仕事をする体制づくりをしていくことや、中山間対策分野では、県職員が市町村職員と一緒になって最前線の市町村でスピード感ある仕事を進めるなど、相互に人材や技術を補いながら進める時代と考えるのであります。
そこで、各種施策の実現が着実に図られるよう、仕事の仕方を変えることが必要であり、県職員と市町村職員が一緒に働く新たな体制をつくって取り組むべきと考えますが、滝経営管理部長に伺います。

次に、産官学連携によるデジタル化について伺います。
大量のデジタルデータから新しい価値を見つけて新しいサービスを生み出し、デジタル化することが、デジタルトランスフォーメーションと呼ばれています。
デジタルトランスフォーメーションを実現するためには業務の見直しや新しい技術(特にクラウド、ビッグデータ)を取り入れることが必要となります。
例えば、人や物(モノ)の移動情報などのビッグデータ基盤を構築し、AIを活用することにより、公共交通の効率化が図られ、より県民に利便性をもたらす、あるいは、物流業界で輸送手段の効率化が図られることにより、需給者の利便性と所得の増大をもたらすと考えられます。
しかし、ビッグデータ基盤の構築には中小企業では対応ができないので産官・大学が協力してデータ基盤の構築を図り、利活用できる体制の構築が急がれます。
そこで、DXの実現に向け、県庁内の業務の見直しや、クラウド、ビッグデータなどの新しい技術の活用が必要であり、さらには、民間企業が活用できるビッグデータ基盤の構築が、県民の利便性向上に繋がると考えますが、どのように進められるのか、さらに、データサイエンス分野における日本一の「教育県」を目指し、どのように取り組まれるのか、併せて、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、コロナ禍での経済・医療・福祉体制についてであります。
まず、コロナ禍での経済の立て直しと活性化について伺います。
本県経済が閉塞感を感じる理由として県内名目GDPの推移が全国や石川県に比べて鈍化しておりH27年から石川県に抜かれてしまったことや、税収の伸びが少なくなったことがあげられます。
交付税も富山県の方が多くなったことなどから県内経済の低迷を感じるのであります。
帝国データバンクの資料によれば2019年の本県における「休廃業・解散」件数は319件にのぼり、2年ぶりの増加であり、「休廃業・解散率」は全国5位の高水準となっております。
さらに、本県では、60.4%の企業が後継者不在のほか、経営者の高齢化が進んでいることからも、若い人材の県外流出と相まって、次世代の後継者が急激に減少している可能性が高いと考えられます。
そんな中、コロナ禍に見舞われ、観光、飲食業、交通事業者など多くの事業者に痛手が続いており、雇用が確保できるのか非常に不安が付きまとう状況となっております。
そこでまず、コロナ対策に充てる地方創生臨時交付金は本県へは1次2次合わせて176億円が配分されており、休業要請に応じた事業者への協力金など中小事業者への支援などに使われております。
その執行状況と今後の取組み方針について、見込まれる不足額と併せて、滝経営管理部長にお伺いいたします。
また、本県経済について、新型コロナ感染症影響前の状況をどのように認識し、その低迷している原因は、どのように分析しておられるのか、
また、その分析を踏まえ、コロナ禍の厳しい経済状況を打破して活性化させるにはどのように取り組んでいこうとしておられるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、新型コロナ感染拡大防止対策と医療体制について伺います。
新型コロナウイルス感染症については、北海道・大阪をはじめとし、再び感染者が増加しており、他県でも増加する傾向がみられており、本県においても感染の再拡大が懸念されますが、感染拡大防止対策はどのように取り組んでいかれるのか、また、医療提供体制の整備にどのような方針で取り組まれるのか、流行期を迎えるインフルエンザとの同時流行への対策と併せて、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、持続可能な農業について伺います。
いつの時代も農業は国の基と言われながら、厳しい環境のもと農業者は食料を生産し、環境を維持発展させてきました。
しかしながら、農業経営者の高齢化と担い手不足、人口減少によるコメ余りの中、農村環境の保全や洪水調整など水田農業の果たす役割を維持していくためには、農業生産性の向上と所得増大を目指す農業経営を構築していかなりません。
そのためには、先ず水田を大区画ほ場に整備する、高収益作物導入のための排水条件を整える、用排水路を維持管理軽減のために更新するなどの基盤整備の取組みが、極めて重要となっております。このような中、620haに及ぶ水橋地域で北陸初の大型ほ場整備事業となる国営農地再編整備事業「水橋地区」が来年度の新規事業着手地区として、国の概算要求に盛り込まれたところであります。良好な営農環境の整備と共にスマート農業の推進の観点からも大いに期待がもてるところであります。
そこで、スマート農業推進の観点からも全国に先駆けたモデル地区として大いに期待が持てますが、目指す姿と事業着手に向けた県の支援状況について、知事のご所見をお伺いいたします。
また、県内においてスマート農業を推進するにあたって高収益作物を積極的に取組むには、気象条件や栽培技術のビッグデータ基盤の構築と活用、また、農業機械の開発を急ぐ必要があると考えますが、今後の取組みについて、堀口農林水産部長にお伺いいたします。

最後に、女性活躍の推進について伺います。
人口減少社会の中で、持続的成長を実現し、社会の活力を維持していくためには、県民一人一人がその個性に応じた多様な能力を発揮できる社会の構築が不可欠であります。
特に、女性は大きな潜在力であり、女性の能力を活かすことが不可欠であります。
こうした観点から平成27年には女性活躍推進法が制定されたこともあり、全国では7年間で増加した就業者数444万人のうち75%にあたる330万人が女性で占めています。北陸では7万人増えていますがその殆どが女性です。
しかし、働く女性が増える一方で、長時間労働の慣行や育児休業制度など利用しづらい職場の環境や風土などが、女性だけでなく男性にとっても、仕事と育児や介護等との両立の妨げの原因となっている現実もあります。
本県でさらに、女性活躍の推進を加速させることが喫緊の課題となっており、今後どのように進めようとしておられるのか、知事にご所見をお伺いいたしまして、質問を終わります。

2020年3月24日 富山県議会議長退任

2020年03月30日 更新

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議長退任あいさつ

   ただいまは、私の議長の辞職をご承認いただき、誠にありがとうございました。
   昨年の5月8日に、令和初の臨時議会が開かれ、先輩、同僚議員の御推挙により、富山県議会第127代、令和初の議長に就任させていただきましてから、早や1年。この間、実に多くの行事や会議に出席する機会に恵まれ、様々な分野の方々とお会いし、貴重な経験をさせていただきました。
   皇位継承に伴う殆どの式典に、県議会を代表して参列できましたことは、大変光栄の極みでありました。
   特に、大嘗宮の儀では、荘厳なる雰囲気の中で、天皇陛下が、日本の原点である瑞穂の国、収穫されたお米をお供えになり、ただただ国民の安寧と国の発展をお祈りになる場に立ち会うことができ、象徴としての天皇のあるべき姿に、感激し、改めて、日本人としてのよりどころであると確信した次第であります。
   また、台湾との交流に力を注いできた私にとって、日台観光サミット、日台交流サミット、そして台湾から引き継がれた、世界で最も美しい湾クラブ世界総会と台湾との交流に一層の手ごたえを感じました。さらに遼寧省友好35周年、シアターオリンピックスなどと国際交流の場に立ち会えたことは貴重な経験となりました。
   北陸新幹線が一日も早く大阪まで全線整備されるよう要望活動を行ったことはもちろん、全国議長会の副会長としても多くの会議や要請活動に出席し、豚熱ワクチン投与・台風19号災害対策の緊急要請もタイムリーに行うことができました。
   台風19号による長野新幹線車両基地水没を見て、自然災害の怖さと危機管理の甘さを、さらに新型コロナウイルス感染症対策では、国民の危機管理意識を含め大いに議論しなければならいと強く感じています。
   いずれにしましても、感染症の一日も早く終息することを願ってやみません。
   県議会改革につきましては、本会議などをスマートフォンでも視聴できるようにしたほか、広報編集委員会を設置し、議会広報のあり方について検討を行うなど、開かれた議会の推進に取り組みました。また、大規模な災害事案等が発生した場合の県議会や議員の役割、対応等を明確化したマニュアルも作成したところであります。
   また、昨年5月の大相撲夏場所で、本県出身力士103年ぶりとなる朝乃山関の初優勝に石井知事と国技館に駆け付け、一緒に万歳し、喜びを分かち会い、まもなく決まる令和初の大関昇進まで応援できたことで、また八村塁選手の大活躍によって、この二人から元気をもらい1年間、突っ走ることができたと思っています。朝乃山関には、これからも稽古に励み令和初の横綱に、そして日本人横綱として大成してもらいたいと願っております。
   さて、今は、凄い速さで進化している情報技術が、社会を変えている最中、わが国は国難とも言うべき人口減少時代に直面しています。明治維新以来何度も国難を克服してきた日本。その原動力は常に地方にありました。
朝の山関、八村選手は、県民にすごい元気を、特に子供たちには勇気と夢を、そして、やる気を与えてくれています。大変すばらしいことであり、まさしく「地方の力」、「富山の力」を感じます。
これからは、このような「若い力」に、未来を託すために、若者にチャレンジするチャンスを与える環境を作っていかなければなりません。
   政治もそうです。平成最後の富山県議会議員選挙で、11人の新人が当選し、県議会は令和新時代のチャレンジが始まりました。議長席から逞しい若い力を感じてまいりました。
   これから、一緒に令和新時代を切り開こうではありませんか。
この1年、議会の公正で円滑な運営と活性化に努めるとともに、県政の発展と県民の皆様の幸せのため、誠実で開かれた議会運営に全力を傾け、誠心誠意取り組んでまいりました。
   そんな中、前例にとらわれている行事も随分あると感じました。
   常に原点に立ち返り、古くても新しくてもいいものは残す、マンネリズムを打ち破って、新たに切り開いていく、いわゆる、「裂古破今」の精神で、これからは一議員として議長の経験も踏まえ、新しい時代を、県民が幸せを感じる、感じられる県政に微力ではありますが努力してまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
   筱岡副議長を初め、先輩、同僚の議員各位、石井知事を初めとする知事部局の皆様、そして行政委員会の皆様、さらには各報道機関の皆様、本当にお世話になりました。
   これからも変わらぬ御指導を賜りますようお願いを申し上げますとともに、皆様方のますますの御健勝、御多幸、御活躍を、そして、富山県の大いなる飛躍発展を心から祈念いたしまして、退任のあいさつといたします。ありがとうございました。

2019年5月8日 令和初の富山県議会議長に就任(127代)

2020年03月30日 更新

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